異世界へ
第一章から、毎週土曜日の21時にペースで更新出来ると思います。前回と今回はかなり短いですが次回長くする予定です。
「これで、今日のホームルームは終わりです。」
その言葉を聞くと同時に俺は、大きな溜め息をついてしまった。
「はあぁ~やっと終わったぜ…。」
「お疲れ、晃樹…」
俺は、桜川晃樹。高校生で、元厨ニ病だ。
容姿の方は俺自身、自分の容姿が優れているとは思わないが、他人からすると、そこそこに整っているようで残念な趣味が無ければモテていたかもしれないと言われた。
「瑞樹もお疲れ…」
本来、HRで疲れることはないのだが、とにかくこの人の話は長いのだ。
それから、今、俺と話しているのは、斎藤瑞樹。
幼なじみという訳ではなくただのクラスメートで、俺をイケメンだと言ったのもこいつだが、瑞樹は、俺とは違い、運動神経抜群で、いつもテストの成績は上位に組み込んでいる。そのうえ、100年に1人と言うべきの容姿の持ち主だ。女友人の裏情報によると、学園の中で付き合いたい人で余裕でNo1を勝ち取ったようだ。
前世でどんだけ善行を積んだらこうなるんだと思う。
俺は昔、黒歴史として封印した厨二病のことをうっかり話してしまったのだが、意外にも気が合ってすぐに友人へとなれた。
「晃樹、今日は、カラオケ行こうぜ!」
「悪い、今日は母さんから買い物を頼まれていてな…。」
瑞樹は、一瞬寂しそうな表情をしたが、すぐに、いつもの表情に戻った。
「そうか…じゃあまた明日な!」
「ああ、また明日。」
俺はいつもの道を外れ商店街へと入った。そして、食品売り場へと向かい、買い物を済ませた。
途中、気前のいいおばちゃんに、「今日はサービスするよ!」といわれ、大量の野菜をもらったから、豪華な料理も久々に作れるな。
そんな事を思いながら俺は家に帰った。家のドアに手を掛け、家に入ろうとしたその瞬間、異変は起きた。
なんと、足元に白く光り輝く多くの魔法陣が出現したのだ!
もしやこれが今、ラノベで話題の異世界召喚か?本当に在ったのか!と興奮したが、すぐに両親の顔が頭に浮かび、冷静になった。
なんとかその魔法陣から抜け出そうとした。しかし時すでに遅し。
俺の視界が白く染まり、闇へと落ちていった。
~*~
side地球
そこには、彼の姿はなく、ただ、買った食品が散乱しているのみだった。
仕事から帰って来た母親は、なんでここに野菜が………?と思うだけで晃樹のことを全く覚えていなかった。
これは、まだ誰も知らない世界の真実の一つ、人が世界間を移動したとき移動前の世界からはその存在が、存在しなかったことになる。しかし、神に直接転移させてもらうと移動前の世界にもその存在の記憶が残るのだが、とある理由で、まだ誰も真実にたどり着いていない。
~*~
俺が次に見た光景は、いつもの住宅街…ではなく、キリスト教の教会の中を想像してもらえば分かりやすいだろうが、そこに召喚陣があるような感じだった。
そして、目の前には14、5歳であろう絶世の美少女と言うべき少女が佇んでいた。
「勇者召喚、成功です!」
「流石は聖女様、お見事な腕前ですなあ。」
それを隣のお腹が突き出ている中年が言った。
「「「おおおおおおおっ!流石は聖女様!」」」
「皆さん、静粛に…!初めまして勇者様、私は、このホーリーレイト王国で王女をつとめているセレスティア・ホーリーレイト・ミラーと申します。」
「えっと、聖女じゃないんですか?」
「はい、私は聖属性の回復魔法を最高レベルまで使えるので、いつの間にか聖女と呼ばれていまして…。」
やはり、ホーリーレイト王国なんて聞いたことなく、地球ではない可能性が高くなった。
ともかく、ここでは魔法が使えるらしい。ラノベでよくある、魔力チートとかあるのだろうか…楽しみになってっきたな。
今更なのだが、そう、晃樹は、割と適応力が高いのである。
「ところで、勇者様のお名前をお聞かせお願いできませんでしょうか?」
おっと、魔法に気をとられすぎて、自己紹介を忘れていた。
「すみません、俺の名前は、桜川晃樹…いえ、すみません、コウキ・サクラガワです。」
「コウキ様ですね。では早速説明させていただきます。まず、この世界は、あなたが住んでいた世界ではなく、アルムヘイトという世界で・・・(省略)というわけで、勇者様にはお力をお貸しいただきたいのです。」
失礼なのだが話が長かったので要約すると、ここは地球とは別のアルムヘイトという、剣と魔法のファンタジー世界で、この世界には、魔物がいて、その中心に位置している《魔王》にこの国が滅ぼされそうだから救ってほしいと何とも神話にあって、テンプレでよくある話だった。
「コウキ様、召喚されて早々に申し訳ないのですが、適正検査を受けていただけないでしょうか?」
そう、セレスティアが言った。