6話 私、天使の戦いを知ります
天使になってしはらく経ち、今日も学校が終わって家に帰る私。いつもと同じ道、いつもと同じ光景を見ながら帰るわけなのだけど…
う「…なに?あれ?」
他の人の民家なのだけど家と家の間に何か黒い物体がうごめいているのを見た。正確には見えてしまった。
明らかにこちらの世界の生き物じゃない。この前の倉島くんに化けた怪物だってそうだ。そういうのは全部魔界から紛れて来たものらしい。普通の人間には見えないらしい。事実今まで見たことが無かったからそうなんだろう。
黒い物体がこちらを向き目があった。
?「ぐるるる」
う「っっっひ!」
?「ぐるおああぁぁ!!」
う「きゃぁぁ!」
私は走って逃げた。案の定というか、偶然というか、その道は今は誰もおらず私だけだった。更に空が本来夕日のオレンジ色なのに灰色でおかしな色になっていた。
ゆ「天野!」
?「ぎゃん?!」
う「く、倉島くん!」
倉島くんが物体を光の剣で真っ二つにして私の元に来てくれた。
ゆ「無事か?」
う「うん!うん!」
私は正直怖くて泣きそうだった。だって変な色の血が出てるし、真っ二つだし。するとあの物体が、
?「ぐるるるっっるるぐるるる」
ゆ「なんだ?!」
なんと傷の全てが再生して2つに増えた。
う「増えた!」
ゆ「スライム系か、面倒だな」
う「スライム?でもドロドロしてないよ?」
ゆ「人間の知識は魔界の常識と違うと思ってくれ」
ええぇ。この知識は常識じゃないのぉ?
ゆ「まあ、ドロドロしてるスライムも居るが分裂する系は全てスライムと位置付けされているんだ」
?1「ぐるるる」
?2「ぐるるる」
スライム系の物体は左右に別れて去っていってしまった。
ゆ「あ゛あ゛!!逃げた!!くっそ!どうする?」
倉島くんは一人でどうするか考え始めた。私はふと思い立ち、
う「ね、ねぇ倉島くん」
ゆ「なんだ?」ギロッ
顔が怖いよ。
う「ま、紛れ込んだのなら倒さずとも元に戻してあげられないのかな?」
ゆ「…それだ!!」
う「うわ!」
倉島くんはいきなり声を張りビックリした。
ゆ「そうか、奴を天界へ送りつければ向こうが何とかしてくれんだろ。ナイスだ天野」
う「え?あ、いや、そうじゃなくて…」
倉島くんは家の屋根まで飛んでそのまま屋根づたいに行ってしまった。私は魔界に戻してあげたらという意味だったんだけど。
あ「あれ?うららちゃんじゃない。こんなとこでどうしたの?あ、天結界かぁ、今気づいたわ」
う「え?彩さん?!」
以前倉島くんと一緒にいた彩さんがいた。
あ「なるほど。スライム系の物体ねぇ。ゆうくんはどっち行ったの?」
う「ゆうくん?」
あ「ああ、倉島くんのこと」
う「あ、ああ、えぇと、あっちです。もう片方はこっちに行きました」
あ「そう、分かったわ。じゃあうららちゃん一緒に行きましょう」
う「え!あ、はい」
私は彩さんと一緒に倉島と逆の方へ向かった。その途中でいろいろ聞いた。
う「あの、天結界ってなんですか?」
あ「天結界はこういうやつ」
彩さんは空に指差した。だからなに?
