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女神様の使い、5歳からやってます  作者: めのめむし
第3章 帝都編1

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第27話 女の子だけで行きたいの

「おねえさま、ていとがみえてきましたわ」


 高い城壁が横に長く伸びていて、真ん中あたりに高いお城が聳えている街が見える。


「あれが帝都。おっきいね」

「ええ、ていとはおおきいのですわ」


 この5日間、美羽とレーチェルはずっと走っていた。

走るのに慣れてきたら、きんちゃんに四つん這いで走らされたり、馬車より先に行かされて、馬車が追いつくまで逆立ちで歩かされたり、前後の宙返りをさせられたり、色々やらされた。


 身体強化をかけるのにもなれてきた美羽が、馬車の馬や騎士たちの乗る馬にも身体強化をしたので、普通よりもはやく移動できるようになった。

それを見て、カフィがもじもじしていたので、カフィも走るか聞いてみたら喜んで降りてきた。


 カフィは嬉しさのあまり、美羽にずっと話しかけてきていた。

しかし、美羽は体が慣れるたびにきんちゃんが治癒量を減らすように言ってくるので、ずっと苦しいままだった。

そのため、美羽は空気を読まないで話しかけてくるカフィを鬱陶しく感じるのだった。


 しかし、この5日間でかなりの収穫があった。

まず美羽の脚力が驚異的な進化をした。治癒なしで馬車よりは早いスピードで走ることができるし、それもかなり長い時間走れる。もう、鍛えている大人でも美羽のスピードについて来れる大人は少ないだろう。


 身体能力も元々の潜在能力も合わさり飛躍的に向上した。

四つん這いで獣のように早く走ることができるようになったし、逆立ちで走るバランス感覚と筋力もついた。

宙返りも失敗なくできるようになり、今では走っている最中に空中でクルクル回って楽しんでいる。


 身体強化魔法もこの場にいる全員にかけてもまだ余裕ができた。元々魔力は莫大な量を誇る美羽だったが、魔力操作がまだうまくいかなかった。、それが今回は全員にかけることによって繊細な操作が可能になった。

