◆第二十一章:不動 轟 その二
閑静な住宅街に二人の男がいる。
一人は目付きの悪い学生、もう一人はフルフェイスのヘルメットにライダースーツをきた筋肉質な男。
要するに私だ。
「ここがあいつの家だ。」
「ヨシ、マカセテオケ。」
「本気でその格好でいくのか?」
「ナニカモンダイデモ?」
「……いやいいんだ、俺は離れたところで待っておく。」
私はチャイムを鳴らす。
「……はい。」
風見少年の声が聞こえてくる。
「ショウネンヨ!チカラヲカシテホシイ!!」
私の言葉に応じて風見少年が現れる。
「……あなたはさっきの?」
「キミノチカラガヒツヨウナノダ!」
「……とりあえずさっきは助かりました。」
「キミノチカラガヒツヨウナノダ!」
「……とりあえず玄関先だと目立つのでこっち来てもらえませんか?」
「アリガトウ!ただモウひトリ……。」
しまった!ヘリウム切れだ!
「スコシ待ってイテクレ。」
私は腰にあるホルダーからスプレー缶を取り出す。
屈んで顔を隠しヘリウムを摂取する。
「アーアー。」
「モウダイジョウブダ。」
「……はぁ?」
「ソレヨリモモウヒトリアッテホシイオトコガイル。」
私が合図すると筑波少年が現れる。
「……よう風見、さっきぶりだな。」
「……筑波おまえ。」
風見少年は戸を閉めようとする。
「マッテクレショウネン、カレハテキデハナイ。」
「キミタチノチカラガヒツヨウナノダ!!」
風見少年の部屋はとても片付いている。簡素な部屋だ。
「……それでどうゆうことなんですか?」
風見少年が切り出す。
「ワレワレニハキョウツウノテキガイル。」
「カードを持っているやつを狙うやつがいるんだ。」
風見少年の表情がかわる。
「……まさか花梨も?」
「ソノモノニオソワレタカノウセイガタカイ……。」
「誰なんですかそいつは!早く教えろ!!」
風見少年はまったくと言っていいほど余裕がない。
「……まぁまてよ風見、そいつが誰なのかはまだ俺達も知らない。」
「糞が!!」
……無理もない、愛するものを失ったのだ。
「俺が持ってる情報は石田先輩の件だ。」
筑波少年が喋りだす。
「俺は石田先輩が消されるところを目撃した。」
「……!?」
風見少年が動きを止める。
「……じゃあ花梨も。」
「まず助かってはいないと思うべきだ。」
「オイ筑波少年!!」
「う、うぁぁぁぁぁぁあ!!」
風見少年は膝をつき倒れる。
「……俺が、……俺があんなもの渡したばかりに。」
「……コレデハハナシガデキナイ、筑波少年ヨ、ヤッテクレタナ。」
筑波少年はふんと笑って語りだす。
「なぁ風見、聞けよ。」
「お前が夏目を大事にしてたのは知ってる、クラスでも有名なバカップルだったもんな。」
「なんなんだよ筑波!!お前は!!」
「俺達は犯人を仕留める。」
筑波少年ははっきり言い張る。
彼は狩人の目をしている。
「お前も協力しろ、風見。」
彼の目には強い意志を感じる。
「……そいつをやれば花梨も助けれるのか。」
風見少年の目に光はない。
「……お前次第だ。」
筑波少年の目はそれを飲み込むように見つめている。
私はこの少年達と行動することに一抹の不安がある。
少なくとも筑波少年は危険だ。
彼は私と協力を持ち掛けてきたが信用には足りない。
けれど我々は一つの敵を倒すため結託する必要がある。
「……なにをすればいい筑波。」
筑波少年はニヤリと笑う。
「お前が知ってることを全部教えてくれ。」
我々は風見少年から夏目花梨がいなくなるまでの経緯を聞いた。
その中で一つ筑波少年は関心を示す。
「十人目か……。」
我々にカードを配った男は風見少年にのみ何人目か伝えていた。それが彼の気まぐれか何か意図があるのかはわからない。
「少なくとも俺とヘルメット先輩で二枚、そしてフードの男が二枚、夏目が持っていたカードで一枚…。」
あと五枚我々が知らぬカード保持者がいることになる。
「俺達が同じ学校の学生なんだから、他にもカードを持ってる学生がいるのかもしれねぇ。」
「……サイボーグさんも学生なんすね。」
「キョウリョクスル以上隠す必要ハナイか。」
私はヘルメットをとる。丁度いいタイミングでヘリウムが切れる。
「改めてよろしく頼む、風見少年。」
「……うっす。」
風見少年の目に光はなかった。
……私が彼らを導かねばならないな。
「しょうがねぇ……、あいつに協力を求めるしかねぇなぁ。」
筑波少年はそういって悪態をつく。
「あいつとは誰だ?」
「俺の先輩っすよ、中学の時の。」
「あいつと関わるのは俺、いやなんすけどね。」




