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五月病

作者: 黒楓

今日は月曜日。久しぶりの月曜真っ黒シリーズです!

「アイツら!!示し合わせて五月病かぁ~!」

 東京支社営業2課の課長が怒鳴っている同時刻、大阪本社の応接室では人事部と法務部の担当者が一人の“エージェント”の訪問を受けていた。


「私どもの依頼者であられる『鈴木翔太』『佐藤悠斗』の両名が最も問題にしているのは入社直前に行われた給与額の変更についてです。また、研修中に使用された宿泊施設は御社の創業家の持ち物であり、宿泊費として1泊4,500円を請求しているのにも関わらず『自社製品を知る為』との名目の元、提供される食事の……水道水以外の全てが御社製品に限られていたと言う事。そして研修の講師を務めた御社社員の方々が、研修中に何度も恫喝を繰り返し、挙句の果てには暴力までふるわれた事……これは音声のみならず動画がございます。加えて配属された東京支社営業2課に於いても度々パワーハラスメントがあり、この事についても証拠がございます」


 会社の人事担当者は努めて落ち着き払った体で言葉を返す。

「弊社としては新人研修に於いて、その様な行き過ぎた言動が行われていたとの報告は受けておりません。」


 エージェントはテーブルの上で両手を組み、その言葉を打ち返す。

「弊社の顧問弁護士が動画の確認をした所、『訴訟に値する案件ではある』との見解を得ておりますが……」


「弊社としては、その証拠を開示戴かないと俄かには納得致しかねます」と“ガラスの目”の法務担当者はエージェントに告げる。


 エージェントは『これは驚いた!』との身振りで「そう言った事は、まずは御社自身がお調べになるのではないのですか? それともこれらの事象が日常茶飯事なのですか?私どもが懸念している様に」と言い放つ。


「何か誤解をなさっている様ですね」人事担当者は狼狽えない。そう、こう言った事は一度や二度では無かったのだ。


「それは大変失礼いたしました。私どもは……御社には社長を始めとする創業家一族が定めた『謎ルール』があると小耳に挟みましたもので……逆に心配しているのですよ。蟻の穴から堤は簡単に崩れるものです。私どもの希望は依頼者の両名の速やかな転職です。いたずらにトラブルを起こす事ではございません。御社社員がメディアやインフルエンサーに『ある事無い事』をリークする事は鈴木、佐藤の両名も望んではおりません」


 この言葉に人事、法務担当者も口を噤んだ。


「仮に一人当たりの採用で100万、二人で計200万掛かっていたとしても……すんなりとご理解を戴きたいものです。 御社の抱える問題を世に知らしめない経費として」



 エージェントを見送った後、二人は応接室に戻り密談する。


「研修担当の三田君は君の所の部長と同じ“専務派”だったね」と法務担当者。

「ええ、でも三田はスタンドプレイが目につくタイプなので……“出る杭は打たれる”仕儀となるでしょう。一方、東京支社の橋本課長は“常務派” ウチの部長にとっては『願ったり叶ったり』というところでしょうか」


「どうやら今回は穏便に収まりそうだな」


「ですね」


 会社とは……こうした不毛な“営み”の巣窟でもある。




                             おしまい


まあ、こんな感じです(^^;)



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……コレはガチ黒  ((((;゜Д゜))))
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