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鬼狼の刃  作者: 大日小進
一章、異世界編
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3、過去の人の言葉って意外に当たると思った件について

「黒、お前、先に教室の中に入ってるか」

「ワン」

「よし、だったら話は早い、やるぞ!」


 そう言うや否や、龍牙は校舎の壁に背をつけ、まるでバレーボールのアンダーパスのような体勢になると声をかけた。


「よし、来い黒!」

「ワン!」


 黒は一声吠えると一気に駆けた。ぐんぐんと黒の白い体が近ずき、龍牙と接触する瞬間、龍牙の構えられた腕が持ち上がった。そして黒はその腕を踏み台にし、さらに高く跳んだ。


「ワン!」


 黒の声が頭の上から聞こえる。どうやら無事に入ったようだ。


「よし、無事だな。俺はちょっと校長のじいちゃんと話してくるから、そこで待っていろよ」

「ワン」


 黒の声が返ってきた瞬間、龍牙の後ろから声が聞こえた。


「それには及ばんさ、龍牙君」

「来てたのか、校長じいちゃん?」

「ついさっきな、元気な声が聞こえたから誰かと思ったら、君達だったか」

「なぁ、校長じいちゃん、黒って今日ここに居ていいかなぁ」

「まぁ、大して悪さもしないんだろ、ならいつでもいいさ」

「いけません、いけませんよ、校長先生!」


 嫌なやつが来た、そう思った龍牙の口から、舌打ちがし、精一杯嫌な顔をして振り返った。そこには、カツラの男がいた。


「チッ、なんだよ教頭(ハゲ)

「学校に動物を連れて来たらいけませんよ、龍牙君?」

(ウゼェなぁ)

「生徒手帳に無いからいいだろ教頭(ハゲ)それに、校長じいちゃんに許可取ったんだよ」

「それでもいけませんよ、龍牙君? だいたい何ですか?その大荷物は?」

「あぁ、忘れてた、校長じいちゃん、これ頼まれてた猪の燻製」

「おぉ、ありがとう、これで酒のつまみが増えたよ」

「まさかの取引ですか、校長先生!」


 龍牙が背中に背負った大荷物、中身は山で捕れた猪の燻製だった。そして、酒のつまみがただで貰えてうれしくなった校長は、簡単に許可をくれるのがいつもの事であった。


「よし、龍牙君、黒を教室のベランダだったら置いておいていいぞ」

「いや、校長先生? 駄目でしよう?」

「さぁーて、ワシは仕事しようとするか」

「早めに食べてね、校長じいちゃん」

「おう、分かった、分かった」

「龍牙君、少し話が……」

「さぁ、俺も教室に行くかぁ」


 教頭の声など聞こえん! と言わんばかりにスルーすると、龍牙は二階の教室に向かい、校舎の壁をよじ登り始めた。後には、カツラが風で揺れる教頭だけが残さった。

どうも、大日です。

当たったのは、噂をすると影、です。

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