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女神様の使い、5歳からやってます  作者: めのめむし
第4章 帝都編2

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第84話 神気マイク

 ゲートを潜った先には、大勢の雑踏があり、子供たちがはしゃぐ声が聞こえ、食べ物屋の屋台の威勢の良い客寄せの声と共に何か煮物のいい匂いがしてくる。いつもの広場だった。


 最近では美羽が歌を歌うことが定番になったこともあって、広場にはイベント用の簡易ステージが美羽のために用意されている。衛兵たちも上からのお達しなのか何も言わないらしい。


「うわぁ。ここが美羽ちゃんがいつも歌っている舞台なのね」

「うん、そうだよ。ここで歌ってるの」

「ああ、楽しみ。あ、そうだ、神気結界を私に張ってくれる?」

「ん? いいけど。神気結界」


 すると、女神の周りをぼうっと覆っていた桜色の光が神気結界によってほとんど見えなくなった。


「美羽ちゃんに隠してもらわないと、常に神威が出てしまう状態になるからね。ここの人たちじゃ耐えられないから」

「そうなんだ、フィーナちゃんも気にするんだね!」

「あっ、ひどい。私が気にしないで迷惑かけてるみたいじゃない!」


 フィーナがジト目で美羽を見る。


「あ、ごめーん。冗談だってば。フィーナちゃん」

「そんなこと言うんだ。せっかく美羽ちゃんにあげようと思って持ってきたのになぁ」

「え? なになに? まだプレゼントあるの?」

「それほどのものじゃないよ。テッテレー! 神気マイク〜」


 レスフィーナがまるで猫型ロボットの口調でお腹の辺りから何かを取り出す。

それはまさに、カラオケや歌手がライブで使うような2本のマイクだった。


「ドラ○もんかい。ええー、でもすごい! マイクだぁー」

「このマイクは好きな範囲で声を届かせることができる、神気術が付与されているマイクなんだよ」

「好きな範囲?」

「もちろん限界はあるんだけどね。あとね、ヘッドセットにもなるのよ。

 これを持ってアイドルがしているようなヘッドセットをイメージしてみて」

「あ、うん。ヘッドセットね。分かった」


 美羽が好きだったアイドルが歌っていいるところをイメージしてみると、オープンイヤー型の耳にかけるタイプのヘッドセットになった。


「うわぁ、すごい。これなら、歌いながら踊れるね」

「いっぱいあるから、全部美羽ちゃんにあげる。いっぱいあれば演奏にも使えるでしょ」


 そういうと、レスフィーナの手にはたくさんのヘッドセットが現れた。


「これも、形が変わるから、楽器にくっつけたりスタンドで立たせたりできるよ」

「うわあ。嬉しい、ありがとう」

「うん、そう言ってもらえると私も嬉しいよ」


 そういうと、渡してくれようとした、フィーナだったが、あっとした顔をして手を引っ込める。


「でも、私はさっき言ったこと、まだ許してないんだからね」


 そういうと、顔をフグみたいにして腕を組んでそっぽを向いた。

そして、チラチラ美羽を見てくる。


 それを見た美羽は二ヘラと笑い、レスフィーナに抱きついた。


「ごめーん、フィーナちゃん。許してぇ」


 レスフィーナも嬉しそうに笑いながら、答える。


「もうしょうがないなぁ、美羽ちゃんは。許してあげる」

「やったぁ」


 二人できゃーと抱き合っていると、ヨシノも喜んで混ざってくる。

そんなヨシノを見て、きんちゃんは羨ましそうにしていた。


(わ、私はそんなキャラじゃないし、ミウ様のそばにいるだけで、幸せだし……)


