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女神様の使い、5歳からやってます  作者: めのめむし
第4章 帝都編2

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第82話 神刀

 美羽は突然思い出したように言う。


「フィーナちゃん! 実は会えた時に渡そうと思って、プレゼントを用意してあります」


 レスフィーナは目を輝かせる。


「美羽ちゃんからプレゼント? 何かな? すごく楽しみ」


 美羽はきんちゃんから、桜色に輝いている手のひらにのる小さな箱を受け取った。


 それをフィーナに手渡す。


「わあ、神気ボックスだね。大きなものでも小さくなって入るし、決まった人しか開けられないんだよね。

もう出来るようになったんだね」

「うん、プレゼントを作った時に綺麗な箱を考えたんだけど、これが一番いいかなって思ったんだ。

それよりも開けてよ」

「うん。それじゃあ開けるね」


 レスフィーナが、箱の上部を指でつつく。

すると箱の片側がゆっくりと開いた。


「あ、これ……」


 レスフィーナが中を見て、少し急いで取り出す。


 取り出した瞬間、箱の体積の5倍ほどの人形が1体現れた。


「美羽ちゃん……」

「せいかーい。私の神気だけで作った神気像です」


 美羽は毎晩の神気を消費するための訓練で少しずつこの像を作っていた。


「すごい、素敵よ。美羽ちゃん」

「実は、仕掛けがあるんだよ。その像に神気を入れてみて」

「うん」


 フィーナが桜色の神気を美羽の像の頭のあたりにいれる。

 

