20、数分前の事 魔法戦
「く、来るな、こっちに来るなぁぁぁぁ!」
「ク、クク、ククククク」
「フ、フフ、フフフフフ」
「いや、来ないで、こっちに来ないでよぉぉ!」
「ククク、クハ、クハハ、クハハハハハ!」
「フフフ、フハ、フハハ、フハハハハハ!」
阿鼻叫喚。まさにそう表現するしかない状況が神々の目の前に現れた。
泣きわめき、逃げ惑う魔法特価の神達、そしてそれを笑い、一歩、また一歩と追い詰めていくのは、いまだ英雄でも、神々に名を連ねてもない悪魔のような表情の二人の人物。
「フ、フレアボール、サンシャインボール!」
「補食!」
意を決し、一人が魔法を放つが、龍牙が右手に持った千刃骨丸で目の前の空間を撫でる様に切ると、まるでラグビーボールのように端が尖った楕円形の暗闇が発生、魔法を飲み込んだ。そしてそのまま、
「オラァ!」
反対からヤクザキックを叩き込むと、黒く染まったフレアボールと赤黒いサンシャインボールが現れた。
「ヘ?」
目の前の摩訶不思議な現象に思わず呆然とする魔法特価の神達、しかしそれがいいはずがなく、
「よっこい、しょっ!」
右手の千刃骨丸を魔法神達に向けると、それにつられるようにダークフレアボールとブラッディサンシャインボールが動き、千刃骨丸を伝って流れる魔力を吸収しながら大きくなり始め、回転しながらゆっくりと尖り、ドリルのようになり始め、照準を魔法神達に向けた。
「クソっ、オーシャンボー……グフォッ!」
ターンと言う音と共に魔法をぶつけ、消火しようとした魔法神の首が吹き飛んだ。闘技場内の魔法神どころかモニターまでもが音の発生源を向くとそこには、
「殿の邪魔はさせぬぞ」
眼光鋭い黒牙が左腕を支えにロングバレルタイプのデザートイーグル(特注品)を構え、発砲していた。そしてそのまま銃口を左右に動かし連射、龍牙の邪魔になりそうな魔法を唱えている魔法神の首を吹き飛ばし、額に鉛弾を叩き込み、トドメを刺した。
「敵陣は開きましたよ、殿」
「あれだあれ、パーフェクトってヤツだよ、黒牙」
「お褒めいただき至極光栄です、我が殿」
龍牙は向けたままの千刃骨丸をゆっくりと自分の胸に近づけ、その場で突きを放った。それにつられるように魔力を込めに込められた魔法が、スパークを起こしながら動き、魔法神達の真ん中に着弾した。着弾した魔法は渦のように開き、周囲に轟音と灼熱、閃光を撒き散らす。それは龍牙達も対象外ではなく、
「熱い、これスゲー熱い! しかもまぶしい!」
「と、殿、少しは考えて魔法を放ってくださいよ!」
「目、目が、目がぁぁぁぁ!」
「ちょっと殿、ネタに走って逃げないでくださいよ!」
やがて熱が冷めると、
「あ~、やり過ぎた?」
「やり過ぎですね、殿」
溶けに溶け、ガラス質になった地面が現れた。しかし、
「まぁ次気を付ければいいか」
「そうですね」
たいして気に止めてなかった。
『『『『『いや、いけないだろ!』』』』』
本日二度目の観客が一体になった瞬間だった。
しかしやはり二人は気にしない。
龍牙は魔法銃を帯に収め、右手に魂鬼一文字、左手に千刃骨丸、髪を使い血吸い濡れ烏を持ち、黒牙は両手に小太刀を持ち眼前に持っていき、
「我、人の子にありながら狼と鬼の魂を持ちし者、我、禁忌と知りながら侵す傲慢で愚かな人の子、我、願うは敵を討つ力、しかし我は、傲慢な人の子、願うは意志ありながら敵を討つ事なり、スキル【狼鬼化】発動!」
「我、狼でありながら人に使える者、しかし我が、願うは、いまだ人に使える前の我なり、我、いまだ野性の意志はあり、いま一度我に力を取り戻させよ、時空間魔法、【我、戻りしは古の肉体】」
二人が呪文を唱え終え刀を納めると、体に変化が現れた。ベキッ、ボキッと、体の各所から音が立ち、龍牙はあの転移の時の巻き戻しのように角が生え、筋肉が隆起した、黒牙はあまり変わってないように見えるが、尻尾が三本に増え、僅かに漏れ出た妖気が擦れ合い、稲光を起こしていた。
「さて、殺るか?」
「はい、我が殿、龍牙様、楽しい楽しい死合を始めましょう」
殺気をぶつけ合い、余分な羽織、刀、銃をアイテムボックスに仕舞い拳を構えた二人は、互いの頬に拳を叩き込んだ。
間に合ったぁぁぁぁ!
どうも、大日です。
誤字脱字があったら教えてください。
ちなみに黒牙のデザートイーグルは吸血鬼を殺す最強の吸血鬼の銃(文字なし)をイメージしてください。




