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BEAST WORLD  作者: 子狐エルザ
第一章:異世界へ編
9/9

9.シェイドは羞恥心がないby狼牙

 城に戻ってきてからやたらとシェイドがくっついてくるけど、さっき助けてもらったから定番の突き放しは我慢している。

 ……というのは建前で、上半身の服は脱いで置いてきちゃったから少し寒くて……だから腕はモフッとしてる分は暖かくて助かってる。

 まぁ、力が強いから少し痛いけど。

 それと、さ?なんというか……腕に柔らかいものが……ね?

 

 「突き放さないってことは、ついに俺を受付入れてくれたのか?嬉しいねぇ」

 「勘違いしてるようだけど、助けてくれたのと上半身が寒いからジッとしてるだけだかんね?ケモナーじゃないし」

 「もう……意地っ張りなんだから……」


 意地っ張りで結構だっての。

 だいたい、僕は元の世界に帰るんだから……ね?

 うん……帰る……って決めてる……のに、なんでモヤッとする?

 気のせいだ気のせい!


 「うん?どした?」

 「なんでもない!」


 そう、なんでもないんだ!

 帰りたい思いが揺らぐなんて……そんなことない!

 しかし五年って言ってたか……いや、たしか行きの時は五人でやったって言ってたな。なら、その五人にやってもらうことはできるかな?


 「ねぇ、シェイドは向こうの世界に行くときは五人にやってもらったって言ってたよね?その五人に満月じゃなくても頼んで帰れるってことは?」

 「異世界の経路を開くんだ。魔力が最高に高まってる状態じゃないと無理だ。つまり、前にも言ったように満月の日だな。次は確か……三か月後だなw」

 「さん……!?」


 結局満月か……っていうか、笑いながら言わないでほしい。

 まぁ、時間がかかりすぎるそれは最後の手段だ。

 他にもきっと方法があるはずだし、まずは資料があればを探って方法を考えよう。

 それに、一応シェイドは王子……じゃなくて王女なんだし、やらなきゃならん仕事だってあんだろうからそんときに調べよう。

 別に一緒にいるときでもいいんだけど、それだとすごい邪魔してきそうだしね。


 「ねぇ、シェイドは一応は王女なんだし、王女の仕事ってあるんでしょ?」

 「ん……ああ、んなのいいんだよ。べつに必須ってわけじゃあないからな。んなことより、ロウガといる方が俺にとっちゃ大事だし!」


 いや、そんな事って言うなよ、仕事を。

 ……まぁ、俺は仕事をしたことないからそう言えるんだけどね?もしかしたら、実際に仕事というのをやってみたら考えが変わってシェイドと同意け……じゃなくて、似た考えになるかもしれないし?

 さて、となるとどうしよかな。

 邪魔覚悟で探すか、無理矢理にでも仕事に送り出すか。

 普通は後者なんだけど、それでもシェイドは素直に送り出されるわけないよな。

 てことは、残るは邪魔覚悟しかないじゃないか。

 はぁ……見つかるか以前に邪魔されながら調べていくことになるとは……いや、邪魔してくるとは限らないんだけどね?

 でも、今までの傾向から邪魔してくる可能性が高いんだよな。

 ……まぁいい。とにかくやらないよりは確実に進むし、やらないよりはマシだ。が、ストレスには気を付けとこう。

とにかく今は体力的にも精神的にも疲れたし、ゆっくり休みたいわ。

 今はゆっくり寝て……体力を回復させてから探すとするかね。

 その前に服を着ないと……


 「ねぇ、借りた服をなくして言うのもなんだけど、代わりの服を貸してくれない?さすがに上半身裸は……ね?風呂にも入りたいし」

 「それはいいけど、たぶん頼んでた服ができてると思うぞ?」

 「え、もう?半日くらいしか経ってないはずなんだけど」

 「普通ならまだだが、ウチには優秀のが揃ってるからな。一人分くらいなら半日あればできるさ」


 そうなんだ、てかめっちゃ早!

 優秀だからってそんな半日でできるもん!?

 いや、ファンタジー世界なら可能なのか……?いやいや、いくらファンタジーだからって……ねぇ?

