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第24話

店を出た後、ジュリが私に話しかけてきた。


「クリム・・・・・・私今日、貯金! ぜーんぶ! 使っちゃった」


「え? 貯金全部使ったって・・・・・・」


「そうっ 全部使ったの。すっからか〜ん! あははっ


 もう、しばらくユウトに会いに行けない。寂しいよ。


 ジュリ今、週5で働いてるじゃん?


 明日からしばらく休み無しで働こうかなって思ってるんだっ」


「・・・・・・」


言葉が出なかった。


「クリム? 何で黙ってるの? ジュリ何かおかしな事いった?」


「ジュリ、ユウトさんの事好きなのは分かるけど、あの人・・・・・・彼女いるよ?」



彼に時計をプレゼントするって聞いた時も、言わなかった事を今、言った。


あの男に貢いで貯金を使い果たした彼女の姿が見ていられなかった。



「え・・・・・・」


ジュリは私が言った事を聞いた後、少し無言になった。


目には涙が溢れ「嘘でしょ・・・・・・嘘って言ってよ!あたし、信じないから」


と叫び、走ってその場を去っていった。



「ジュリ!!! 待って!!」


追いかけても間に合わなかった。ジュリの姿は私の視界から見えなくなっていた。





次の日店に行くと、ジュリが何度も誰かに電話をかけていた。


「ねえ! 何で? 何で電話・・・・・・ 繋がらないの?! ユウト!ユウト〜」


「ジュリ、どうしたの?」


私が尋ねると彼女は、涙目で答えた。


「ユウトの電話が繋がらないのっ!」


「え?」



電話が繋がらないってまさか・・・・・・・



「店に電話してみたら?」


私がそういうと彼女はこう言った。


「もう電話したよ、いつもはもう店に来てるのに・・・・・・まだ店に来てなくて


 連絡もないって」


「もしかして」


「もしかして飛んじゃったのかもねっ あはは・・・・・・」


「ジュリ」


「ダメだ、あたし今日仕事出来ないっ」


「ジュリ・・・・・・」



こういう時、どういう言葉をかけていいのか分からなかった。



「頭切り替えよっ! 仕事して、ユウトの事忘れる!」


しばらく泣いていたジュリが、急に仕事モードになった。


顔を両手でたたき、気合を入れていた。



「ジュリ、大丈夫? 無理してない?」


「大丈夫っ! あたしこう見えて結構切り替え早いんだから!」



絶対に無理してる、辛いと思う。


でも彼女はその日一日、きちんと接客をしていた。



続く


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