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異世界最強の厨二は英雄譚に憧れる  作者: 結城 柚葉
序章~血筋の覚醒~
9/11

幕話 魔王と邪神、そして魔王の娘の目覚め

ーーside ??? 

「魔王様!人界のホーリーレイト王国が勇者召喚を行ったようです!」

伝令兵から報告を受けた魔王は考え込む仕草を見せた。

「奴に、我が娘を狙われているときに・・・。時が悪いな。」

それを、間近で聞いていた伝令兵は、不思議そうな顔をする。

魔王様に、後継ぎはいたのか?と、疑問を覚えたが、それを口に出したら、隠しているらしいので、処刑されるかもしれない。自分は、命を魔王様に捧げた身で、それ自体は後悔していないのだが魔王様の為に名誉ある死を遂げる以外の死に方は御免だ、という理由で口に出さなかった。


そして、顔を上げた魔王は伝令兵に命令した。

「その勇者とやらの実力を見せてもらう。バラードを向かわせろ!」

それを聞いた伝令兵は、「ハッ」と言い、魔王軍幹部の一角、今は傲慢になって四天王最強まで堕ちてしまったが、かつて魔王すらも上回った魔族最強と謳われた竜使いのバラードに魔王からの命令を伝えるべく駆けていった。


そして、伝令兵がいなくなり、一人になった部屋で、魔王はつぶやく。

「さぁ、勇者とやら、我が娘を預けるだけの実力があるか、試させてもらうぞ!」


   ~*~


ーー数時間後

「魔王様!バラード様が戦死した模様です。黒眼黒髪の青年に翻弄されていたようで。」

「そうか。死んだか…。下がってよいぞ。」

魔王は、感慨深そうな顔を伝令兵を下がらせた。

「まさか、死んでしまうとは…。」

魔王は、そう言いながらバラードの事を思い出していた。今は、戦争時でしかも、魔王なので死人を構っている余裕もないはずなのだが、今は何故か思い出してしてしまっていた。


ホーリーレイト王国の国王に殺され、復活させたら、何度も死にそうに…いや、何度か死んでいたな。それでも、己を鍛え続けて、竜使いになり、一時は我を越えて見せたのでな。だが、奴は魔王になれるのに、なろうとしなかった。だから、幹部のトップにした。だが、それがいけなかったか、増長し続けて、傲慢にまで堕ちてしまった。


…だが、勇者の実力を見せてもらった。これならば、我が娘を預けることができ、力も発揮できる。我は、いずれ奴に身体を乗っ取られ、力を付けた勇者と我が娘に討たれるだろう。そのために我は憎しみをこの身に集め、奴の気を引こう。そして、願わくば、奴を討ち、娘を魔王になり奴に乗っ取られ、世界が混乱する無限のサイクルの呪縛から解きはなってくれ…。


普段は、神に敵対している魔王が、神に祈っていた。

そうして魔王は、ある決断をした。


魔王はある準備をして、娘がいる部屋へと向かった。

「入るぞ。」

そう言って魔王は部屋のドアノブに手をかけた。すると、ドアが放電し、次の瞬間、魔族に関係する全ての攻撃、探知等を断絶する透明な神の結界が張られた。

「はぁ…奴の探知から逃れるためとはいえ、神の結界まで、張るのはやり過ぎたかもしれぬな。」

魔王は異次元アイテムボックス)を切り開き、10年かけて神の結界を解くのではなく、破る為だけに作らせた魔剣を取り出した。

そして、人族どころか、魔族の魔力を遥かに凌駕した、魔力を魔剣に注ぐと、細身だった剣が脈動しながら、太くなっていく。暫くすると、細身の銀剣から、何本も赤黒い線が脈動している大剣

へと、変貌していた。

魔王はその剣を振りかぶり…

崩壊クラープス)

ただ一言だけ呟いて一直線に振り下ろしたその一撃は、神の結界を容易く粉々に粉砕した。


本来なら、崩壊クラープス)は、魔族が生み出した技能スキル)の為、神の結界によって、無効化される。だが、剣に神の結界を破る力が宿っているため無効化されず、効果を発揮したのだ。


結界を破壊した魔王は、部屋に入った。部屋は質素で、部屋の中心には、銀の神の美しい少女、

ーー魔王の娘が眠っていた。

神の結界の効果により20年間も時が止まったまま眠り続けていたのだ。

「ようやく見つかった…。お前を護れる者を見つけたぞ。待たせたな、我が娘、ソフィアよ…。」

魔王が語りかけると、ソフィアは、翠色の目を開いた。

「おはようございます、お父様。…どうして、泣いてるの?」

魔王は泣いていた。娘と20年ぶりに会えた嬉しさと、もうすぐ、手放さなければならない寂しさで。

「起きたか、ソフィア。」

「?今日のお父様何かおかしいよ。それに、泣いている理由は、教えてくれないんだね。」

「ソフィア…今から言うことは、お前にとって、とても残酷かもしれない。だが、最後まで聞いてくれ。」

残酷と言う言葉にソフィアは、緊張していた。戦争を未経験が故に、父が魔王になって人族と戦争していることに。

「ソフィア、まずお前は、20年間ここに眠っていた。」

ソフィアは、そんな冗談通じないよとばかりに笑う。

「そんなわけないよ。」

「奴が活性化した。奴は、次期魔王のお前を狙っている。アルムヘイトの神も奴を封印しようとしたようだが、力を強奪され、殺されたようだ。その時に、神は地上に結界の生成道具を落とした。それを我が拾ったのだ。その時には既に、神力がほとんど残っていなかったため、一回しか使えなかった。だから、奴に狙われるお前に使ったのだ。」

ソフィアは、絶句しながら父に尋ねた。

「さっきから、奴って言い方をしているけど、奴ってまさか…。」

魔王は、期待を裏切るように、心に刻み込むように静かに言った。

「ああ、そのまさか、邪神だ。」

その言葉を聞いたとたん、ソフィアは、泣きそうになった。

「じゃあ、お父様は?私は、見つからなくても、お父様はどうなるの?無事なんだよね!」

魔王は、静かにその言葉に否定した。

「…すまない。我…いや、私はもう、邪神に依代として目を付けられている。私は、直に邪神に体を乗っ取られるだろう。だからそうなる前に、お前を人界のホーリーレイト王国という国に飛ばす。そうしたら、冒険者ギルドという所がある。そこで、黒眼黒髪の若い男を探して頼れ。奴なら、勇者なら力を貸してくれる筈だ。」

「待って!お父様、まだ話したいことが!」

「私には、もう時間がない。転送トランスファー)


そして、目の前から娘の姿が消えると、魔王は呟いた。

「まさかこんなことになるとはな…後は頼んだぞ勇者」

これで、序章は終わりです。

一章はからは、ちゃんとその章を書いてから投稿しようと思うので、更新が遅れます。

後、多分章の終わりまでは、週一投稿です。

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