表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
女神様の使い、5歳からやってます  作者: めのめむし
第5章 崩れた日常

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

112/156

第113話 デスサークル

 ブラックオーガは苛立っていた。


 今まで騎士たちを一方的に蹂躙していたし、オーガたちに被害もなかった。

しかし、ある集団がやってきた時から流れが変わった。


 そいつらは、騎士たちと違って、装備が統一されておらず、バラバラの格好をしている。


 このオーガ部隊ですら、同じ盾と大剣で揃っている。

揃っているほうが強そうに見える。


 それなのに、奴らはオーガの予想外の攻撃をしてきて、次々に配下のオーガを屠っていく。

これでは、自分の役目が果たせない。


 役目が果たせなかれば、自分は殺されてしまうかもしれない。

それだけは避けたい。そう思った。


 そして、何よりあの弱そうな連中にいいようにされているのが許せない。


 配下のオーガがやられそうなところにハイオーガと共に行くと、奴らは逃げてしまう。

そして、別のオーガに攻撃をする。


 徹底的に自分を避けているようだ。


 追いかけると逃げて、別のところで攻撃を仕掛けてくる。

まるでうるさいハエだ。


 弱いくせに、許せない。


 ズズーン……。


 また、配下のオーガが一体倒れた。 

あの、弱そうな者たちの汚い作戦にやられたのだ。

あいつらは、まともにやり合う気がないのだ。


 「グオオオオオオオオオ!」


 完全にキレた。


 ハイオーガを引き連れ、冒険者の一角に走った。


 しかし、横方向から、魔法の炎が飛んでくる。


 そちらに気を取られていると、別方向から矢が飛んでくる。


 矢などこの体には刺さらないが、目だけは気をつけなければならない。


 そして、奴らの矢も目を執拗に狙ってくる。


 盾を構え、矢の飛んでくる方に走っていくと、今度は横から複数の大剣使いが飛びかかってきた。


 これは無視できないから、盾で防ぐ。ハイオーガたちも同様だ。

しかし、撃ち合ってくれるなら好都合だ。


 しかし、剣を振ろうとすると、その時にはすでに大剣使いたちは下がっていなかった。


 「グオ」


 ズズーン。


 怒りのあまり叫ぼうとすると、またオーガが倒れる音が聞こえた。

そちらを見ると、首のないオーガが転がっていた。


 ズズーン。


 また、オーガが倒れる音が聞こえた。


 一体、また一体と倒れていく。

そして、こちらはこの弱そうな装備の者たちを倒せていない。


 その上、騎士たちも息を吹き返したのか、包囲を固めてきていた。


 自分の怒りがさらに強くなっているのを感じた。

 


 


 その時、すでにオーガたちは最初の121体から数を減らして、85体にまでなっていた。

数の概念がないオーガには正確な数はわからないが、周囲には無数のオーガの死骸が転がっている。


 それを見れば、かなり数を減らしているというのは分かった。


 この状況を見て、ブラックオーガの怒りはピークを超えていた。


「グオオオオオオオオ」


 咆哮するが、冒険者にとっては隙だらけの行動に他ならない。


「もらったーーーー」


 ある冒険者の大剣使いが背中から袈裟斬りにブラックオーガを斬った。


「ガアアアアアアア」


 大剣使いは素早く下がる。


「よくやった!」


 弱そうな奴らのリーダーが斬って行った、忌々しい男を誉めている。


 ブラックオーガは激しい痛みの中悟った。


 ここでは自分も死ぬかもしれないということを。

こいつらは弱くない。

 

 むしろ、自分たちよりも戦い方が上手だ。


 ……本気でやらなければならない。


 ブラックオーガは今の負傷で完全に冷静になった。


 そして、周りを見回す。


 何体いるのかわからないが、今でもオーガの数は十分いる。

まだ、焦る時ではない。


 そして、相手は強い。

連携をして、騎士たちを圧倒していた自分たちの連携の穴をついてくることができる。


 それならば、穴をなくせばいい。

幸い、そのための方法は教わっている。


 我々、オーガならではの方法だそうだ。


 すぐにこいつらを処分してやろう。


「グオオオオオオオオオ」


 ブラックオーガが咆哮する。

人間には先ほどの咆哮と同じに聞こえるが、オーガたちには通じる。


 オーガたちは戦いをぴたりとやめ、ブラックオーガのもとへ走って集まった。


 そして、二重の円になった。


 冒険者も騎士も警戒した様子で見ている。


「グオオ」


 ブラックオーガが短く一吠えすると、後ろのオーガが前のオーガにジャンプして肩に乗った。

肩車になった状態だ。

 それが二重の円に並んでいる全てのオーガが行っている。

大剣を持っている右手が円の外側、盾を持っている左手が内側だ。

 

