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そう、俺はあの時死んだ筈だったのだ。
それが何故、生きているんだろう。
何故、目の前で村が炎に包まれているんだろう。
そして、俺が抱えているこの血まみれになっている、このオークは誰なんだろう。そう考えていた頭の中に此の幼子のオークが過ごしてきた10年間の記憶が流れ込んできた。
その急激な情報量に脳がついてこれず激しい痛みとなって俺に襲いかかってきたが、これ以上の痛みやこれと同じぐらいの絶望に耐え凌ぎきった経験があった俺は、意識を失うことなく耐えきった。
そして、俺の脳裏に此の幼子の記憶が蘇ってくるのと同時に、やっと生の苦しみから解放され、死の安らぎについていた俺をこんな歪んだ形で転生させた神とやらに激しい怒りを感じ又、この幼子に対しても俺は激しい怒りを感じていた。
確かに、生まれ愛した村が突然襲われ焼かれ、母親が早くに亡くなった代わりに精一杯の愛情を注いでくれた父親が無惨な姿で亡くなり、絶望し心が死んでしまったのだろう。
だが、それでも、己が愛した村が壊されたのなら、己を精一杯の愛情を注いでくれた父親がいたのなら、それを糧に立ち上がれよお前は、嘗て俺が日本人だった時に喉から手がでるほどに欲しかったものを手にしたお前がこんな所で、魂が砕けてしまうなよ。
そして、俺は嘗て此の地に召還された日のように、天に向かって咆哮をあげた。
ひとしきり吠え続けた俺は、徐々に落ち着きを取り戻し、気持ちを切り替えた。
此の幼子のオークには、悪いが此の村を襲ったミノタウロスに復讐をするつもりない。其れよりも、折角新たな人生を歩めるのなら、この世界を自分の思うままに生きさせてもらうと決意し、そのケジメとして、この村人たちの遺体を埋葬しようと決意した。
其れから一昼夜かけてミノタウロスに喰散らかせられた遺体を此の村の信仰の対象としていた精霊樹の下に父親を抜かした村民全員を埋葬し、この村で信仰していた精霊ドリアードに村民全員が安らかな眠りにつけるよう祈りを捧げた。
この時に精霊ドリアードから現在の呪印を授かった。
そして、この幼子を愛し育てた此の父親だけは、此の村が一望できる小高い丘に墓を作り埋葬し、祈りを捧げた。
父親を埋葬し終えた俺は、父親が生前狩りに使用していた狩弓と簡易用の収納袋を拝借し、嘗て此の幼子が過ごした家の残骸の傍に腰掛けながら一夜を明かし、体を休めた。
翌朝俺を起こしたのは、此の村に向かって来る馬の足音だった。




