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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

千文字短編シリーズ

猫の降る日

作者: 夜霧ランプ
掲載日:2026/02/11

 カーテンを捲ると、空から猫が降ってきていた。

 猫は、だいぶ長い間降っているようで、血だらけになったアスファルトが、積もった猫で隠されるくらいに成っていた。

 その積もった猫達の上に、くるくると回転しながら、綺麗に着地する猫もいる。

 猫はまだまだ降って来る。

 どうやら、今日は外に出ないほうが良いらしい。


「空から猫が降る」と検索すると、猫の降る現象についての、様々な憶測が並んでいた。

 あれは神の思し召しだ、天変地異だ、いや、宇宙猫の侵略の方法なのだ、と言う風に。

「宇宙ステーションで繁殖させた宇宙猫達のうち、宇宙空間に廃棄されていた猫達が、引力に引かれて落っこちて来たのではないか」と言う説が、一番もっともらしく聞こえた。

 猫が降って来たのはヤハンの一部だけらしいが、この奇妙な現象は世界中で話題になっていた。

「猫が降ってくるはずがない」とか、「ヤハニーズジョークなのではないか」とか、「まだ四月一日じゃないぞ」と言う意見も出てくるようになった。

 猫が降る現場を、カメラが収めるようになると、「今時のエーアイは悪趣味だ」と言う声が上がるようになった。

 何が何でも、猫は降って来て積もってはならないらしい。

 カメラを通さない目で見ている者達にとっては、その現象は現実である。

 生きて着地出来た猫達を、保護しようと言う動きが始まった。

 猫の降りが収まって来た場所で、宇宙猫達をケージに収めて、室内に運ぼうと言う計画である。

 宇宙猫達は抵抗した。捕まえようと近づいてくる人間の手を避け、一生懸命逃げようとした。

「大丈夫。怖くない。大丈夫」と、人間達は声をかけた。

 しかし、宇宙猫にとっては「ケージに入れられる」と言うのは、大丈夫じゃないし怖いらしい。

 人間達は悪戦苦闘しながら、宇宙猫の保護に奔走した。


 宇宙猫達は、彼等の言語を喋れると言う事が分かった。

「私達は、種を保存するために宇宙船に乗り、生存可能な星に移住する途中だったのだ」と宇宙猫は語った。

 だけど、途中で宇宙船が故障して、やむなくチキユウに不時着しようとしたのだが、大地に降りるより先に宇宙船の出入り口が開いてしまい、宇宙猫達は上空二千メートルの高さから落下する事になった。

 インタビューを受けていた宇宙猫は、「先に地面に叩きつけられた、数多の同胞達の亡骸の上に着地した日を、我等は忘れない」と述べた。

 その言葉が電波に乗った日、チキユウで、宇宙猫時代の夜明けが訪れたのであった。

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