プロローグ~~転生~~
…………
あ……赤い、これは、血?そうか、私、車とぶつかったんだった。身体が冷たくなっていく。傷から血が流れていくのが分かる。あ、意識、が…
私・・・・・・死ぬ、のかな?
◆◆◆◆◆
9時間前
「いってきま~す。」
「いってらっしゃい。」
ガラスの扉を開け学校へ向かう。
私の名前は天野うらら、宮ノ丘高等学校の新入生の1年生。まだ学校が始まって1週間ほどでまだまだ高校生活も分からないけれど、せっかく中学からの区切りなんだから頑張って高校生活を楽しむの!
1-3が私のクラス。私が席に座ると、というよりも、学校に着いた時も学校へ向かう時も私は周りからどうしても注目されてしまう…
黒髪茶髪の日本人とはかけ離れた真っ白い髪、黒色の目をした日本人とは違うとても蒼くて淡い碧眼、顔立ちも外国風。そう、私はハーフ、お母さんが日本人でお父さんがアメリカ人の子供。でも生まれも育ちも日本で、話す言葉も日本語。
そんな私は周りから注目されて当然だと思ってる。それにこのクラスは知らない人ばかりで中学から知ってる人は2人だけ。だから注目はされるけど孤立しているのが現状だった。
?「おはよう、うらら!」
?「おはよう。」
うらら「あ、凛花ちゃん、小春ちゃんおはよう!」
孤立していた私に声をかけてきたのは、江村凛花ちゃん、小学校の時からずっと友達でバレーボール部に入っている明るくて元気な子。もう一人は若原小春ちゃん、小春ちゃんも小学校の時からずっと友達で裁縫部に入っているおしとやかでしっかり者。
私はこの2人のおかげで元気にやっていると言っても過言ではない。なぜなら、中学と小学校、それ以前もハーフの私はずっといじめられて来た。そんな時に助けてくれたのがこの2人だった。いつもいじめられては助けてもらっていて、それでもってとても仲良くしてくれて2人には大きな恩がある。
チャイムがなり小春ちゃんは私の1個前で凛花ちゃんは私の1個右隣でとても近い。クラスのみんなが席に着き前から先生が入ってくる。
先生「よーし、じゃ挨拶。」
生徒「あ、はい!起立、礼、着席。」
先生「朝から元気無いわねぇ。」
みんな「「ひぃっ!!」」
私たちの担任の先生ははっきり言って怖い。先生がみんなを睨むとみんなはビクビクしていた。
先生、松嶋羅菜先生は女性で昔は元ヤンキーだったが更正して教師になったらしい。だからヤンキーっぽく怖いところもある先生。
松嶋先生「今日は、あれ、えぇと、そう、係決め。何係になるかみんなで決めるように。」
松嶋先生はだるそうに私たちに言う。なんだか先生眠そう。
◆◆◆◆◆
そんなこんなで今日の学校は終わった。
りんか「じゃあね小春、うらら!」
う「うん、部活頑張ってね。」
こはる「バイバイ、じゃあ私も部室に寄っていくわ。」
う「わかった。じゃあまた明日ね。」
こ「バイバイうららちゃん。」
靴に履き替えて校庭を歩いて校門まで向かう途中でも部活の掛け声が聞こえてくるけど私は家に帰る。私は部活はやっていない。絵を描くのが好き、だけど美術部には入っていない。入れないということもないのだけれどちょっとした理由があって入っていないだけ。
その理由というのは私の家がケーキ屋さんだから。だから玄関がガラスの扉ってわけ。そこで働いているのは私のお母さんだけで私は学校が終わったらお手伝いをしているから部活にいけないということ。
従業員を増やさないのかお母さんに聞いても大丈夫だからと首を横に振り一人で頑張ろうとしている。でも手伝うことくらいは許してくれるから手伝っている。
私にはお姉ちゃんもいる。天野 瑠花、お姉ちゃんは高卒で芸能界へ行った今はアイドル見習い。お姉ちゃんももちろんハーフなので、それに私なんかよりもっと綺麗で美人、芸能界のプロデューサーさんがある時お姉ちゃんをスカウトに来た。
その時ハーフだから日本人受けが良いって聞こえた気がしたけどお姉ちゃんはアイドルに憧れていたからそれを受けて今も頑張っている。
私のお父さんは今日本に居なくてアメリカに単身赴任中。仕事内容は実はお母さんも知らないらしい。私も知らない。年頃になった今だから分かるのだけど、お母さんはよくそんなお父さんと結婚出来たねと思った。理由はあえて聞かないようにしている。
