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女神様の使い、5歳からやってます  作者: めのめむし
第2章 辺境編

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第23話 転移ゲート

 風呂上がりでツヤツヤしているスウリに前衛をやっていた冒険者が言った。


「スウリさん、洞窟の奥に不思議なものがあった」

「何かしら?」

「俺じゃあ、わからないから見てくれ」

「分かったわ。じゃあ、みんなでいきましょうか」


 風呂上がりに洞窟にまた入るのは嫌だったが、ほっとくこともできないので、確認することにした。


 問題のものはゴブリンジェネラルがいた大広間よりも奥にある部屋だった。


 部屋の中央に淡い光を放つ四角い壁が見える。


 ドアを2枚分並べたくらいの大きさで縁取られ、向こう側が見える。

スウリが手を伸ばしてみると、表面に触ったような感じがして、波紋が起きて向こう側の景色が揺れる。


「確かにおかしいな。きちんと調査したほうがいいだろうな」


 そう、スウリが話していると、いつの間にか近くに来ていた美羽が手を伸ばした。


「危ないよ、美羽ちゃん」


 そう言った時はすでに遅く、手を入れ顔を入れてしまった。

美羽の手と顔が空中でなくなってしまったように見える。


「み、美羽ちゃん!」


 スウリは慌てたが、当の美羽はすぐに顔を抜いて平気な顔をしている。


「大丈夫なの?」

「うん、これは転移ゲートだね。向こうから来るだけみたいだけど」


 美羽は自分の中の知識から、転移ゲートと断定した。

スウリは、美羽に詳細を求める。


「なぜこんなものがここに?」

「うん、誰かがゴブリンを運べるようにここに作ったんだと思うよ。」

「いったい誰が?」

「それはわからないよ。ここの街を襲わせたかったんじゃないの?」

「それで、あの数のゴブリンが急に現れたのか。あれだけのゴブリンが近くにいたら、普通は気付いてもおかしくないからな。領主さまに報告しよう」

「それで、この転移ゲートどうする? またゴブリンを送ってくることができると思うけど」

「破壊したいな。どうすれば破壊できるかわかる?」

「きんちゃん、これ壊せる?」

「できますが、破壊するにはそれ相応の威力が必要ですから、周りを巻き込んで、全員生き埋めになる可能性があります」

「だって」

「それは困ったな。他に方法はないかな」

「あ、でも私、できると思うよ」

「本当かい?」

「うん、大丈夫だよ」


 美羽のその返答にスウリがホッとした。


「みんな、念の為離れていてくれる?」


 全員を後ろに下がらせた。

そして、自分は神気結界を発動させる。

美羽から桜色の光が溢れ出す。


「女神の手」


 美羽の背中に光が集まり、桜色の2本の大きな腕が現れた。

腕はゲートに伸びていき、2つの手で包み込むように握る。


 ゲートは握られるとまるで粘土細工潰すかのように、どんどん小さくなっていき、最後は「バシュ」と言う音と共に光を出して消滅した。

ゲートがあったところにはもう何もない。


「これで、大丈夫だよ」

「ありがとう美羽ちゃん」

「いいよ、いいよ。お仕事だし」

「そうだね。大活躍した美羽ちゃんの報酬は弾ませてもらうよ」

「やったぁ」


 洞窟を出た一行は、来る時のように美羽が先頭で花びらを散らしながら走って帰った。


 それを遠い崖の上から見ているものが1人。

茶色のマントのフードを深くかぶって顔がよく見えない。

その人物はつぶやく。


「実験は成功と言っていいだろう。しかし、ゲートを壊されたのは痛かったな。あれは作るのに時間がかかる。それに、あれを壊すには大量の魔力を使った攻撃が必要だ。洞窟が崩れていないのも不思議だ。それをやったのはあの子供なのだろうか?あの程度の戦力しかない街を落とせないはずはないと思っていたが、それもあの子供がやったのだろうか」


 遠目に眺めていると、走っていた子供と目が合った気がした。


「!?」


その人物は慌てて、岩陰に隠れた。


「私に気がついたのか? やはりあの子供は要注意だな。報告をしよう」



 美羽は、足を止めて、遠くの崖を見ていた。

スウリが声をかける。


「どうしたの、美羽ちゃん」

「あそこから見ていた人がいたの」

「あんなところに人が?」

「うん、変わった魔力だった。きんちゃんわかる?」

「はい、魔力の質からして、人間ではないでしょう。ただ、私にはそれ以上の情報がまだありませんので、どんな種族かは判別できませんが」

「そうなんだね。人間じゃない種族ってなんだろう」

「美羽ちゃん、それはまだいるの?」

「うん、いるけど隠れちゃってるからね」

「せめて、種族がわかればいいんだけど」

「それは無理だよ。私もきんちゃんも人間しか知らないから」

「そうなのね。また何かあったら教えてね」

「うん、分かった!」


 そう言って、また美羽は走り出した。

きんちゃんが美羽の周りを飛び回り、美羽からは桜の花びらが舞っていた。

楽しそうに走る美羽を見て、スウリや他の冒険者たちは微笑ましく見ていた。



 途中で乗ってきた馬車を拾っての帰り道の夕方前、スウリに声をかけられる。


「美羽ちゃん、あの丘を超えたらポンテビグナだよ」

「? ポンテビグナって何?」

「え? 昨日の街の名前だよ」

「ポンテビグナっていうんだね。知らなかった」

「美羽ちゃんは名前もわからないのにどうやってこの街に来たの?」

「最初にいたのがポンテビグナだよ」

「それは生まれた時からってこと?」

「ううん、昨日、気がついたらポンテビグナにいたの」

「昨日、いきなりポンデビグナに現れたっていうの?」

「うん、そうだよ」

「いったいどこから」

「フィーナちゃんのところだよ」

「フィーナちゃんって誰?」

「女神レスフィーナだよ」

「め、女神……さま? ほ、本当に」

「そうだよ」

「し、信じられない」

「信じなくてもいいよ。スウリちゃん次第かな」


 そう言って、美羽は楽しそうに外の景色を見ている。


 衝撃的なことを聞かされたスウリは呆然としている。


「女神さまのところから来たのだとしたら、御使い様……ということなの?

まさか、そんな……でも、御使い様なら、きんちゃんのこともあの能力のことも説明がつく。

美羽ちゃん、あなたはいったい……」



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