第23話
彼に送ってもらった後 私は店に行った。
仕事が終わってからジュリとタクシーに乗って、 ホストクラブに向かった。
仕事中もだったけど、タクシーの中でも、ずっと彼の事を考えて頭が朦朧としていた。
「クリム〜クリムってば!ねぇ、聞いてる?」
ジュリが私の体を揺さ振った。
「ごめん、又ぼ〜っとしてた、今日ユウトさん誕生日なんだよね、
プレゼント何あげるの?」
「ロロックスの時計っ! 彼 欲しいって言ってたんだぁ」
「ロロックス?! 高いんじゃ…」
「ジュリ今の店で働く前から貯めてた貯金があるんだ、
それ使っちゃった。痛い出費だけど、彼の為だもん」
「せっかく貯めた貯金…そんな簡単に使っちゃって、いいの? 」
「いいの いいの〜。あ〜早くユウトに渡したいよぉ〜」
ジュリ‘恋の病’だ。
私もジュリも、今恋してるんだ。
騙されてても、恋は恋。私も山田君に騙されてるかもしれないし…
好きだから、いい。 恋は盲目だ〜!! と心の中で叫んだ。
「クリム 着いたよ〜 行こっ」
ジュリはすごく上機嫌だ。
私達は店に入った。
「いらっしゃいませ ようこそ Razzveryへ」
ドアを開けると廊下に沢山の花があった。
「ジュリ様。ユウトさんは只今他の席についています、今しばらくお待ち下さいませ」
「は〜い」
ボーイに案内され、私達は席に座った。
「すご〜い、ほぼ満席じゃん。今日繁盛してるね〜」
「当たり前じゃんっ だってユウトのパースデーイベントだよ! 」
「そっか〜 誕生日のイベントってすごいんだね、知らなかった」
「ジュリ 来てくれてありがとう」 ユウトが席に来た。
「当たり前じゃんっ ユウトの誕生日に来ないわけないでしょ?
ねぇユウト、渡したい物があるんだ」
ジュリはそう言ってプレゼントを彼に手渡した。
ユウトはプレゼントを受け取ると 早速中を開けて中身を見た。
「ロロックス!まじこれ欲しかったんだ〜ありがとうジュリ!嬉しいよ」
ユウトはジュリを抱きしめていた。
「喜んでくれて良かった。あ、すみませ〜ん」 ジュリはボーイを呼び何かを頼んでいた。
しばらくしてからシャンパングラスをたくさん積んだ何かと、
数本のシャンパンが出てきた。
何だろうこれ。 何に使うんだろ・・・?
「ねえ ジュリこれ何?」 ジュリに聞いてみると彼女はこう言った。
「シャンパンタワーだよっ クリム知らないの?」
「シャンパン…タワー?」
「まぁいいからっ 見てて。綺麗だから」
「綺麗な物??」
私は不思議でしかたがなかった。
私達が座っているテーブルに、店中のホスト達がやってきた。
「ユウト、立って」
「うん」
ユウトは席を立ち、シャンパンを手にして、栓を抜きグラスに注ぎだした。
「・・・ほんとだ。すごく綺麗」
レーザーに照らされたシャンパンタワーの色は青色をしていて、とても幻想的だった。
注ぎ終わると、ユウトがまず、グラスを手に取り、順次他のホスト達も
それを手に取っていた。私達の前にもグラスが来た。
「かんぱーい!!!!」
いっせいに皆で乾杯をした。
飲んでる途中でバースデーソングが流れて、ケーキが出てきた。
「すごい!ユウトさんの顔にそっくり 上手に出来てるねー」
ケーキにユウトの顔が描かれていた。すごくそっくりだった。
「ユウトの顔のケーキだよっ 食べるの勿体ないね」
「ははは、そんなこと言わずに食べようぜ。皆で」
「うん。いただきまーす」
「ユウト、おめでとうっ」
ジュリはユウトにお祝いの言葉を言った。
「本当にありがとな、ジュリ。ごめん、他の席にもいかなくちゃいけない。
また、すぐ戻るから、待ってろよ」
「うんっ」
ユウトはそう言って違う席に行った。
「ねえクリム、今日はもうちょっとしたら一緒に帰ろ」
「え?もう帰っちゃうの?いつもラストまでいるんでしょ?」
どうしたんだろ?ジュリ。
「今日はお祝いしたかっただけだから、ね?」
「うん、わかった」
結局シャンパンを飲んで、一時間もしないうちに私達は店を出た。
続く