 すると美羽の像の指先がピクピク動きついで両手、そして全身が動き出した。

そして、何かを探すようにキョロキョロする。


 レスフィーナを見つけると目を輝かせて、レスフィーナに抱きついてきた。


「きゃー、可愛い。なにこれ〜」


 美羽が、恥ずかしそうに言う。


「えへへ、ちょっと恥ずかしいけど、私の行動を写してみた。自分を写すなんて……ダメだった、かな」

「なに言ってんの。すごく嬉しいよ。美羽ちゃんがいるよぉ。ありがとう、美羽ちゃん」

「どういたしまして」


 レスフィーナが美羽の像を抱きしめる。

美羽の像は抱き閉められて嬉しそうにしていた。


 それをみると、レスフィーナは目をトロンとさせて微笑む。


「アーン、もう。こんないいもの貰えるなんて。私のプレゼントが霞んじゃうよぉ」

「フィーナちゃん、私にプレゼントくれるの?」

「うん、美羽ちゃんが私を呼べるようになったらあげようと思って作ってたんだ」

「ええ、何かなぁ。すごく楽しみ」


 レスフィーナは手を虚空に差し出すと、いつの間にか桜の花びらを手に持っていた。


 「これだよ〜」


 そう言って、美羽の左頬の目の下あたりに軽く押し付ける。


 すると、花びらはスッと美羽にくっついた。


「くっついた!」

「どこでもくっつくよ。美羽ちゃんなら自由に外せるし、落としてもちゃんと戻ってくるよ」


 美羽は花びらを剥がして、今度は手の甲につけてみた。


「本当にどこでもくっつくねぇ。おしゃれだよ。これは。ありがとう、フィーナちゃん」

「へへ、それはただのオシャレグッズじゃありませんぜ、美羽の旦那」

「なんでぇ、ハチ。言ってみな」


 急に変わった、レスフィーナの口調に美羽も乗っかってみる。


「へえ、その花びらに神気か魔力を込めてごらんなせえ」

「そうすると、どうなんでぇ……って、あはは、フィーナちゃん、まだこの口調続けるの?」

「うふふ、それじゃあ戻すね。じゃあ、魔力にしようか。込めてみて」


 美羽は花びらに魔力を込める。すると一瞬で一振りの刀に変わった。

きちんと柄の部分が美羽の手に収まっている。


 急に現れた刀に美羽は驚いた。


「おわぁ、びっくりした〜。急に刀……なんで刀?」


 美羽の体に合わせてあるのか刀身は短く、刃に先ほどの桜がひとひらついている。


 レスフィーナがイタズラがうまくいったことを喜ぶかのようにニコニコして言う。


「それはねぇ、美羽ちゃん専用装備だよ。いつでも思った時に刀に変わってくれるの。

魔力か神気を込めれば込めるほど、切れ味が鋭くなるよ。今の美羽ちゃんなら切れないものはないかな。

魔力か神気を込めながら、刀身が伸びるように念じればどこまででも伸びるよ。

重くもならないから、体の小さな美羽ちゃんでも振り回せるの

あの城なんか、ここから真っ二つにできるよ」


 そう言いながら、レスフィーナは遠くの皇城を指差す。


「やらないからね、フィーナちゃん」

「そう? やっても面白いと思うけど……。ちなみに魔力や神気を込めなくても具現化するよ。魔力も神気も込めなければ、何も斬れないただの木刀みたいなものだけどね。

ただ、絶対に壊れないよ」

「ふあ、なんかすごいものだねぇ。ありがとうね。フィーナちゃん。すごく嬉しい」

「刀にしたのは、美羽ちゃんも日本人だから、刀が似合うと思ったの。

今は抜き身だけど、ちゃんと壊れない鞘も出るからね。

居合とかやりたいでしょ」

「それ、かっこいいかも」

「まあ、魔力が無限に近い美羽ちゃんがその気になれば、ただ振り回すだけで、大概の相手は斬れちゃうんだけどね」

「ぶ、物騒だね」

「うふふ、武器は物騒なのよ。美羽ちゃん」

「あはは、それはそうか」


 美羽の知識の中には刀を振ることに関しての方法もあるため、知識を探り、その通りに振ってみる。


 ヒュン


「なんか違うなぁ」

 

 しかし、うまく振れなかった。

知識があっても最初はこんなものである。


 ヒュン

 ヒュン

 ビュ

 ビュン

 

 何回か振っていると最初よりもマシになってきた。

騎士団での訓練も生きているようだ。


 美羽の素振りを楽しそうにみていたレスフィーナが聞いてくる。

 

「美羽ちゃん、その刀の名前は何にする?」

「名前?」

「うん、普通は刀にも名前ってつけるし、それは神気で作ってるから、名前をつけて可愛がってあげると、いいことあるかもよ」

「え? いいこと? なにかなぁ」

「ふふーん、今は内緒。そのうち分かるよ。」

「そっか。うーん、それじゃあさ、フィーナちゃんがつけてよ。

フィーナの牙とか美神刀(びじんとう)とか」

「……美羽ちゃんは可愛いし、頭もいいけど、ネーミングセンスはまあまあなのね」

「!? なんか、ディスられた?」

「うふふ、じゃあ……」

「うん! なに?」


 美羽がワクワクして、レスフィーナの次の言葉を待つ。

しかし、レスフィーナの口から出た言葉は、

 

「コザクラ」


 自分の名前を呼ばれて美羽はキョトンとする。


「なに? フィーナちゃん」

「ううん、美羽ちゃんを呼んだんじゃなくて、その刀の名前」

「ええー、苗字をそのまま刀の名前にするの!?」

「いいと思わない?」

「うーん、微妙……ううん、確かに悪くないかも……」


 美羽は刀を持ち上げて眺める。

言われてみると、コザクラの気がしてくる。


「よし! 君の名前は今日からコザクラだ」


 すると、刀が桜色に輝いた。

そして、刀身の根元が一際明るく輝き文字が浮かび上がった。


「わ、わ、フィーナちゃん、これどうなってるの?」

「その刀は今、魂を得たのよ。神刀コザクラとして。

その文字は神の文字でコザクラと銘打たれているのよ」


 美羽はまじまじと刀の神文字を見つめ、


「これで『コザクラ』って読むのか」


 と、呟いた。知識では神文字のことも知っているが、実際に見るのは初めてだった。


 そして、美羽は刀を頭上に持ち上げる。


「これからよろしくね、コザクラ!」


 すると、コザクラが桜色の光を放った。


 その光景は神々しく、遠巻きに見ていた教会の信者たちは膝をついて、手を合わせ祈った。


 この時、レスフィーナに見守られながら、桜色の光を放つ刀を掲げる御使い美羽の姿は、ある画家によって描かれ、以後様々な画家が様々な時代で真似て描くようになった。しかし、それは別の話。



 ともあれ、美羽はその生涯で常にそばに置く愛刀を手に入れたのだった。



「あれ、この花びらを付けるのって、桜塵の誓いみたい。悪いことしたみたいだなぁ」


 あははと、美羽は一人笑った。

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