まだ、身体強化しかきんちゃんが許してくれていないが。


 ちなみに身体強化をかけたら、ジョディやモーガンまで外に出て走っていた。流石に帝都が近づいたから、馬車に戻ったが。


 そして、ついに走りながら神気結界を張れるようになった。

さらに、体表にも神気結界を張れる。

これで、常時はっていることができるので、不意打ちをある程度防ぐことができるようになった。


 レーチェルの筋力も身体強化率を少しずつ落として行くことによって、かなりついてきた。

身体強化を使っていても体力は使う。体力がなくなるたびに美羽に回復されたので、体力も効率良く大幅についた。

流石に美羽と比べればかなり開きはあるが、強めに身体強化をしているカフィに強化率を下げた身体強化をしているレーチェルが同じくらいのスピードで走ることができていた。

12歳くらいまでの子供の中では並ぶ子はそうはいないだろう。

そう言う意味で、御使いでもないレーチェルの成長速度は尋常ではないと言える。


「ミウちゃん、そろそろ馬車に戻ってもらえるかしら。レーチェルもカフィも戻りなさい」

「「「はーい」」」


 そうこうしている間に城門についた。

かなりの行列ができている。


 ルッツ家は貴族なので、貴族用の門を通ることですんなり進めた。


 大通りを馬車が進む。

大通りは広く、片側に馬車が2台並んでもまだ余裕があった。

通りの端には多くの人が歩いている。


 左右にはさまざまなお店があり、オープンテラスのカフェなどもある。

美羽とレーチェルは2人で並んで窓から外を見ている。


「うわぁ、人がいっぱいいるねぇ」

「いっぱいですねー」

「あ、あそこのお店オシャレ」

「ほんとうですわ。おねえさまといっしょにいきたいです!」

「じゃあ、一緒に行こうね」

「きゃあ、うれしいですわ」

「うん! 私も嬉しいよ」


 カフィが口を挟もうとする。


「ぼ、僕もいきた」

「きゃあ。あそこに服のお店がある。私。これしか持ってないから行きたい。でも子供服もあるのかな?」

「まあ、おねえさま。ふくでしたら、やしきにきてもらえばいいですわ」

「えー、甘いよ、レーチェル。自分の足で見て回って服を決めるのが最高に楽しいのよ」

「そうなんですの?」

「ええ、いろんなお店のいろんな服を試しに着させてもらうの。これが似合ってる。これも似合ってる。

これはイマイチかなぁって、あーでもないこーでもないって、自分に似合う服を探すの。

その時が一番楽しいんだよ。ママとよく行ったんだ。

それなのに屋敷に持って来てもらうなんて、もったいないよ」

「そうなんですね! わたしもそういうきがします。

わたしもおねえさまのふくえらびについていっていいですか?」

「もちろんよ。1人より2人で見た方が楽しいもの」

「まあ、それなら私も行きたいわ。美羽ちゃんとレーチェルに色々着せたいもの。いいかしら」

「もちろんいいよ。ジョディちゃん。3人で行こうね」

「あ、ぼ、僕も」


 カフィがさらに口を挟もうとする。

ジョディが気が付く。


「どうかした? カフィ」

「僕も行きたい! 美羽様の服を選びたい!」


 その途端に美羽は嫌な顔をする。

それを見たレーチェルがカフィを嗜める。


「おにいさま。ふくのおかいものはじょせいだけでいきたいですわ」

「いいじゃないか。僕もいきたいんだ」

「そうねぇ、服を買いに行く時は遠慮してもらえるかしら。その方がミウちゃんも気兼ねなく選べるし」

「美羽様がいいって言えばいいんですね」


 レーチェルとジョディは美羽が嫌な顔をしたから言ったのだが、カフィは気がついていない。


「美羽様、僕もついていっていいですか?」

「私は女の子だけでいきたいの。男の子は女の子の買い物の邪魔だよ」


 美羽ははっきり言ったが、カフィがさらに言う。


「邪魔はしないと誓います。だから連れていってください」


 カフィはいいすがるが、美羽としては買い物は気兼ねしないで女の子だけでいきたい。

少し神気で圧をかけて答えた。


「来ちゃダメ。別の時にして」

「は、はい。わかりました」


 カフィはしゅんとしてしまったが、ジョディが慰めてくれることだろうと思い、また窓の外を見た。


 ちょうどその時、通りの反対側では美羽より年上で、10歳ぐらいの身なりの良い金髪の可愛い少女が1人で歩いていた。


(1人で歩いていて大丈夫なのかな?)


 すると、小狡そうな顔の、痩せた男と禿げた頭の下品な顔をした大男が少女に声をかけた。


 何かを2人の男が話すが、少女は無視をして通り過ぎようとした。


 大男が手を出し、少女の手を掴んだ。


「いけない」

「え? おねえさま,なんですの?」


 美羽はそれには答えず、窓を開けて、馬車から飛び出した。

街中ということで、あまり速度の出ていない馬車から飛び降りることは今の美羽にとって簡単だった。


 うまく着地して、すぐに少女のところに走る。


 少女は大男が脇に抱えていた。

少女は暴れているが体格が違いすぎて、振り払えない。

大声を上げる少女の頭を大男が大きな拳で殴り黙らせた。


 通りを歩いている人は見て見ぬふりをして通り過ぎる。


 2人の男は余裕の表情で路地に入っていった。

そこで、美羽が追いついた。


「何してるの!」


 2人の男が振り返る。

そこには5歳くらいの赤い魚を抱いた女の子がいた。

それを見て安心する。


「ん? なんだお嬢ちゃん。俺たちに用か?」

「その子をどうするの?」

「お嬢ちゃんには関係ないだろう。」

「その子を攫おうとしているなら、見過ごせないよ」


 美羽は追いかけてきたはいいが、やはり大人の男が怖い。

ガタガタ震えながら言う。


 男2人が顔を見合わせ、笑い出す。

少女が心配そうな顔でこちらを見ている。


「わっはっは。それならどうするっていうんだ? そんなに震えて」

「助けたいっていうなら、お嬢ちゃんもついて来てくれるか?」


 痩せた男が下品な笑みをしながら、美羽の手を掴もうとしてくる。


「ヒッ」


 美羽が一転、恐怖に引きつって後ずさった。

その美羽の姿に痩せた男は嗜虐的な笑みになる。


「お嬢ちゃん、ダメだよぉ。怖いのにこんなとこに来ちゃあ。

でも、帰るなんてもうできないよぉ」

「ぐへへ、お嬢ちゃん、よく見れば可愛い顔しているな。

桜色の髪も神秘的で高く売れそうだ。

儲けもんだぜ」


 痩せた男が再度手を伸ばしてきた。

美羽は相変わらず動けない。 


 もう少しで痩せた男の手が美羽の肩に触れるところで、


 グサッ!


「いってぇぇぇ」


 痩せた男の手に鋭く太い針が刺さっている。


「美羽様に触るな」


 いつの間にか、きんちゃんが美羽の手から離れ、痩せた男のそばで針を出していた。


「美羽様を怖がらせたことは、万死に値するぞ。貴様ら」


 きんちゃんの淡々とした言葉が場を支配した。

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