11、自己紹介をしようか
ちょっと今週の週末は投稿できるか怪しいです。
鬼刃家の大広間兼、食卓では、七人の男女と一匹の狼が食卓に食事を置き、座っていた。
「それじゃ、まずは自己紹介からするか」
誰もが喋らない中、突如老人が手を叩いて言った。老人の名は鬼刃竜明、龍牙の祖父だ。
「まずはわしから、と言いたいところじゃが、名は知っとるからいいか。まああちらでは英霊神とか色々やっとる。じゃあ後は頼んだ」
右隣の男の肩を叩き、そう言うや目の前の唐揚げに手を伸ばし始めた。
叩かれていた男は、異様な姿だった。頭には二本の枝分かれした角が生え、全身には白いゴツゴツとした鱗、背中には1対の翼、そして尻からは尻尾が生えていた。
「はぁ、お前なぁ。まあいい、我は龍人族の始祖にして水と風の神、ドラガルド・ガルガスだ。よろしく、竜明の孫」
目の前に出された手を二、三秒見て、次に顔を見て、龍牙は笑顔で握手を交わした。
「よし、じゃあ次は俺様だ」
ドラガルドの反対にいた男が手を上げた。この男もまた異様な姿をしていた。しかし、今度は鱗ではなく、毛で覆われていた。
「俺様の名はウォルフ・ファガルトってぇんだ。管轄は戦と火炎と獣人族の神の代表、にしても、お前、ガキみたいな顔をしているなぁ、オイ」
「ア゛ァ゛?」
「ん?なんか気にさわったかガキ?」
「テメェ、表に出ろや、この犬面ヤローが!」
「へ、テメェみたいなガキがそんな顔しても恐かねぇんだよ!」
「潰したろか、この顔面発情犬が!」
「よっしゃ上等だこのガキャ、格の違いってぇもんを教えてやるよ!」
「止めなさい、お馬鹿達、特にウォルフ、何喧嘩ばらまいているの」
「そうよぉ、ウォルフ、今のは完全に貴方が悪いわよ」
二人が声の方向を向くと、そこには、満面の笑みを浮かべた二人の女性と少女がいた。但し、どこかでのんびりした口調の女性の手の回りには人の形をした何かが飛び回り、パチパチ音を立てていて、少女の手にはゴツゴツした杖が握られており、炎が激しく音を立てていた。
「ちょ、ちょっと待て、お前ら、分かった、分かったから精霊魔法とギリギリまで魔力込めた火属性魔法は危ないからやめてくれ! 」
「反省した、ウォルフ?」
「反省したって、本当にしたって。だからそれをおさめてくれ!」
「ごめんなさいねぇ、龍牙君、ウォルフったらお馬鹿だから許してあげてねぇ?」
「よし、じゃあ許す!」
「おぉ、龍牙君偉い。あ、そうそう、私はエルフ族の神で森と精霊を司ってるエリス・フォレント。で、このローブを来てるのが」
「あちらの世界最古の魔法使い、エナよ、よろしく、新しい教え子の龍牙君と黒君」
これで龍牙と黒以外の、この場にいるという条件だが、全員が自己紹介を終わらせた。全員の視線を感じ、若干居心地が悪いが、自己紹介をした。
「俺は鬼刃龍牙、好きなものは姉ちゃんと御飯と昼寝、あと最近困ったことは顔が全然男らしく成長しないこと」
『黒と申します。最近困ったことは殿が山で猪とばかり遭遇していて生肉が多かったことです。皆さま、よろしくお願いいたします』
「うむ、全員これで終わったな、じゃあ、今日はこのまま宴会にしておくか! じゃあ、乾杯!」
竜明の音頭に合わせ、五人の杯や、ビールジョッキが音を立て、龍牙のスポーツドリンクの入ったグラスも音を立てた。
宴会はまだ始まったばかり。