14、修行終了の条件
カラン、カランと下駄の音が鳴る。その前をトン、トンと草鞋の音が鳴る。着物を粋に着こなし(と言っても彼等自身『粋』と言う物が分からない為、ただ着物の前を広く開けているだけである)、袴を羽織り、魔法銃を帯に挟み、刀を腰に下げた、完全武装の龍牙と黒牙だ。二人は、今来たときと同じように真っ白い空間を歩いていた。あと三十分もした所に竜明達が待っているはずだ。
「なぁ、黒牙」
「はい、何でございますが?」
「暇だ、何かないか?」
「何かと言われましても、あるのは私のステータスプレートくらいですよ?」
「あ、じゃあ、それ見せてくれよ」
「はい、分かりました」
着物の懐からステータスプレートを取りだし、龍牙に手渡した。それは、龍牙の色と正反対の白い縁のステータスプレートだった。
コクガ ??? 白氷妖魔狼帝
天職 妖狼 天狼 忍び
LV1000
生命力 1200000
筋力 1800000
耐久力 1800000
敏捷性 1400000
魔力 1800000
魔力耐性 1800000
固有スキル
鑑定 アイテムボックス 言語翻訳 縮地 神速
捕食LV4 強運 殺意の波動 人化 幻術
属性合成 毒生産 合成 魔力操作 超再生
物質変化 模造 龍の息吹き《氷 麻痺
水 風 雷》
スキル
刀術LV10 短刀術LV10 槍術LV10
体術LV10 射撃LV10 解体LV10
偽装LV10 二刀流LV10 手加減LV10
遠吠え 威圧 全属性状態異常耐性 妖術
忍術 調理LV10
魔法属性
水 風 土
特殊属性
闇 雷 氷 時空間
称号
最後の狼 神獣 龍殺し 龍喰い 竜殺し
竜喰い モフモフ 苦労人 戦闘狂
生存欲 捕食種 一騎当千 狼王の資格
妖怪の頭 古代より生きし者
はっきり言って龍牙と負けず劣らずの化け物だった。
そして気付いた人もいるかもしれないが、天職の妖狼、天狼これが意味すること、それは、黒と黒牙は同一人物、否、同一動物だ。あの龍牙が二日酔いでダウンした時、人化の術を(強制的に)身に付けたらしい。
ちなみに、今の彼の服装だが、龍牙と色が正反対の羽織(背中に狼)、着物、袴、同じ素材で作られた武器(小太刀二本、デザートイーグルの形の魔法発動機)、額当て、神の世界の藁で編まれた草鞋、同じく、神の世界の糸で作られた足袋と、龍牙と同じくらいの侍ファッションになっている。
そして、そんなこんなで、
「殿、おりましたよ、ご隠居様方が」
「あれ? もうついた?」
龍牙がステータスプレートから目を離すと、そこには手を降る竜明達が待っている。
「やっと来たか、龍牙」
「ああ、だけど、どこに行くんだ?」
「付いてきたらわかる、頼んだ、エナ!」
「わかってる、『ゲート』」
エナが魔法を唱えると、いつかの焼き直しの様に半透明の門が表れた。
「さあ、行こうか、神の街、ユグガルドへ、そしてお前の修行終了の条件、英雄の武道大会優勝へ向けて」
そう言うと、竜明はゲートに入った。その後をエナやエリスが「あっちで会おうねぇ~」と、手を降りくぐり、ドラガルド達が「絶対勝てよ!」と念を押してくぐり抜ける。
「俺たちも行くか?」
「はい、そうしましょう」
龍牙と黒牙は互いに頷くと、ゲートをくぐり抜けた。あの時と同じ様に、一瞬浮遊感を感じ、無くなる。
ゆっくりと目を開ける、すると、
「おお! すごい!」
「綺麗な所ですね、ここは」
草花が咲き誇る色鮮やかな街があった。
「殿、我々は神々の英雄達から勝てるでしょうか?」
「勝てるさ、俺たちならば」
「しかし、相手は下級の中でも上位に位置する神になりかけた英雄達ですよ?」
「俺とお前だから勝てる、これは絶対だ」
どこまでも、自分たちが最強と1片の疑いが無い龍牙に、黒牙は、やはりこの人には敵わないな、と思いながら、頷き、
「それでは、優勝を目指し、頑張りますか、殿!」
「当たり前だ、黒牙!」
ここは、ユグガルド、神々の街。その街に人で有りながら、存在する青年に、ある神は興味を、ある者は侮り、大会を目指した。
「さあ、優勝目指して頑張るぞ!」
「はい、殿!」
完!
嘘です。嘘ですから石投げないで!火炎瓶は洒落にならないからやめてぇ
さて、気を取り直し、鬼神の剣をお読み頂き、誠にありがとうございます。この次は、長めの戦闘シーンになりそうです。
誤字脱字があったら、教えてください。また、感想も、待っています。
3月9日、ステータスを改変しました。