第17話
「今回のお客様はマユさんの事を相当気に入ってる方で、
いつもラストまでいてるんですよ。ヘルプですのでマユさんを
立てて下さい。では行きましょうか」
ボーイに連れられ私はその客の前に行った。
「マユさん少しの間失礼します。ヘルプのクリムさん入ります」
ボーイがそう言うとマユはその客と乾杯をして
「またすぐ戻るから待っててね」 と言って違う客の席についた。
その男はマユが席を離れると、彼女がついた席の方ばかりを気にしていた。
私が挨拶をしても、上の空だった。
このお客様…ものすごくマユさんが好きなんだなぁ。
ヘルプって一体何すればいいんだろ?
そんな事を考えながら水割りを作っていたら
その男がこっちを向き、話かけてきた。
「君まだ素人だろ。酒が濃すぎだし タバコ吸おうとしても火もつけてくれないし
灰皿のタバコいっぱいになっても取替えしないし。ダメなヘルプだなぁ。
早くマユ戻って来ないかな。せっかくマユに会いに来てるのに・・・」
男はそう言うとボーイを呼び「悪いけどヘルプチェンジしてくれる?この子ダメだよ」
と言った。
「かしこまりました。すぐに違う子つけますので」
ボーイはそう言うと違う子を連れてきて、私に待機席に戻るよう指示した。
私・・・やっぱりダメなヘルプだったのかな。
ショックで涙が出そうだった。半泣きになっていた私は
泣いてはダメだと思って涙を我慢した。
「すみません失礼します」
そう言って待機席に戻った。
「クーリーム! 心配だったから、ちょっとだけ戻って来たよっ
あの客すぐヘルプいじめするの。気にしちゃダメだよ?
あたしだって前すごいいやみ言われたんだから」
ジュリが私を心配して、待機席に来てくれた。
「少し元気出た。ありがとう ジュリ」
「良かった。 じゃああたし席戻るねっ」
「接客中なのにごめんね」
「いいよ 気にしないでっ 心配だったから」
ジュリはそう言うと席に戻り、再び接客をした。
こんな事でいちいち落ち込んでちゃダメだ!クリム!
頭の中でそう言い聞かせた。
プルルルル〜
その時携帯が鳴った
山田君!!!
私は電話に出た。
「もしもし クリム?今電話大丈夫?? あのさ、今から店に行ってもいい?
クリム指名で。」
「え?悪いからいいよ、来なくて。お金かかるし」
「さとしが前にいた女の子、ジュリちゃんだっけ?すごく気に入ってて
どうしても行きたいって言ってるんだ。でも一人じゃ行きにくいから
ついてきてくれって言ってて。俺もクリムに会いたいし、ダメ?」
「そうなんだ、うん。わかった。待ってるね」
そう言って電話を切った。
山田君が!!今から来る!!大変!化粧変じゃないかな?!髪型大丈夫かな?!
井上さんに化粧直ししてもらおうかな。
緊張だよー。
10分くらいしてから、山田君とさとしが店に来た。
続く