う「え?ど、どういう…」
あ「天使が張る結界で空が灰色でしょ。これが天結界よ。この結界はね、私たち天使と敵(悪魔や魔物の事)、それから結界を張る人の周りにいる人間だけになるいわゆる魔法なのよ」
う「ま、魔法?!」
魔法なんて物語とかゲームとかでしか見たことが無いけど実際にあるんだ。
あ「天結界はどの天使でも、うららちゃんでも張れるわよ」
う「そ、そうなですか」
あ「でも張る時には注意してね。張る人の周りにいる人間も巻き込んじゃうから」
う「で、でも普通の人間には見えないんじゃないのですか?」
あ「そうだけど私たちが人間に見えているように悪魔は普通の人間でも見えるのよ」
あ、確かにでないと私がお母さんやお姉ちゃんとかに見えないからね。
あ「それで、天結界というのは結界を解除した時に結界を張る前に元通りになるのよ。ほら、病院がいつの間にか直っていたでしょう?」
あ、そういえば。天結界ってすごいんだね。
あ「あ!見つけたわよ~。観念しなさい」
そう言うと彩さんの手が光った。そしてその光は輪っか状になっていき手を後ろから前に投げるように振ると輪っかは細長くなって一本の線というか綱みたいになった。
そしてそのままボーッとしている物体を巻き付けるように捕まえた。
?1「ぐるぎゃっ?!」
あ「はい、捕獲完~了♪」
う「す、すごい」
するとどこからか声が聞こえてくる。
ゆ「うおりゃぁぁ!待てやこらぁ!」
?2「ぐるるる笑っ」
ゆ「あ゛あ゛!!いま笑っただろてめえごらぁ!」
う「く、倉島くん…」
倉島くんは物体の半分を追いかけていた。すると物体は私にめがけて向かってきた。
う「え?ええ?!きゃぁぁ!」
あ「うららちゃん!」
彩さんは片方の物体を捕まえるために私より先に進んだため少し離れている。それにもう捕まえているのでもう一体は無理そうだった。すると、
ゆ「っっ!天野!」
離れている私にも聞こえるくらいの
ドンッ!!
と踏み込み速度が上がり、
?2「ぎゃん?!」
スパーンとまた真っ二つにした。
倉島くんはザザザザと勢いを止め、
ゆ「おら、谷村ぁ今だ!」
あ「分かってるわよ」
彩さんは捕まえていた物体を綱を引っ張ることで投げ、また再生している2体の物体と1体の計3体の物体を近くに寄せた。それを倉島くんと彩さんで間に挟み、
ゆ、あ「「ひらけ!!」」
と同時に叫ぶと物体の下が光だし、
?「ぐるる…」フッ
消えてしまった。光は収まり、
ゆ「あああぁぁ走り過ぎて疲れた」
あ「まだ若いんだからそんなこと言わないの」
終わったようにしていた。
う「……」
呆気にとられていた私はただ黙って見ていることしか出来なかった。
ゆ「どうした?終わったぞ」
あ、終わったんだ。
あ「うららちゃんはビックリしてるだけよ」
ゆ「そうかぁ?」
う「あ、うん。ありがとう」
いろいろと空返事しかできなかった。そして思い出す。
う「あ、そういえばどうして天界に送った?の?」
あ「天界であってるわ。それはね天使は天界の、悪魔は魔界のゲートしか開けなのよ。だからそうするしかないのよ」
う「そうなんですね」
なるほどそうやって保たれているんだ。すると天結界を解除したのか空が普通のオレンジ色に戻った。
今日はいろいろなことを知った。天結界のことや作れる光の種類、倉島くんの場合は剣で彩さんのは鞭かな?それと人間の知識と魔界の常識は違うということとかゲートの事とかいろいろ。
あ「どう?天使に慣れた?」
う「さあ、どうでしょう?」
私はいろいろ知れたがまた空返事しかできなかった。
天結界の補足します。ふゆふゆです。天結界は自分で適当に考えた用語ですけど、結界自体は本文でもある通りで、他というか、外からは見えないし影響もしないという事で、同じ場所でも空間自体が違うということの設定です。つまり現実のある場所に人がいたとして、結界内でその場所が壊れたりしても現実の方では大丈夫という事です。伝わったかな?(@^^)/~~~では