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鬼狼の刃  作者: 大日小進
一章、異世界編
39/42

36、未知との遭遇?

どうも皆様、大日です。

1ヶ月振りの更新、楽しんでください。

「───さ、さ、さぁ………桜木!」


 カツン、そんな音を立て崖に右手で持った杭と下駄に結び付けた杭が突き刺さる。左手に持った杭を引き抜き、崖に空いたヒビに突き刺し、しっかりと突き刺さったか確認し、下駄の杭を引き抜く。


「ぎ、ぎ、ぎぃ………銀座!」 


 さて、龍牙はたった一人で何をしているのか、それはセルフしりとりだ。最初はただの暇潰しの為にやっていたのだが、やっているうちに楽しくなっていたのか、二十分間登り続けたた今も続いていた。

 そしてそこから更に五分、ようやく崖の上から光が見えた。


「よっしゃラストォ!」


 気合いを両腕両足に込め一気に体を崖の上へ持ち上げると、その先には───また崖があった。


「ざっけんなくそったれがぁぁぁぁぁぁ!」

《スキル『咆哮』を手に入れました。スキル『咆哮』のレベルが4に上がりました》


 階層内に龍牙の殺気が大量に混じった怒りの咆哮が響いた。

 余談だが、この咆哮により、レベルの低い何体かの魔物がショック性の心臓麻痺により命を落とした。


一時間後………


「あ~、クソッムカついたぁ」


 崖の突き出した岩の上で寝転がったまま龍牙は瓢箪の酒を飲み干した。

 周りは穴が空いてはいないものの、強い力で叩かれたへこみができ、ボロボロになるまで破壊された岩や地面と白い粉。この白い粉、その正体は十五分程前にまで戻る


十五分前………


 龍牙の怒号につられ顔を出したのは、スケルトンの群れなのだが、タイミングが悪かった。

 機嫌がすこぶる悪い龍牙の後からノコノコと現れ、挙げ句のはてには持っている刀剣を振り上げた。振り上げてしまったのだ。

 敵意を感じ取った龍牙は振り向きながら抜刀。二、三体の胴を薙ぎ、返す刀で更に二体を崖に縫い付けるように投擲(とうてき)肋骨(ろっこつ)の間に刀が突き刺さるのを確認する前にアイテムボックスから取り出したのは大鎚。装飾の無いシンプルなデザインの黒い大鎚、特徴と言えば片方が肉だたきの様にトゲが出ている事ぐらいである。全てが神珍鉄で作られたそれの持ち手の部分だけを伸ばし、時に片手で、時に両手で、また時には背中の上で振り回す。剣舞の大鎚版とも言えるそれは例えるなら黒い死の暴風。愚直にもスケルトンが迫る度に舞い上がるのは血煙では無く微塵に粉砕された骨粉。スケルトンが纏う鎧と刀剣はスケルトンが死ぬとその姿を消した。別に迷宮に吸収された訳では無い。無意識に発動した龍牙のスキルの一つ、『自動転送』によりアイテムボックスに直接転送されたのである。しかしそんな事は気にしない龍牙、大鎚の振り回しを止めるとスッキリとした顔で最初の方で突き刺し、崖に縫い付けられたスケルトンに近づいた。

 スケルトンは先程から逃げようと己の肋骨から刀を抜こうとしているが、刀はしっかりと突き刺さっている上に、総重量が10トンを越える業物である。抜けるはずが無く、抜いたとしても重さで支える事が出来ず、余計な傷を作るだけである。龍牙は逃げられず、もがくスケルトンの頭蓋骨を握り締めると、


「あばよ、骨野郎」


 捕食を纏った足で二体を貫いた。


《スキル『敵意探知』を獲得しました。固有スキル『捕食』で奪取した『気配探知』とスキル、レベルが統合されます。『気配探知』のレベルが7に上がりました》

『龍牙のレベルが53に上がりました』


 ポーンと言う電子音と共に、戦闘は終了した。


そして現在………


「登りたく無いなぁ」


 龍牙の目の前には先程登った崖と同じの大きさの崖が鎮座していた。しかし登らなくては先に進めない。どうしたものかと考えると、崖の一部が脆いのが分かった。


「なるほどねぇ」


 いい作戦が思いついたと笑うと、龍牙は早速アイテムボックスから道具を取り出し、作業に取り掛かるのだった。


side?


