違和感の傲慢王子
―――――ある護衛side―――――
「だまれ!我の言う事を聞かぬ者は下がるのだ!」
ガシャーンッ
ああ…またか……。
人を人とも思っていないような王子がまた癇癪を起こし、物を投げている。
このまま王子が大人になりこの国を統べる未来が来るのが恐ろしくて仕方がない…。
王も王妃も王子に関心を示さず、王子を諌める立場の高い者もいない。
教育をしてくれる者も、愛情を与えてくれる者もいない王子は可哀想ではあるが、それを他人にぶつけるようでは人の上に立てる器ではないと思う。
誰も信用せず、自分が正しいと思い込んでいる今のまま成長しても誰も王子に付いていく者はおらず、人望はないままだ。
誰か導いてくれる者がいればこの王子もいい方向に変わると思うのだが……
―――――――――――――
……そう思っていたが、誰も王子を変えられる者はいなかった。
傲慢に育ち、誰も信用しないまま、愛情も知らぬまま成人する年齢の16歳になった王子は、王位を継ぐと思われたが、聖女に対する行いや様々な愚行により平民に落とされる事となった。
当然の結果ではあるが、子供を持つ親として、王子の育ち方がもう少し違えば良き後継になれたのではないかと思うと少し複雑に思うことはある。
護衛としてできることは何もなかったが、もし自分の立場が違えば何か教えられる事があったのではないか……
などと、王子の準備が終わるまで意味のない事を考えていた。
今日、王城で何不自由なく暮らしていた王子は平民に落とされ、自力で暮らしていかなければならない。
数々の愚行により王子の身に何があるかわからないため、これから暮らしていく家に着くまでは王子の護衛につかなければならないのだ。
王子が準備できたため、王宮を出て街道へ向かった。
道中、数人の平民に罵倒され、少し悲しそうな、歪んだ顔をした王子に違和感を感じる。
この王子はこれまで誰に何を言われても鼻で笑い、歯牙にもかけなかったのに平民に言われたくらいで表情を変えただと……?
変に思うことはまだ続いた。
腰掛けていた水路から立ち上がる際に我々護衛の者達の事を気にかけ、謝った。
更には我らに案内を頼むと言い、最後にはお礼を言ったのだ。
これは本当にあの第一王子か……?
疑問に思うくらいの変わりように我々は驚きっぱなしであった。
足早にその場を後にしつつ、王宮に戻る。
今でも王子の変わりように驚いているが、今までの事を考えるといい変化なので素直に良かったと思う。
願わくば、彼にこのままいい変化が続き、しでかした事を反省してくれたらと考える。
彼に何も出来なかった大人として、少しでもこれからの人生が良くなるよう祈りながら。




