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輪廻転生蘇生語り  作者: 悠
First 00.
1/3

00.輪廻奏者の少女のこれまで

「とある世界の反乱紀」を差し置いて新たな連載を始めさせていただきます。

えー、「とある世界の反乱紀」は二度と書かないというわけではありません。

また、このお話がひと段落ついたら始めようかなと考えています。

よろしくお願いします。

一番初めの記憶は綺麗な部屋。

足に絡まる金の鎖と手首に絡まる銀の鎖。

細いけれど決して外れない鎖を身にまとい、豪華なドレスを着せられて、

今日も『お客様』と出会う。

『お客様』はみんな眠っている。

深い深い二度とさめぬ眠りについて、転生するのを待っている。

でも、私によって覆される。

輪廻転生の輪から外れ、人として終えたはずのせいをもう一度人として生きる。

彼らが望む次の人生は訪れない。

私が死ぬその瞬間まで。

可哀そうだけど、私も逆らえないのです。

逆らえば周りが怖いから、どうか許してくださいな。

目覚めの時は強制的に訪れる。

起こしてしまってごめんなさい。

けれど、私は逆らうことはできないから。

今日も、私はこの命と引き換えに『お客様』を目覚めさせるしかないの――――――




❀☾❄❀☾❄❀☾❄❀☾❄❀☾❄




姫癒樹きゆき。今日のお客様はとても大事な方だ。

失敗すれば、紗有沙さゆさの命はないと思いなさい。」


紗有沙。

私の大切な妹。

我が一族の中で、珍しく短命に生まれてしまった輪廻奏者りんねそうしゃ


私が10歳。

紗有沙が4歳のときに、この男に誘拐されて、今に至る。


「はい、利刀りとう様。」

「紗有沙はお前が働かなければ使うからな。」

「承知しております。」


紗有沙に輪廻奏者の能力は使えない。

短命に生まれた輪廻奏者は、その命を使えばたった一度で死んでしまう。


「この仕事を成功させれば紗有沙に会わせていただけますか?」


紗有沙、あなたはもう20歳ぐらいかしら。

私、あなたに会わないからあなたの顔が思い出せないの。

たった一人の私の家族。あなたに会いたい。


「いや、ダメだ。」

「何故?」

「お前は紗有沙を連れて逃げるつもりだろうからな。」

「金づるとしては十分働いたつもりですが。」

「まだ足りないに決まってるだろう。」


何故、人はここまで貪欲になれるのだろうか。


「あと、どれくらいで紗有沙に会えますか?」

「紗有沙が死ぬ前には会わせてやるよ。」


ああ、それだけなんですか。

私はいつまでここにいるのだろうか。

抜け出したい。

この檻から。

紗有沙。

あなたはどこにいるの?

私は、あなたとともにここを出たい――――




❀☾❄❀☾❄❀☾❄❀☾❄❀☾❄




その機会は、とても早く訪れた。


鈹柴かわしば利刀、お前は美桜陛下の名のもとに無期懲役永久労働の刑に処す。」


突然踏み込んできた男たち。


あの男を捕らえ、どこかに連れて行く。


「君、名前は。」


うす紫の髪に闇夜の瞳の男が私の前にいた。


「………助けてくれてありがとう。他に女の子はいますか?」

「いいや、いなかったよ――――――生きてる子は。」


質問に質問を返した私を怪訝な顔をするでもなく、痛ましそうに見つめた。

それだけで、理解する。

紗有沙は、もう、この世にいないことを。


「遺体は……?」


認めたくなかった。

生きていなかったなんて。


我が一族は、輪廻奏者の業を背負うから、輪廻転生の輪を外れる。

輪廻転生の輪を外れた者は輪廻奏者の恵を受けない。


すなわち、紗有沙は二度と目覚めない――――――


そっと連れてこられた霊廟で、穏やかに微笑み眠る銀髪の少女。

閉じられた瞳には輝かしい水色の瞳があったはずなのに。

記憶の少女よりも大人びて、私よりも成長している紗有沙。


あなたと最後に話せたのは、あなたが4歳の時だった。


二度と、あなたと話せない。


「……紗有沙。」


どうか、安らかなる眠りを。

どうか、輪廻奏者の業を背負わず、次の世へ。

輪廻転生の輪に戻れるはずがない。でも、あなたは短命の子だったからもしかしたら戻れるかもしれない。

だからどうか、次の世で幸せになって。




❀☾❄❀☾❄❀☾❄❀☾❄❀☾❄




人身売買を行い不可解な方法で人をよみがえらせた重罪人、鈹柴利刀。

1935年 那領国女王美桜により、無期懲役永久労働の刑に処される。

踏み込んだとき、地下に眠っていた一人の少女は手厚くもう一度土に埋められた。

奥の部屋で鎖につながれた少女は、忽然と姿を消した――――

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