真神創の日常、新世界へのプロローグ
これは、全くもって参考にならない『世界のつくりかた』を記した神話である。
「くっそ暑い・・・ちくしょー、太陽爆発しろ・・・」
なんとも頭の悪い愚痴をこぼしながら、俺はコンビニへの道を歩く。
7月上旬、あとちょっと頑張れば高校生活二度目の夏休み。
そんなとある猛暑日、他のツレどもが汗を流して部活に励むなか、帰宅部である俺は、冷たいアイスを求めてコンビニへ向かっている。
非青春的だと?へっ、何が青春だよ。ドラマの見すぎだ。
口喧しい教師を名字で呼び捨て、勉強もろくにせず、何を一生懸命やるわけでもなく、ひたすら無気力に、友達と駄弁って3年を過ごす。
どーだ、これが高校生活ってもんだ。
というわけで全国の小中学生諸君。高校生活にあんま過度な期待をすんなよ。入学時の希望の八割くらいが絶望に変わるから。
・・・あれ、何の話してたんだっけ。
あーそうそう、青春的がどうとかだったな。
まあ今さらそれもどうでもいいか。とりあえず、俺が今の高校生活に、あまり愛着を持ってないということさえ知ってくれりゃいい。
そんな脳内独り言をたれながらボーッと歩いていると、ようやっとコンビニに着いた。
チャラララララン♪ララララララン♪
「いらっしゃせー」
軽快な入店音と、それと対照的な、だるそうな店員の挨拶が耳に届く。
だがしかし、んなこたぁどうでもいい。
そんなことより・・・
「涼しーい・・・・・・っ」
思わず小声で呟く。
いいねエアコン。
このクッソ暑いコンクリ密林の中に存在する、空調オアシス。
もういっそのこと、8月下旬になって暑さが収まるまで、この店に籠っていたい気分だ。
だが、そうも言ってられねぇ。俺は夏休み前の提出物完成に追われている身なのだ。
アイスを大量に買い込み、エアコンの無い一人暮らしアパートでも、作業が捗るようにする。
これが、今回の俺の外出目的なのであるよ。
そんなわけで、いざ作戦開始。
俺はかごに大量のアイスキャンディーを詰め込み、無愛想な店員が待つレジへ向かった。
店員は迷惑そうに目を細めたが、律儀にも全てレジ精算し、「2761円でーす」と、これまたやる気なく告げる。
金を払い、やる気のない「ありがとうございやしたー」を背中で聞き、店を出る。
「くっそ暑い・・・ちくしょー、太陽蒸発しろ・・・」
なんとも頭の悪い愚痴をこぼしながら、俺は家への道を歩く。
この時俺は、まだ気付いていなかった。
大量に購入した棒アイスの中に、一本だけ、当たりが紛れ込んでいることに。
そして、その当たり棒こそが−−
新たな世界へのチケットである、ということに。
プロローグはギャグ成分少なめです。
っていうメールを、この小説と共に友達に送ったら、こんな返信が来ました。
『お前からギャグ取ったら、下ネタしか残らねぇじゃねぇか』
絶望しました。