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鬼狼の刃  作者: 大日小進
一章、異世界編
6/42

4、転移魔法の対処方(弌)

すみません、あと二、三話とありましたがもう少し先です

「あーらよっと」


 軽い掛け声と共にベランダの陰から龍牙が現れる。この男、一階の階段を使うことが面倒だという理由で一階から登って来たのだ。そして黒に先程言われた、ベランダならOK、を伝えようとして……固まった。そこには、クラスの女子に囲まれる黒の姿があった。


「かっこいいぃ」

「ねぇ、君はどこから来たの? 」

「わ、私にもさわらしてよぉ」

「ク、クーゥン」

「あぁ、困った顔は可愛いぃ」

「クーゥン」

「す、すまん黒、それはどうにもならない」

「あ、龍牙君、この子私たちに貸してくれない? 」

「すまん、俺達、剣道部の朝練があるから後にしてくれ」


 そうして、なんとか包囲網をくぐり抜け、朝練に行くも、今度は女子剣道部達が触ろうとし、後に校内二大馬鹿騒ぎの一つと呼ばれるモフモフ争奪戦になるとは誰も知らなかった。ちなみに、あとの一つは、龍牙の姉、久美子に誰が昼休みの間、それも龍牙が側にいる時に告白できるかという、告白大合戦、成功者は誰も無く、挑戦者の話では、「何なんだあいつは、それも視線は、見られただけ死んだかと思ったぞ! 」という話らしい。




 二大馬鹿騒ぎという形で歴史に残るとは露知らず、龍牙は普通に授業を受け、午前の授業を終わらせ、黒に干し柿と水を与え、目の前の箱に全神経を集中していた。


(この重さ、匂いからして、中身は、卵焼きと海苔弁は確実だ)

「いざ、勝負ッッ」


 カパッと音を立てるかのように目の前の箱を開き、


「よっしゃぁぁ」


 喚声があがった、中には、卵焼き、海苔弁それ以外に漬物が入っていた。そして、思わずといった様子の龍牙に二十人程の視線が集まり、苦笑に変わった。時間は昼休み、龍牙が楽しみにしてる時間の一つ、昼食であとはそのあとの昼寝タイム、朝、夕の部活動である。がばがばと音を立てるかのように昼食が龍牙の腹に入って、瞬く間に弁当箱は空になった。


「ふぅ、旨かった、旨かった」

「あ、龍君、口にあった?」 

「おぅ、旨かっ……」


「旨かったぜ」と、春美に返そうとして、龍牙は止まった。それは、あのうざいハゲ教頭にのような気配を察したからである。しかし、この時間、ハゲ教頭は食堂でワカメを貪るかのように食べているはずである、科学的な根拠もないのにワカメを食べる様子は学生の憐れみの的だ、そして、あのようになりたくない、と男子生徒の思いもある。それはそれとして、ハゲ教頭に似た気配というのは1人しか心当りがない、それは、ハゲ教頭の息子の、 


「やあ、龍牙、犬を連れてるとは本当かい? 君は決まりを何だと思っているのかい?」

「糞した後のケツ拭く紙以下と思っている、将来禿げる乙、正義先輩」

「違う、俺は乙樹正義(おつぎまさよし)だ! そして禿げないし例えが汚いぞ、龍牙」

「うるさいな、親が禿げなら遺伝的に禿げるってぇの、あと馴れ馴れしく名前を呼ぶな」

「何だと、だいたい君はだな……」

「ちょっと待ったぁ」


「素行と行儀が悪い」そう、続けようとした乙樹正義の声が扉を開ける音と共に遮られた。そして、何人かはむせた。皆の視線がその人物に集まる。それは、


「あ、雪姉」

「やあ、龍ちゃん、ちょっと後でね」


「りゅ、龍ちゃんだと?」とか、「可愛い」とか、「軍曹! 俺はあいつがうらやましいであります!」とか、「言うな! 俺もだ!」とかざわめきが発生するのをスルーし、雪江は正義に言った。


「校長先生の許可は取ってあるから」

「しかし……」


 そこから先は続かなかった、何故なら、龍牙の足元を中心に、円が何重にも描かれ、幾科学的模様が表れたからだった。

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