 はしる、疾る、走る。隣を走る仲間より早く、一族の頭としての誇りを胸に走る。彼自身、何故走るのかわからない。しかし、先程咆哮を聞いた時から本能が囁いていた。あの声の元へ、あの声の元へと行かねばならぬ、と。

 やがて、彼の足が止まった。たどり着いたのは先代から伝えられた禁忌の崖。その(………)が来るまで行っては行けないと言われた禁忌。

 ふと、両隣に気配を感じ、振り返った。


「西の、それにお前らか……」

「久し振りだな、東の」

「……貴方達も、聞いたの?」

「北の、お主何か見えてはおらぬか?」

「……ダメ、何も見えない」

「ちょっと! 頑張んなさいよ北の!」

「南の、お主は少しせっかちすぎる、落ち着きを持て」

「そうだよ、姉さん」

「あんたもおじいさんも黙ってて!」

「南の弟、お主苦労するなぁ……」

「慣れたよ、もう」


 西の(かしら)が、南の(かしら)の弟を慰めている隣で、北の(かしら)は偶然聞こえた音に耳を向けた。


「……何か来る?」

「その何かがわからないと意味無いじゃない、馬鹿ぁ!」

「……馬鹿は酷い」

「姉さん、流石に馬鹿は無いよ」

「どっちの味方なのよあんたは!」

「え、え~……」

「……私の味方、異論は認めない」

「モテるな、南の弟」

「見てないで助けて東の兄さん」

「無理だし嫌だ、あの中に入りたくは無い」


 バチバチと火花を散らす様な視線が南の弟のすぐ目の前で衝突し、青い顔で東の頭に助けを求めるが、そっぽを向かれた。

 北と南の頭が南の弟を間に向かい合うと、まるで西部劇の如く荒野の背景が浮かび上がる。

 そしてその前をコロコロと枯草───では無く、キャッキャッと子供達がボールの様に転がる。


(オイ、誰かあいつらこっちに連れて来いよ)

(無理っすよ御頭(おかしら)。御頭こそ連れて来てくださいよ)

(バカ野郎! 俺が死ぬだろが! そうだ、南の弟、お前連れて来い!)

(御頭、南の弟さん気絶して西の翁に看病されてます)

(何があった弟ォォ!)


 小声で叫ぶと言う器用な事をする東の頭の目の前で、コロコロと子供達は崖に向かって転がっていった。


「いけねぇ! オイ、南か北の! どっちでもいい、ガキ共捕まえろ! 」

「ヘ? あっ危ない!」

「……いけない、戻って!」


 南の頭の弟を看病している西の老骨以外が慌てて子供達を確保しようとするも、届かず、姿を消した。


「オイ! ガキ共、平気か、返事しろ! オイ!」

『──ちゃーん、あんちゃーん、下だよ、下ぁ』

『僕たちはだいじょーぶだよー』

「下? クソッ崖の下か!?」

「待って、何しようとしてんのよあんた!」

「ガキ共の迎えに決まってんだろ!」

「……ダメ、この高さからだと死んじゃう」

「じゃあどうしろってんだ!」


 姿を消した子供達を助けようと、崖に降りようとする東の頭を南と北の頭が止め、言い争いをしていると、突如、地面から生えた腕が、東の頭の足を掴んだ。


「なっ! 」

「クッこんな時にアンデットって! 」


 腕は慌てる頭やその仲間に襲い掛かろうとする素振りすら見せず、出てきた穴の周りの草をあらかた引きちぎると二本目が生えた。そして腕は飛び出した穴の淵に手を掛けるとその体を引きずり出した。そこには、


「あんちゃん! ねえちゃん!」

「ガキ共!」

「……怪我は、怪我はない?!」


 先程姿が消えた子供達と、


「あ~くそ、落ちたり落ちてきたりって今日は厄日か? オイ」


 見たこと無い男が這い出てきた。

どうも皆様、大日です。

テスト関係で投稿出来ず、すみませんでした。


キジン リュウガ 15 人間《?》

天職 侍 忍 猟師 天魔 神《未発達》

LV53


生命力  79500

筋力 111300

耐久力  95400

敏捷性  63600

魔力 111300

魔力耐性111300


固有スキル

スキル

咆哮LV4 気配探知LV7

魔法属性

特殊属性

称号


スキル紹介


スキル『咆哮』

魔力がこもった声を自身を中心に放射状に放つスキル。レベルが上がると、声の届く範囲が広がる。また、魔力を使う為、自身の魔力量より小さい魔法を弾く事が出来、相手の体内に魔力を直接叩き込む為、一時的に魔力を使った行動を阻害する事が出来る(魔法や、魔力を使った筋力などのブーストなど)。


スキル『気配探知』

少量の魔力を使い、周囲の様子(地形、生物の有無など)を判断するスキル。ぶっちゃけソナー。


スキル『敵意探知』

スキル『気配探知』の下位変換版。此方は敵意のある物だけが探知される

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