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BEAST WORLD  作者: 子狐エルザ
第一章:異世界へ編
3/9

3.複数人で風呂に入った時のあのイベント

二話に分けてのお風呂回です!(ニヤニヤ)

 部屋を出ると、長く、そして広い廊下が目の前に現れ、一瞬ドキッとした。

 だってこんな廊下、初めて見るんだもん!

 廊下には絨毯が敷いてあって、いろんな壺やら額縁やらと金持ち特有のモノやら置いてある。一度は通ったから見てるとはいえ、さすがに未だ見慣れない。

 これ、さすがに覚えるのは大変そうだ。

 ますます、元の世界の我が家が恋しいです。

 チラッとシェイドを見ると、すっごくウキウキしている顔が目に入った。向こうじゃわからなかったけど、獣人になるとこんなにも表情が豊かになるんだなぁ……それとも、僕が気がつかなかっただけかな?

 そういえば、シェイドは昔っからお風呂って好きだったっけ。犬猫ってお風呂は苦手なイメージだったから、最初は暴れるのを覚悟してたな。今では懐かしい思い出です。

 途中で執事やらメイドとすれ違うけど、みんな獣人の姿で人間が一人もいないとこを見たら、まさにBEAST WORLDだと思った。

 っていうか、なんでコイツは俺をこんなに好きになったんだ?

 室内飼いだったとはいえ、エサは普通のカリカリだったし、散歩も暇な時だけだったし……Like的ならまだわかるけど、Loveで好かれるのは……

 ん?そんな中で一緒にお風呂ってやばいんじゃ?うん、ヤバいかも。

 今なら逃げられる。今からでも……


 「さ、ここだ。着いたぜ」


 着いちゃったー!!

 目の前には僕が知ってる扉よりも大きい扉。それをシェイドが音を立てて開けると、モアッと湯気が中から出てきて独特な匂いがした。

 あれ、いきなり湯気が出てきたってことは?

 湯気の視界が晴れて、現れたのはまさに漫画とかで見る風呂だった。あれ、え?脱衣所をすっ飛ばしていきなり風呂場?服ってどこに置くの?廊下……はないな。

 あ、そういえば服の替えがないな。今は制服だし、私服が欲しいんだけど。


 「ん、どうした?キョロキョロして……ああ、お前んちより広くて驚いてんのか」

 「いや、それもあるけど……脱衣所がないのに、服はどこに置くのかなって」

 「ああ、そこの隅にカゴがあるからそこに入れてくれ。後、服は明日買うとして……今は俺の服着るといい……てか着てくれ。入ってるから」

 

 準備いいな!最初からそのつもりでいたな!?

 てか、着てくれって……まるで、どうしても着てほしいように聞こえるんだけど?

 まぁ、今はそれしかないから仕方ないか……

 籠の前に立ち、制服を脱いでいく……けど、なんか後ろからものすごい視線を感じる……

 チラッと見ると、すっごいギンギンとした目で凝視して見てるシェイドがいた。

 なんというか、獲物に狙いを定めるというか……ものすっごいランランとしている。

 

 「えっと……なに?」

 「気にしないで脱いでてくれ」


 気にするわ!!

 いったん逃れるためにタオルを持って奥の方へ移動しようとしたら、めっさついてくるんですけど。

 ふだんなら「待て!」とか言うんだけど、王子と分かった今はとても言いづらい。

 このままだと色々危ない気がする。いろんな意味で。

 こうなったら、もう諦めてパッパッと下着を脱いでタオルを巻くしかない。……湯舟ではタオルを外さなきゃなんだけど。

 チラッと再び見てみると、未だに凝視している。しつこいな!

 だったら……タオルを腰に巻いて右手で抑え、左手で下着を脱いでいく。後ろから舌打ちが聞こえたけど……うん、気にしないでおこう。

 お風呂はよくある浴槽ではなく、スーパー銭湯や温泉みたいな感じで、床の穴に湯を張ってる感じで、壁から湯が流れ込んでいた。

 シャワーがないため、椅子に座って湯舟から桶で掬い取り、身体にぶっかける。うん、丁度いい温度だ。

 もう一回掬おうとしたら、シェイドが後ろからダイブしてきたため、一緒に湯舟に中に落ちた。

 うぇ……鼻に湯が入った!


 「ぶはっ!ゲホゲホ……何するの!?」

 「一人で洗ってないで前みたいに俺を洗ってくれよ~。俺もロウガを洗ってやるから~」


 僕に抱きつきながら擦りついて言い放つシェイド。

 こいつ、本当に王子なのか?めっちゃ甘えっこじゃん!!

