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女神様の使い、5歳からやってます  作者: めのめむし
第5章 崩れた日常

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第112話 冒険者の反撃

 帝都騎士団第5大隊特務中隊中隊長のロイドは作戦本部で焦っていた。


 ロイドの作戦では、まず弓隊と魔法士隊の一斉射撃でオーガの足を止めたところで、騎馬隊が突撃。

混乱をさせたところに冒険者と傭兵団の遊撃隊が突撃。


 そして、騎士団前衛が前進し、包囲殲滅することになっていた。


 もし、一斉射撃で足が止まらなかったら、騎士団前衛が盾でオーガ部隊を押し留め、騎馬隊が真横から突撃し、遊撃隊がオーガの真後ろから攻撃し、騎士団と遊撃隊での挟み撃ちにするはずだった。


 しかし、結果はすでに陣形の奥深くまで食い破られ、後衛は散々に蹴散らされてしまっている。

後衛はもう戦線復帰は無理だろう。


 遠距離射撃がなければ、オーガの機動力を止めることができない。

騎馬隊だって、馬よりも大きなオーガが突進する正面からまともに当たればひとたまりもない。


 まして、遊撃隊は500人しかいない。

まともにオーガ部隊に正面からぶつかっても蹴散らされるだけだ。


 散々に後衛を破った、オーガ部隊は今度は騎士団前衛に後ろから襲いかかる。

振り返って対応する者もいるが、盾隊がオーガの正面に出てくるのに間に合わなくて、槍隊だけで対応している。


 槍を揃えて突き出すが、オーガの盾に悉く阻まれ、逆にオーガの風車のように振り回す大剣になすすべもなく崩れ去っていく。


 現場指揮官が押し包むように指示をするが、たった120体のオーガの包囲が完成する前に切り崩されてしまう。

これでは、ただやられるためだけに前に出ているようだ。


 オーガのそばにいる騎士団の士気の低下が軍全体に波及し始める。


 力の差は歴然としているのに、士気まで下がってしまってはもう取り返しがつかない。


「くそ! このままでは消耗するだけだ。伝令! 10人組で1体ずつ対処するように伝えろ!」

 

 ロイドは10人組で各個撃破するように伝令を出す。

 

 オーガの討伐ではオーガ1体に対して、10人組で対処するように訓練されている。

よって、この指示が出るよりも前に、すでに現場単位では行われていた。


 しかし、オーガがお互いをカバーし合うような距離で戦っているので、10人ずつでの包囲ができないで、崩されていた。


 よって、この指示はただ現場を焦らせ混乱させるだけのものになってしまった。


 若い指揮官のロイドにとって、経験をしたことのない戦いだったため、指示が後手に回ってしまう形になった。



「ロイドのやつ、だいぶパニックになってやがるな」

「ガルドギルド長! このままじゃまずいんじゃないですか?」


 俺が隊長を務める遊撃隊は混乱する騎士団の壁に阻まれて、オーガ部隊に近づけなくなってしまっていた。

騎士団は完全に統率が乱れているから、声をかけても道を開けてもらえない。


 隙間はもちろんあるが、500人もの隊が抜けるのは不可能だ。


 すでに、騎士団の対オーガの基本戦術の10人組も役に立っていない。

 

 これじゃあ、騎士団が混乱の中でオーガに蹂躙されるだけだ。


 早く手を打たなければ、すぐに撤退することになる。

いや、もう撤退したほうがいいだろう。


 しかし、撤退するにしても、オーガにもダメージを与えなければ、追撃されて被害が甚大になってしまう。


 ここはやはり遊撃隊がなんとかしなければ。


 しかし、この混戦の中前に出るには……そうか!


「聞け! 冒険者、傭兵団! これからは遊撃隊ではなく冒険者はパーティー単位、傭兵団は小隊単位で動け!

それなら、この混乱を素早く抜けられる。そして、抜けたら各パーティー、各小隊がオーガを各個撃破していけ。

 

 慣れたメンバーでの行動だ。お前らも動きやすいだろう」

「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「おおおおおおおおおお」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」


 俺の意図が伝わったようだ。

私が何も言わないうちから、バラバラになり騎士たちの間をすり抜けて、オーガに向かっていった。


 特にその動きは冒険者が顕著だった。

元々集団戦には向かないものたちだ。各パーティーに分かれたら、動きやすくなったのだろう。


「さあ、俺たちもいくぞ」


 冒険者が、戦闘に加わったことで、少しずつ流れがこちらに向きつつあるな。


 冒険者の闘い方はパーティーによってそれぞれだ。


 あるA級パーティーは狙いを定めたオーガに魔法で牽制をしているすきに、死角に回り込んだ斥候役が吹き矢をオーガに当てる。

途端にオーガが動けなくなる。痺れ薬でも塗っていたんだろう。

そこをパーティーのアタッカーの大剣持ちが首を断ち切った。


 また、ある、B級パーティーは魔法でオーガの足元に穴を掘り、体制を崩す。

そこを剣士が盾を持った左腕の腱を切り、左側に隙ができたところを槍使いが喉元に槍を突き立てた。


 流石にオーガも喉に槍を突き立てられては生きてられない。


 見事な連携だった。


 我々冒険者は騎士のように10人組を作るわけにはいかない。

パーティーが3人から6人が通常だからだ。


 少ない人数で強大な敵を倒すように工夫して戦うのが、冒険者なのだ。


「ガルドギルド長! 我々も負けていられないですよ」

「そうだな。我々ベテランの力を見せてやろう」


 俺のパーティーは冒険者ギルドの講師たちとギルドマスターの俺で組んだ5人組だ。

全員が元一流冒険者だった。


 一人の短剣使いが、オーガに接近する。オーガが右手の剣を振るう。

それをかわしながら、オーガの右手の小指を切断する。


 恐ろしい精度の短剣術だが、これでオーガは大剣を振るうことができなくなった。

その証拠に、オーガは大剣を無理やり振ったが重さに耐えきれず、大剣を落としてしまった。

剣を振るうには小指は必要不可欠な指だ。この指がなければ剣など振るえない。

 

 まあ、オーガの頭ではなぜ剣が振るえなくなったかわからないだろう。


 そして、大剣のなくなった右側から、さらに片手剣持ちが右足を深々と切り裂く。


 膝をついたところで俺が大剣で首を刎ねた。


 他にも冒険者たちが仲の良いパーティー同士で共闘したりしながら、オーガを倒していった。


 やはり冒険者のパーティーは自由であるのがいい。


 この分なら撤退を考えなくても、倒せるかもしれない。


 戦場を見回すと、騎士団の被害は甚大。冒険者の負傷者もいるが、まだまだ十分にいける。


 そして、オーガは10体ほど倒れていた。


 残りのオーガは110体程度だろう。


 勢いは冒険者にある。オーガに傾いていた天秤はこちらに傾くだろう。

 

 


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