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女神様の使い、5歳からやってます  作者: めのめむし
第5章 崩れた日常

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第111話 力の差

 オーガ部隊は報告通り、ブラックオーガを中心に左右にハイオーガさらに外側にオーガが並んでいる。


「きんちゃん、オーガたちの内訳は?」

「はい、ブラックオーガが1体、ハイオーガが20体、オーガが100体になっています」

「全部で121体か。数だけ見たら、大したことないと思うんだけど、遠目で見ても怖いなぁ」


 オーガの鬼の顔は遠くからでもはっきりわかるほど、迫力のある形相をしている。

オーガでも3メートル、ハイオーガで4メートル、中央のブラックオーガに至っては5メートルはある。

そして、すべてのオーガがこちらを睨んでいる。

 

 美羽は、それを見るだけで身震いをしてしまう。


 ブラックオーガが大剣の柄で盾に打ち付ける。


 ガン!


 ハイオーガたちも打ち付ける。20の金属音が響き渡る。


 ガンガンガン!


 オーガたち80体が一斉に打ちつけた。


 ガンガンガンガンガンガン!


 オーガたちがリズムを合わせて打ち鳴らす轟音のその様子に、人間側は否応なく恐怖を煽られる。

皆が青ざめた時、戦場全体に声が響き渡る。


『みんな、気持ちで押されたらダメだよ。私も力を貸してあげるから、みんなも気をしっかり持って。

 みんなならできるから』


 神気マイクのヘッドセットをした美羽だ。

これは、女神レスフィーナからもらった、様々なマイクの形に変化して、指定の広さに声を届けることができる、便利なマイクだった。


 『身体強化』

 『精神強化』

 

 美羽が唱えると、人間側の者たちが銀色に輝いた。

身体強化は身体能力を1.25倍に引き上げる魔法。精神強化は恐怖などに対抗する魔法だ。

 

「おお、力が湧いてくる!」

「もうオーガなんて怖くないぞ」

「これなら、オーガだって倒せるはずだ」


 人間側の騎士や冒険者たちが口々に叫んだ。

それを見た美羽は密かに思う。


(私は精神強化しても、まだオーガが怖いんだけどね。みんな強いな)


 特務中隊中隊長のロイドが叫ぶ。


「御使い様の加護も得ることができたー! あとは、国に勝利を捧げるだけだ」

「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」


 遠くに見えるブラックオーガは、威嚇が効かなかったと見て、前に歩き出す。

ハイオーガ、オーガたちが盾を打ち鳴らしながら、追随する。


 騎士団も前に進む。

ある程度前に進んだら、待ち構える形で止まり、前列はオーガの突進に備えて盾を構え、弓隊は矢をつがえ、魔法士は魔法の発動に備え集中する。


「グオオオオオオオオオオ!」

「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「グオオオオオオオオオオオオオオオオ!」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」


 ブラックオーガが咆哮した。

それに合わせ、ハイオーガも含めたすべてのオーガが咆哮する。


 それは後方支援の美羽が耳を塞いでしまうほどの咆哮だった。


 (怖っ! 何これ怖い! よく前の人、平気だね。)


 ブラックオーガは咆哮しながら、走り始めた。

すべてのハイオーガ、オーガがそれに続く。


「弓隊構えー!」

「魔法士隊、魔法用意!」


 先頭のブラックオーガが前衛に近づいてくる。

 

「射てーーーー!」

「放てーーーー!」


 大量の矢と、魔法が一気に放たれた。

山なりに飛んだ矢と魔法がオーガたちに迫った時、

 

「グオオオオ!」


 ブラックオーガの一吠えで、オーガたちは密集体型になり、盾を頭上に構える。

騎士たちの弓と魔法はオーガの金属の盾に遮られて、通らない。


 そして、オーガたちは勢いこそ緩まったものの、そのまま前進を続けた。

 

「弓隊構えー!」

「魔法士隊、魔法用意!」


 弓隊も魔法士隊もすぐに次射の準備をした。


「射てーーーーー!」

「放てーーーーー!」


 再び山なりに飛んでいくが、オーガたちの盾に遮られて、通らない。


 ついに、ブラックオーガが前衛の手前まで迫った。


「盾隊、衝撃に備えろーーーー!」


 ブラックオーガが、盾を横にして突進の勢いのままにぶちかましてきた。


 ドッカーーーン!


 一度のぶちかましで、盾の騎士が6人吹き飛んだ。

そして、左右ではハイオーガが同様にぶちかまして、盾の騎士たちを次々と吹き飛ばしていく。


 開いた防御の穴にオーガたちが殺到する。

そうすることで、さらに穴が広がっていく。


 後列の槍隊が一斉に槍を突き出すが、盾で防がれ大剣で吹き飛ばされてしまう。

騎士たちは手足がちぎれて、次々と倒れる。


 オーガ部隊の後方から、騎馬隊が迫るが、オーガ隊は前方に駆け抜けたので、仲間の前衛の騎士たちに逆に道を阻まれてしまい追撃できない。


 オーガ部隊は後衛の弓隊、魔法士隊に迫り、大剣を振るう。

後衛である彼らに防ぐ手立てはなく、無惨に切り伏せられてしまう。


 騎馬隊が追いついた頃には、後衛は壊滅状態だった。

前衛は大混乱をして、騎馬隊は負傷した味方が転がっている状態では足を活かして動くことができず、力を発揮できない。

冒険者と傭兵の混成団は無傷だが、機動力が足らなくて、オーガに追いつけていない。


 美羽の身体強化で1.25倍の能力アップをしていた。

それは人間にとって1.25倍は大きな違いだが、オーガにとっては誤差の範囲だ。

 

 実際のところ魔力を込めれば、10倍でも強化は可能で、そのくらい強化すれば騎士が1人でオーガに勝つことも無理ではない。

 

 しかし、それは人間が対応できればの話で、あまりもの強化はかけられた人間がついていけない。

そのため現実的に対応できる範囲として、1.25倍なのである。


 その程度の強化のため、オーガの前に立った人間はなすすべもなくやられていた。


 完全にオーガ部隊に天秤が傾いた。


 開戦からわずか10分ほどのことだった。


 そして、オーガの死傷は未だゼロである。

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