そんな周りから見れば凄い家族なんだけど私自身はハーフである以外なんの変哲もない普通の女子高生。将来はイラストレーターになりたいと思っているの。さっきも言ったけど絵を描くのが好き。自室には絵の道具やセットがいっぱいある。だから暇な時はいつも絵を描いている。
だからお母さんに時々言われることがある。
母「うちの店を受け継がないの?」
お姉ちゃんはアイドル見習いで忙しいし、私は私でイラストレーターになりたいから……だからってケーキ屋にならない訳にもいかないからすごく悩んでいるところ。
◆◆◆◆◆
だいたい午後5時ぐらいかな、家に帰る途中の道で車が一台通るのがやっとの狭い路地がある。私はいつも通りに歩いて帰っていると前に小さい子猫がいた。
う「あ、子猫ちゃんだ!おいで♪」
子猫に夢中だった私も悪いかもしれない。
突然凄い勢いで車が路地を通ってきて私はそれに気づかなかった。そこは十字の交差点で塀で左右が見えない所。
う「じゃあね子猫ちゃん。」
子猫を見ていた私はそのまま交差点に出て来た時には遅かった。
キキィィィィ!!ドオオオオン!!
私はうっすらと目を開けた。立っていたはずなのに顔に地面がついていた。ぶつかった車はそのまま塀にぶつかり煙をあげている。
痛い、痛い!あ、赤い、これは、血?そうか、私、車とぶつかったんだった。身体が冷たくなっていく。傷から血が流れていくのが分かる。真っ白い髪が赤く染まっていく。目の光が失われていく。体が動かない。あれ?痛くなくなった。感覚がない。あ、意識、が…
私・・・・・・死ぬ、のかな?
私はそのまま気を失った。
◆◆◆◆◆
気がついたらベッドで寝ていた。あれ?夢?だったのかな?起き上がろうとすると引っ張られた。これは、何かの線?それにここは私の家じゃない。病院?
ガダンッ!と音が鳴りそっちを向くと、
ナ「っっえ?!そ、そんなっ……知らせなきゃ。」
ナースさんが驚愕の顔をしてボードを落としてどこかへいってしまった。
う「やっぱり、夢じゃ、ない?」
私は思い出す。子猫に夢中で車に気づかずそして跳ねられた。うん、間違いない。でも私は?死んだはずじゃ?でも本当にどこも痛くないし具合も悪くない。どうして?
ナ「こっちです。」
先生「どれどれっ?!う、動いちゃダメだよ君!」
ナースさんと病院の先生が私にそう言ってきた。
う「え!あ、はい。」
先生「……少し診させてもらうね」
◆◆◆
先生「どういうことだ?どこもかしこも悪いとこなど無い!むしろ普通に生活しても問題無いレベルだ!」
先生は私を診察して驚く。それも当然、
先生「まだ手術してから4時間しかたっていないぞ!」
私が跳ねられたのが午後5時ぐらい、それから発見されて病院につれて来られたのが6時ぐらい、手術して4時間だから今は10時。異常な完治に驚くのも当然だった。でも私も原因は知らない。
先生「君大丈夫かね?」
う「あ、はい。」
先生「うーん。今はどうしようもないからとりあえず2、3日様子見しようか。あり得ない異常な回復だけど今後何かあっては困るからな。しかし不思議だ……」
先生とナースさんは部屋を出て私一人になる。どうしよう。お母さんはこのこと知ってるのかな?明日も学校なのに松嶋先生も知ってるのかな?
私は不安でいっぱいになる。それからベッドにもたれた。すると背中に違和感があった。
う「な、なに?」
先生が診察してくれて繋がれてる線は左腕に着いてる一本だけ。だから私は確認するために、服を脱いだ。この部屋にいるのは私だけだから問題無い。
それで向かいにちょうど鏡があったので背中を向け、
う「っっえ?!な…なに……これ??!」
違和感の正体は私の背中に左右対称に生えた、
天使の羽だった。
読んでいただきありがとうございます。ふゆふゆです。異世界、転移、転生などありふれた作品が数多くある中自分も転生をきっかけに生まれ変わった元人間で現天使の人が現実世界でどう生きていくのかを想像しながら書いていこうかなと思います。これからよろしくお願いいたします。(@^^)/~~~では