 まぁ、早くできてるならそれはありがたいか。

 城に入ったら、使用人達がすごい驚いてるのが目に入った。

 そりゃ、上半身裸な俺にシェイドが抱きついてる姿を見れば……誰だって驚くよな。逆の立場なら俺だって驚くわ。


 「ロ、ロウガ様!?その姿はいったい……!」

 「いや、ちょっと人攫いから逃げるのに上の服を犠牲に……ね」


 苦笑いしながら言うと、メイドたちがバタバタとしだした。

 階段を上って部屋へ行こうとすると、下から兎の獣人メイドが何かを持って俺達の方へやってきた。


 「ロウガ様!こちらが先程完成しましたお着物です!どうぞ、お召しください」

 「あ、ホントに半日でできたんだ。すごいなぁ。ありがとう」


 受け取ってトップスだけ着替えようとしたけど、泥と汗で汚れていているから着づらいな。

 まぁ今日はもう外を出歩くわけじゃないし、室内とはいえ人がたくさんいる城の中だから風呂に入ってから着替えるか。

 にしてもこの服、材料がいいのかすごく肌触りがいいな。

 シルク……でいいのか?以上っぽい素材なのかな……

 今後こんないい服……着れるかわからないし、しばらく着ていたいな。

 向こうの世界に帰ったら返さなきゃならんし、持って帰れたとしてもさすがに向こうじゃイタくて着てられないからな。


 「もう少しでご夕食となりますので、本日は食堂へお願いします。なんでも、王が今日は一緒に食べるぞとおっしゃられておられまして……」

 「親父と~?この年で一緒になんて」

 「なら俺とも別々に食べ……」

 「よし、わかった。準備ができたら呼んでくれ」

 「かしこまりました」


 まったく、速攻で切り替えちゃってもう……

 とはいえ、なして親と食べるのが嫌なのか?

 別に年とか関係なくね?とは思うけど、親に対する反抗期か何かだと思っておこう。

 とりあえず一度部屋に戻って一休みしてからタオルを持って風呂場へ。

 超自然にシェイドも服を脱いできたから、(一応)レディファーストとして先に入ってもらって後に入ろうしたけど、一緒に入ると譲らなかったから仕方なく入ることにした。

 シェイドは獣人だから毛皮で覆われてるし、二度目だし、大丈夫だよ……な?

 それより、ちょっと風呂場でやりたいこともある。それは下着の洗濯だ。

 さすがに二日連続で履くのは人として……な?

 さすがに洗濯後はビショビショのまま穿くわけにもいかないし、新しいボトムスは穴はないから乾くまではノーパンでいくしかないわ、これ。

 恥ずかしいけど下着は明日買ってもらうかな……ってか、勝手に連れてこられたんだからそれくらいはいいはずだ、うん。

 タオルを腰に巻いて入ると、前と同じようにムアッとした熱気が出迎えて汗がジワリと出てくる。

 二回目だけど、これは天然のサウナだわ。

 シェイドは相変わらずタオルなしのオープンな姿で入ってくる上に、羞恥心が全く感じられない。

 ほんと、呆れを通り越して感心しちゃうよ。

 椅子に座って身体を洗おう……としたらシェイドが背後に近寄ってきた。うん、わかってましたとも。来るってわかってましたとも。


 「なぁ、ロウガ~……」

 「はぁ、お前って本当に俺にだけ甘えるよなぁ……」

 「好きなんだから当然じゃん~」


 ホント、羞恥心なく言ってくるよなぁ。聞いてるこっちが逆に恥ずかしくなってくるわ。

 とにかくご飯があるっぽいし、ササッと洗って出るとするかな。

 相変わらず絡んでくるけど、全てスルーして自分で洗わせる。

 いつもみたいに洗ってと言われたけどサイズが違うし、そもそも獣人とはいえ人型になられちゃ何度も洗うのは恥ずかしさがあるんだよね。

 全身を洗って温泉で温まったら作ってもらった服を着て部屋へ戻る。

 にしても、風呂が広いから気持ちいいからいいけど、さすがにすぐに部屋へ戻って休むってことはできないのは残念だなぁ……。


 「失礼します。お食事の準備ができましたので、食堂へお願いします」


 ノックの音がしてから扉が開き、兎の獣人がお辞儀をしながら入ってきた。

 それをシェイドが返事したら再びお辞儀をして部屋を出て行った。

 そっか、ついに王様と食事か……なんだか緊張してきたわ……。

低速更新ですがまだまだ続きます。

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