第19話
さとしはふてくされていてヘルプの子と あまり会話をしなかった。
「さとぽん〜 だだいまっ」 ジュリが帰ってきた。
さとしは表情が一気に明るくなった。
「ジュ〜リ〜 待たせすぎ!俺もう待ちたくないぜ〜次席離れたら 帰るからな」
「ぇえ〜!さとぽん帰ったら嫌だ! ジュリ寂しい…」
ジュリはさとしをじっと見つめ、悲しげな表情をし、さとしの肩に寄り添った。
「お前は可愛いぜ〜!でもせっかくゆっくり話したくても、忙しそうだし。
もう少ししたら帰るよ、ススム!次ジュリが離席したらチェックするぞ〜」
「了解」
え…山田君も帰るんだ。もっと話したい事いっぱいあるのに。
「ススム…帰っちゃうんだ」
「今日も長くいれなくてごめん。でも少しでもサナに会えて良かったよ。
絶対ご飯行こうな。約束」
彼はそう言うと私の手に触れて、小指を出して「指きりしよ」と言った。
私達は指きりをした。
‘約束’ 山田君と約束しちゃった。
「ジュリに見送ってもらいたいし、今チェックしようかな。
すみませんチェックお願いします」
さとしはボーイを呼び、チェックをした。
「さとぽんっ また来てねっ ジュリ仕事終わったら 一番に さとぽんに電話するからっ」
「ありがと 待ってるな。 ススム 行こうぜ」
「了解。 サナ また電話するから」 二人はそう言って店を出た。
「あ〜疲れた。さとしの相手は体力使うよ〜。あ、クリム〜明日ユウトの誕生日
なんだっ 誕生日のお祝いしに店に行くんだけど、一緒に行かない??」
「うん いいよ 行く」
明日仕事終わってからホストクラブかぁ。母さんに明日も遅くなるって言わなくちゃ。
「やった〜 ユウトに連絡しておくねっ」
「うん」
待機席に戻ると マユさんがいた。
「全く…あなたって本当に使えないヘルプね。素人を席につけないでもらいたいんだけど」
彼女はそう言うと待機席から去って接客しに戻った。
「何あれ〜。感じ悪っ」
「もしかしたら店長といちゃいちゃしてるの邪魔されたから機嫌悪いのかも」
「え?!そうなんだー。だからってクリムに八つ当たりしなくてもいいのにねー」
「うん。でも店内恋愛禁止って言ってたのに、あの二人だけいいとか・・・
ずるいよ」
「だよねー。ずるいっ!まああたしはユウトがいるから関係ないんだけどねー」
「私にも関係ないんだけど。でも何か腑におちないんだよね」
ジュリと会話をしていると、ちょうどそこに店長が来た。
「店長〜何で店長は店の子と恋愛していいんですかぁ〜?」
ジュリ・・・!!!はっきり聞きすぎだって!
「ジュリさん。何か誤解されてませんか?私は店の子と恋愛などしていません」
「マユさんと付き合ってるじゃないですかぁ〜皆知ってますよ〜」
「・・・彼女は店の商品です。引き抜きをしたのも店の為。恋愛感情は一切ありません」
「ぇえ〜?マユさん可哀想〜。それって利用してるだけじゃないですか〜」
「あなた達がどう思おうと勝手です。仕事さえきちんとしてくれていれば」
「店長ひど〜い」
店長・・・確かにひどい。これだとあのホストと一緒・・・。
そう思っても、私は無言のまま何も言わなかった。
「ほんとひどいよね〜。まぁ、マユさんだから別にいいや」
「・・・」
ジュリも騙されてる・・・よ?
私が言ってもダメだろうし・・・
早く気づいてほしい。
「今日もあと少し頑張ろうねークリムっ」
「うん」
待機席で少し待ってまた接客して、2時になってから接客を終えて
送りの人に家まで送ってもらって帰った。
「はぁ、今日も疲れた〜」
あ・・・母さん。台所で寝てる、もしかして待っててくれたのかな。
「おかえり さやか」
母が起きた。
「母さんごめん。起こしちゃった?」
「いいのよ。さやかが心配でここで待ってたの。バイトお疲れ様」
「あ、うん」
「さやか化粧・・・するようになったの?」
やばい!!いつも化粧なしで行ってたんだ!何て言おう・・・
「友達がしてくれたの。上手にできてるでしょ?」
「・・・」
母は黙っていた。
「じゃ、私化粧落として寝るね。母さんおやすみ。今度から、待ってなくていいから」
バレてないよね・・?心配。
まあいいや。今日は疲れたし、もう寝ようっと。
おやすみなさーい
続く