「なんだ、ありゃあ」

「何をしたいんだ?」


 冒険者たちは戸惑っている。

それもそのはずだ。肩車などして戦えるわけがない。

しかも円形に並んでいる。


 冒険者たちはその意味のわからなさに警戒をした。


 ギルド長のガルドが叫ぶ。


「弓や魔法が使えるものは射ってみろ」


 ガルドの声で、一斉に矢と魔法が放たれる。


 すると、オーガたちは体を捻って、盾を外側に持っていき、矢と魔法を防いだ。


 ちょうど2枚の盾が、肩車するオーガ2体の全身を守った形になる。

肩車をしている分、2体の合わせた身長が低くなって、大楯2枚で完全に覆えるようになっている。


「あれじゃあ、矢も魔法も通らないぞ」

「剣も通らねえな」


 冒険者たちは困惑の声を上げるが、ガルドが励ます。


「何もできないのは、肩車をしている奴らも一緒だ。幸い動かないのだから、隙をみつければいい」

「そうだな。攻撃がなくなった分余裕ができたぜ」

「ああ、なんとでもなりそうだ」


 ガルドの励ましに冒険者が余裕の声を出した時、それは起こった。


 円が回り出したのだ。


 オーガが、肩車をしたまま、円の形に走っているのだ。

それもかなりのスピードがある。


 円の中心にいたブラックオーガとハイオーガが冒険者と傭兵の一角に向かって走る。

すると、オーガの円も同じスピードで回りながら移動した。


 円が冒険者たちの集団に接触する。

その瞬間、今まで盾を構えていたオーガたちが、冒険者と傭兵に接触する瞬間だけ、捻った体を戻す反動を使って、大剣を切りつけてくる。斬りつけて通り過ぎた後はまた盾を構えて、矢や魔法に備える。


 まさに必殺の一撃だった。走る勢いにプラスして盾を戻す反動を利用して体を捻った渾身の斬撃。

人間の力で防げるわけもない。それも肩車をしているから、上下で二つの斬撃がくる。


 そして、矢や魔法で後ろから攻撃をしようとしても、斬撃の対象から離れたときは盾を構えている。

上下で盾を構えているので、隙が全くない。

 

 冒険者と傭兵にとって悪夢でしかなかった。


 なすすべもなく冒険者と傭兵がやられていく。


 その様を見て、ガルドがつぶやいた。


「デスサークル……」

「ギルド長、なんですか?」

「魔族の中で寡兵で大軍に立ち向かう時に使うものたちがいるらしい。

強靭な肉体ができなければ、成し得ない陣形だが、オーガならうってつけなのだろう。

 

 しかし、なぜ魔族の陣形をオーガが? それに、今までの統率の取れた動きに大剣と大楯の装備。

 

 まさか、魔族が関係しているのか?」

「ギルド長! 考察している暇なんてありませんよ。このままでは冒険者も傭兵も騎士も全滅しますよ」

 

 言われた通り、一角の冒険者と傭兵は蹴散らされて、その後ろに包囲を固めていた騎士にまで到達して、騎士もまたなすすべもなく円形の斬撃の嵐に飲まれていく。


 新たな騎士が、盾を構えて前に出た。


「ここで止めるぞ!」


 その騎士たちは騎士の中でも強靭な肉体と盾を持つ部隊だった。

彼らなら、あるいは止められるかもしれないと皆がそう思った。


 円がその騎士たちに近づいて、もう少しで接触する。

その時だった。


 円の内側にいた、ブラックオーガとハイオーガ20体が円を飛び越えてきた。


 ズズーン。


 地響きをさせ、騎士たちの前に来る。


 ドガン!

 

 ブラックオーガたちは騎士たちの一角を薙ぎ払って隙間を開けた。 


 その隙間から、デスサークルが侵入してくる。

吹き荒れるデスサークルによって、騎士たちは散々に打ち負かされる。


 ブラックオーガとデスサークルは戦場を縦横無尽に走り回って、騎士、冒険者、傭兵を蹂躙して回った。


 皆が手をこまねいているうちに、切り裂かれ踏み潰さる。

 デスサークルが去った後に残されるのは、うめいて転がる戦士たちだけだった。


 ブラックオーガ以下のオーガ達の残り総数は85体。


 騎士、傭兵達は壊滅状態で、満足に機能する部隊は皆無。

戦える冒険者も数パーティーといった状態になってしまった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