19、数分前の事 接近戦
両足に力を込め、疾風のように闘技場の中を走り回り、目についた相手の首を片っ端から右手の魂鬼一文字と、魔力操作で操り、柄を覆い尽くし刃として使える細さにし、物質変化で同じ鉄にした延長型血吸い濡れ烏で切り落とし、刺し貫き、柄で殴り飛ばし、鞘を叩き付け、相手の顔の高さまで飛び上がり回し蹴りや、踵落としを叩き込み、実弾と魔法で貫く。
「ククククク、まだだ、まだまだ｜こいつら(魂鬼一文字、血吸い濡れ烏)は血を、魂を、吸い足りんとよぉぉ！！」
顔に返り血を付けたまま走り、生首を量産するその姿、まるで殺人鬼か狂戦士のよう。その容赦ない姿に神々は恐れを抱き、それが一定量を越えた時、龍牙の脳内をポーンと言う電子音が鳴り響き、文字が浮かんだ。
『称号、【神々の悪夢】、【百柱切り】、【狂刃振るい】が加わりました』
新たに称号が贈られた。３ヶ月ぶりの称号、それは、腹ペコの獣に肉を与えるようなこと、龍牙は、焦る気持ちを抑え、得た称号を【鑑定】した。
「【鑑定】、対象、【神々の悪夢】、【百柱切り】、【狂刃振るい】」
そして、鑑定結果が出た瞬間、龍牙はゆっくりと笑みを浮かべた。それは、犬死に覚悟で突っ込もうとした英雄が思わず止まるほど、恐ろしい獰猛な獣のように裂けた口の笑顔だった。その鑑定結果がこれだ、
『【神々の悪夢】神々に悪夢のような光景を見せつけた者に与えられる称号。神、天使に名を連ねる者に強い殺気をぶつけ、絶望を植え付ける事が可能になる《ただし、味方は対象外》。また、神に名を連ねる者に与える攻撃の威力を三割程高める』
『【百柱切り】神、または神に成り欠けた者を百人以上切った者に与えられる称号。神、または神に成り欠けた者を切りやすくなる』
『【狂刃振るい】狂ったように相手を切った者に与えられる称号。相手に囲まれた際、一撃が重くなる』
「ククククク、発動、【神々の悪夢】、【百柱切り】、【狂刃振るい】ィ！！」
龍牙は狂ったように笑い声を上げると、再び敵陣に突っ込んだ。
先程より、尚濃い死の気配を振り撒いて。
龍牙side 終了
黒牙side
「シッ、フッ、セイッ！」
龍牙が戦っている反対側で、黒牙も戦っていた。
その身の軽さをいかし、ある時は伸縮自在の小太刀で首を飛ばし、ある時は電磁加速した実弾で複数の首をもぎ取る。また、ある時は黒牙本来の姿、三メートルちょっとの狼の姿に戻り、爪や牙で狩っていた。
「ムッ？」
不穏な気配と影を感じ、後ろを振り向くとそこには大剣を構えた筋骨隆々の大男がその手の大剣を振り下ろしていた。
「あらら」
短い声を残し、黒牙は大男の起こした剣圧で巻き上がった土煙に沈み、血飛沫が飛んだ。
「よっしゃ、あの悪魔の相方を狩ったぞ！」
思わずガッツポーズをとる彼、しかし、その彼の真上に影がさした。
「なっ！」
彼が見たもの、それは無傷で自分に向かって降りてくる悪魔の相方。見れば、先程の血飛沫はきれいさっぱり消えている。そして気付いた、先程の狼の姿を、その狼の尾の数は三本。そこから導き出せる答は、
「ま、まさか、妖狼の妖術で幻を？」
「おしい、しかし正解に近し！」
その声を聞いた瞬間、彼の首が飛ばされ、消えた。
『『『『『騙されたぁぁぁぁ！』』』』』
観客席からの絶叫。とくに、真実を司る神の叫びが酷かった。そして、それが一定量を越えた時、ポーンと言う電子音が鳴り響き、
『称号、【神をも欺く者】が加わりました』
黒牙は、「フム？」と呟くとスキル【鑑定】を発動させ、鑑定した、その結果はこれだ、
『【神をも欺く者】神を欺いた者に与えられる称号。神以下の魂の持ち主に幻術の類いを使うと騙しやすくなる。また、騙されなくなる』
黒牙は称号を発動させず、そのまま正面に立った敵の首を狩ると、周りを見渡した。いつの間にか、敵は龍牙に吹き飛ばされている者と、後ろら辺で震えながら何度も魔法を唱え、そのたびに龍牙の殺気で邪魔されている団体だけ。再び、「フム」と呟くと、氷で椅子を作り、煙管を取りだし、一服。
「後は魔法使い達だけらしいですし、殿が来るまで待ちますか」
そして、「それにしても……」と呟き、龍牙を見て、
「殿、貴方はなにを目指しているのですか」
何処かで教育を間違えた気分の黒牙だった。
黒牙side 終了
とある第二宇宙の中級神Side
(嫌だ、信じたくない。誰か、誰か嘘だと言ってくれ)
「信じたくない、僕は信じたくないんだぁぁ！！」
まだ年若い中級神が叫んだ。その視線の先にいるのは、二人の人影、彼の目に映る死神のような人影は無事合流した龍牙と黒牙だった。
どうも、題名の変えかたが分からない大日です。
後二、三話でクラスと合流予定です、お付き合いください。
誤字脱字があったら教えてください、コメントも待ってます。
にしても、主人公こんな性格じゃなかったはずなのに、どこで間違えた。
追伸
龍牙の笑い声変えました。
