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第21話

どうしよう…


どうしよう


コーヒーを持つ手がガクガク震え、動揺し、私はコーヒーを服にこぼしてしまった。


山田君は私が動揺しているのを見て不思議がり「サナ、どうしたの?大丈夫?」

と言って、おしぼりを手に取り、服にこぼしたコーヒーを拭いてくれた。



「コーヒーこぼすなんて、サナはおっちょこちょいだなぁ」


「私ドジなんだ、ごめんね。ねぇ、その人、何て名前なの?」


自分の名前を言われたらどうしよう と思いつつも、聞いてみた。


「何て名前だったかな…あ!思い出した!‘(アヤ)’だ。白川彩。

  サナってアヤに似てるんだよ」



‘彩’だと聞いた瞬間 肩の力が抜けた。


白川さん。彼女と私が似てる…? 似てないよ。


彼女はクラスの人気者で 可愛くて。私は暗くて存在すら無かった。



「って名前言ってもサナにはわかんないよね。ごめん。俺さ、

 その子の事好きだったんだ、中学の時…ずっと。あんなに好きだったのに

 名前忘れるなんて、俺もう頭ボケちゃったかな」


彼は笑いながら話していた。



ズキっと何かが重く突き刺さったような感じがした。


だから私はあの時…振られたんだ。



私の顔が暗くなると山田君は気にするかのように「あ、でも中学の時の話だし、

 今はもう好きとか全く無いから。今はサナに夢中だぜ」 と冗談風に言ってきた。



「からかわないでよ、ススム」




私が山本だと、彼に知られたくない。絶対に。



私達はその後1時間くらい話をして近くの焼肉店に移動した。


ものすごくお腹がすいていた私は、肉が来るとすぐ焼き始めた。



「肉、焼いちゃうね」 テキパキと肉を焼き、食べた。



「おいし〜い。焼肉食べたの久しぶり。幸せ〜」


さっき喫茶店で話していた事をすっかり忘れて、私は食べるのに必死だった。


「サナって食べてる時、すごく幸せそうな顔してるよね。よく食べるし。

 女の子って大体は ‘もう入らな〜い’とか言ってあんまり食べないから、

 サナはいっぱい食べてくれて、 俺 嬉しいよ」



しまった!山田君が目の前にいたのに、私ガツガツ食べちゃったよ〜、恥ずかしい。


山田君にそう言われるまで、自分がかなりの肉を食べていた事に気がつかなかった。


恥ずかしくて顔が赤くなってしまった。



「私 食べ過ぎだよね、ごめん」


謝ると山田君はまた笑っていた。



「ははは。サナ面白いな〜!そんな事気にするなよ、

 遠慮しないで もっと食べていいから」


「ありがとう じゃあ 遠慮なく いただきます」




ご飯を食べ終わってから山田君が「そろそろ店に行こうか?」と言ってきた。


「ススム、店に行かなくていいよ。私、今日ススムと会ったのは、

 同伴がしたかったからじゃなくて 一緒にご飯食べたかったからだし」


「え?! 俺 店行ったら迷惑?」


「違うよ!店に来たらお金かかるでしょ?私 ススムにお金使わせたくない…」


「え…サナ だって俺はサナの客だろ?」


「お客じゃないよ!だって私… ススムが好きだもん!」



私が勢いで告白すると彼は 一瞬すごく驚いた表情をしたが、すぐに笑顔になった。



「俺も。サナが好きだよ」


続く

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