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鬼狼の刃  作者: 大日小進
一章、異世界編
2/42

プロローグ 2

第二話です。

定期的は、早期的の間違いです。すみません。

 丑三つ時から30分がすぎ、2時30分、寝室には二人の人影があった。


「まあ、だいたいのことは分かった……と思う」

「な、なんだと」

「おい、待てじいちゃん、それは俺を馬鹿って言っているのか? 」

「いや、だってお前、実際に馬鹿だろ」

「違うわ! ちゃんと成績上位に入っているから馬鹿じゃない」

「いや、お前、久美子になんかあるとその元凶潰そうとするだろ」

「うぐぅ」


 事実だ。そして何も言い返せない孫に容赦ない攻撃が刺さる。


「例えば、あの不良絶滅寸前事件」


 それも事実だ。その時は六年生で、三年生の不良が当時二年生の姉に絡み、文化祭でたまたま来ていた龍牙がそれを竹刀と木刀でぼこぼこにしたのに留まらず、大掃除だと言わんばかりにそのまま不良の溜まり場のクラスに突っ込み、竜明、久美子が駆けつけた時には不良は軒並み倒され、残りは教室の隅で震えていた。そして隅の震えている不良も潰そうとした所で久美子のストップがかかり、それからというもの、鬼刃一族の娘に手を出すと名前のとうり、鬼のような表情の少年が出ると町の不良どころか裏道の者にまで有名になったのである。ちなみに学校からは注意どころか感謝された。

 そしてそのことを思い出させられた龍牙は、


「やめろぉ、いや、やめてくださいお祖父様ァァァ」


 効果は大きかった。否、若干大きすぎた。耳を塞ぐと龍牙は布団の上を転がりだした。


「まぁ、いい。そういう訳だから明日、学校に行くんだぞ」

「いや、よくないから、つーか行きたくない」

「な、なぜだ!」

「あほかじいちゃん、ここと違う世界に連れてかれるのに行くやつがいると思うか? 」


 ちなみに三十分間の話の内容は、 

曰く、明日異世界に連れて行かれる。

曰く、そこでは、命の価値が紙のように軽い。

曰く、魔物や、戦争が起こりやすく、命を落としやすい。

曰く、こちらの世界ではふるえなかった力を存分にふるえる。

、ということだった。


「リスクに対してリターンが軽すぎだろ! 何だよ、良いことって4つの中で力をふるえることしかないだろうが! 」

「そんなこと言ってもなぁ、文明のレベルが低いからなぁ」


 そして、こんなことは言いたくなかったし使いたくなかったがな、と竜明は思いながらもある意味切り札を切った。


「久美子に、姉に会えるのになぁ」


ポツリ、と呟かれた言葉。しかし効果は抜群だった。


「いま、なんつった?」

「いや、待てよ」

「早く答えろ」

「待てって龍牙、首、首に刀が当たっているから」


 呟かれた言葉が龍牙の耳に入り、鼓膜を揺らし脳が意味を理解した瞬間、龍牙は、置いてあった刀を蹴り上げ、鯉口を切り、刀身を抜き首に当てたのである。

 本当は強いくせに弱々しいふりをする祖父に舌打ちをすると刀をゆっくりと首から離した。


「で? 答えろ、じいちゃん」


 龍牙は促すが、「お~痛ぇなぁ」と、わざとらしく首をさする祖父に再び舌打ちをすると刀を突きつけた。


「おい」


 呟かれた一言。しかし今度は本気だと言わんばかりに殺気も交ざっていた。


「分かった、分かった」


 しぶしぶと、姉、久美子が異世界で生きている事、チートを与え、今二十歳になったということを教えた。

 そしてそれを聞いた龍牙は、


「そうか、姉ちゃんがいるなら行かないといけないなぁ」


 本当に同一人物か? と、問いかけたいほど機嫌が良くなり、顔が綻んでいた。

 そして、「なら明日学校で」と竜明に声をかけると矢を引き抜いた布団を頭からかぶった。


「お、おい龍牙? 」

「明日に備えて寝る」


 そして寝息が布団から響き始めた。


「はぁ」


 竜明は「だめだこりゃ」と言わんばかりにため息をつくと来た時と同じ様に薄れ、最後に光の球になると消えた。

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