 そう自分に言い訳をしていると、美羽がきんちゃんの胸鰭を掴んで引っ張ってきた。


「うわ! 美羽様」

「きんちゃんも〜」


 きんちゃんも入れて二人と1体と1匹で抱き合った。


「わーい、みんな一緒ー」

「きゃー、嬉しい」

「……」

「美羽様〜、女神様〜」


 みんなにとって、幸せな時間だった。


 しばらくして、フィーナがマイクを渡してくれたので、今、使う分を残して、きんちゃんに渡そうとする。


「美羽ちゃん、異空間収納は使わないの?」

「えへへ、私、昨日魔法の練習したんだけど、威力が強すぎて死にかけちゃって、まだ異空間魔法の加減もわからないんだよね」


 少しバツが悪そうな顔で美羽が言う。


「そっか、でもきんちゃんもいない時もあるんだよね。お金とかないと不便な時もあるでしょ。

神気でも異空間収納は作れるけど、神気のは高度でまだ美羽ちゃんじゃできないし、どうしよう。

……そうだ」


 レスフィーナが手のひらを上にして手を差し出すと、指輪が現れた。

シンプルなデザインだが、神文字が刻まれている。


「この指輪に収納魔法をつけておいたよ。神具なのに魔力が使われている、特注品だよ。

って、ここで神気を使うわけにはいかなかっただけだけどね。収納量はそれほど大きくないよ」

「わぁ、ありがとう。嬉しいよフィーナちゃん」

「うん、どういたしまして。早速使ってみて」


 そう言われたので、美羽は指輪を左手の中指につけると、先ほどのマイクを収納するイメージをしてみる。

するとマイクが消えて、美羽の頭の中に指輪の中に入ったと言うイメージが現れた。

今度は出てくるようにイメージすると、瞬時に出てきた。


「わあ、すごい。きんちゃんにいつもやってもらってたけど、自分でやると、不思議だねぇ。

今日は色々もらっちゃった」

「まだプレゼントあるんだけど、また今度ね」

「え〜、何かなぁ」


 美羽がニコニコとフィーナに迫る。

フィーナが焦る。


「きょ、今日は、渡さないよ」

「えへへ、わかってるよぉ。それにしても、私をそんなに甘やかしたらダメだよ〜」

「うふふ、美羽ちゃんは特別だからね。いくらでも甘やかしちゃうんだよ。私がそうしたいんだぁ」

「……ッ!? も、もう。フィーナちゃん、恥ずかしいよ」


 美羽は赤くなって答える。


「恥ずかしがってる美羽ちゃんも可愛い」

「もう、もう、もう! フィーナちゃんの意地悪!」


 美羽は、真っ赤になってしまう。


 そうやって、いちゃいちゃしている二人に声をかける男がいた。


「嬢ちゃん、今日も歌うのかい?」


 みると、みるからに屈強な二人の男たちがそれぞれ楽器のようなものを持って立っていた。


 美羽が答えるより前に、フィーナが反応した。


「なんだ、人間。私と美羽ちゃんの時間を邪魔するとはいい度胸だな」


 一瞬にして、レスフィーナのプレッシャーに包まれた二人の男は、脂汗を垂らしながら、その場に膝をつく。

しかし、楽器は手放していない。よほど大切なのだろう。

レスフィーナの神威に圧倒されても話さないのは、なかなかの根性だった。


「コラ」


 バン!

美羽がレスフィーナの頭を叩いた。

その瞬間に男たちにかかっていた、押し潰されるかのようなプレッシャーが霧散する。


「いた〜い、美羽ちゃんなにするの〜」

「そんなに簡単に人を威圧しない」

「だって〜、私たちの邪魔するんだもん」

「もう。フィーナちゃん、いつでも仲良くできるでしょ、私たち」


 そう言われると、フィーナは赤くなる。


「……うん」


 途端にレスフィーナはしおらしくなった。


 それから、美羽は男の方に向いて言う。


「それで、おじさんたちはなんなの?」


 レスフィーナの威圧がとけた二人は冷や汗はそのままに一人の男が喋り始める。


「君の歌に合わせて演奏させてくれないか?」

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