 濡れた毛皮がこすれてめちゃくすぐったい!!

 さて、どうやって断ろうか?動物姿なら可愛いからやってたけど、残念ながら、今は細マッチョって感じの獣人だ。

 しかも、いつの間にか座ってスタンバってるし。

 そして、後ろからでもめっちゃウキウキしてるのがわかる。

 ……ソロ~ッと忍び足で服を取ろうと、籠の中を覗いたら制服がなかった。

 あ、あれ?どこへいった?


 「あ、ロウガが着ていた服は洗濯させてるからそこにはないぜ」


 いつのまに!?

 え、いつ渡したの?ずっと僕の目が届くとこにいたような気がするんだけど。

 ……謎だ。これは獣人がなせる技なのか?

 結局あったのは二着のシェイドの服。しかも、ボトムスの尻の部分に穴が開いているけど……おそらく、尻尾を通す穴なのだろう。

 しかし、トップスとボトムスがあるのはいい。けど、アレがない。そう、SHI・TA・GI……下着だ。

 服を直で着ろと?ノーパンでいろというのだろうか?それとも、この世界には下着が存在しないのだろうか?だとすると、さっきすれ違った獣人は皆……うん、もう考えるのはやめておこう。考えたら負けな気がする。いろんな意味で。

 服を持ってチラッともう一回見てみると、潤んだ目で睨んでいるシェイドが目に入った。

 なんだろう?なぜだかすごい罪悪感が……

 仕方なく服を戻し、シェイドの後ろにある椅子に座る。

 そばにあるのは謎の文字で記されたよくあるポンプが二つ。これは……なんかのマーク?それとも、この世界の文字?なんか図形のような文字だな?

 まぁ雰囲気的に……シャンプーとボディソープなんだろうけど……どっちがどっちなんだろうか?

 

 「あ、ロウガはまだこっちの文字わかんねぇよな。こっちはシャンプー……向こうにもあるよな。こっちはテイルシャンプー……俺ら有毛獣人の尻尾につかうやつだな」

 「テイル……シャンプー?」

 「有毛獣人の尻尾部分の毛は結構繊細でな、普通のシャンプーでやるとゴッワゴワになんだよ。これはそうならないための向こうでいうトリートメントってやつだな」


 へぇ、そうなんだ……ってことは、尻尾以外の前身は普通のシャンプーで洗うんだ。

 あれ?僕は頭はシャンプー使えばいいとして、首から下の身体の方は?ボディソープないのだろうか?

 聞いてみたら無いようだ。しかたないから、どっちも使ってみて、いい感じのを使うしかないみたいだね。

 まずはボディタオルにシャンプーを付けて泡立たせ、シェイドの身体にこすりつける。

 毛皮越しでも筋肉が引き締まってるのがわかる。

 そして、尻尾をブンブンと振ってるもんだから、足に当たって地味にくすぐったい。

 さて、後ろは終わったけど……


 「後ろは終わったからあt」

 「じゃあ次は前な!」


 来るッと反転してきた。躊躇も羞恥心もなく。

 頼むから、腰にはタオルを巻いてほしい。いや、風呂だから大丈夫なのか?銭湯でも普通は隠さないし。

 でも、腕を大きく広げて「さ、やってくれ」みたいな感じで待つのは、絶対にやらないと思う。やるとしたら、子供くらいだ。

 溜息を一つ吐き、前に方を洗っていく。

 うん、よく引き締まったいい筋肉。さすが細マッチョ。

 上半身、脚と洗ったが……さすがに腰部分はやめておこう。

 アレが……あるしね?


 「はい、これでいいでしょ?腰は自分でやってよ」

 「え~……ま、いいか」


 シェイドは僕からボディタオルを洗い、腰を洗っていく。

 そして、ボディタオルにシャンプーをPUSHして僕の方へ向き直ってきた。

 なんというか……顔と手つきがいやらしく見えるんだけど?


 「さ、次はロウガの番だぜ?」

 「い、いや……僕は自分で洗うから……ね?」


 ジリジリと後退していく僕に対し、シェイドはジリジリと近づいてくる。

 いや、ちょ、なんか怖いんだけど?

 ついに壁際まで追い込まれ、横に逃げようとしたら滑って転び、逃げも虚しく捕まってしまった。

 転んだ際の痛みと、これから起こる身体洗いという名のイタズラを想像したら、涙が出てきた。

獣人とお風呂……羨ましい!

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