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女神様の使い、5歳からやってます  作者: めのめむし
第5章 崩れた日常

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第106話 あらすじ5 神々の鑑賞 全5回

 美羽ちゃんが昼間に占いをしてあげた、夫を殺された女性サブリナが自分の食堂の店内で復讐をした。

 

 美羽ちゃんはその場に行き、女性がピンチになっているところを救って、復讐を遂げる手伝いをしてあげた。


 『ザクッ、ザクッ、ザクッ』


 事切れている復讐相手に包丁を差し続けるサブリナの血まみれの手を、美羽ちゃんが優しく包んで、動きを止める。

 

『終わったよ』

『あ……』


 美羽ちゃんのどこまでも優しい声とその手の温かさにサブリナの力が抜けた。


『うっ、うっ、うっ』

『もう、終わったよ。頑張ったね』

『うわああああああああああああ』


 思い切り泣いたサブリナは、晴れやかな顔をしていた。


『もう大丈夫そうだね……』


 美羽ちゃんが青い顔をしている。今にも倒れそう。なぜ?


『もう……』

『もう?』

『限界! うげぇぇぇ』


 美羽ちゃんはその場で四つん這いになって吐いた。

どうやら、この凄惨な殺害現場で耐えられなくなったみたい。

仕方ないんだけど、こういうとこ美羽ちゃんらしいね。

 

 美羽ちゃんが落ち着いた様子を見てサブリナが話す。


『捕まる前に出頭するよ。殺しだから、よくて犯罪奴隷だろうけどね。後悔はないよ』

『言わなきゃいいじゃない。あなたはなにも悪くないわ』

『でも殺したんだよ。殺しは悪いだろ』

『先に殺したのはこの男だしね。それにあなたが前に進むには必要な復讐だよ。

これがないと、あなたは一歩も進めなかったでしょ。

殺しっていうのはね、殺された人とその人を愛していた人まで殺すんだよ。

あなたは今まで死んでいた。ちょっとでも生き返るには必要なことだったんだよ。

せっかく少しだけ生き返ったのに、捕まる必要はないよ』

『そうだね。こんな男のせいで人生フイにしたくないね。

……だけど、流石にこの死体を隠すのも無理はあるよ』

「大丈夫だよ。『砂になれ』」


 美羽ちゃんが神気の力で店内の死体から、夥しい血痕まで全て砂に変えてしまった。

これで、サブリナは捕まることはないね。


『ねえ、復讐してスッキリした?』

『ああ、スッキリしたね。これで旦那に顔向けできるよ』

『そう、復讐してもスッキリしないとも言うけど』

『ああ、私は旦那が死んでから、ずっと時間が止まっていたままだったからね。

お嬢ちゃんの言った通り、死んでいたのと同じだった。

これで、私の人生の時間も動き出すよ』

『それならよかった。自分の人生を歩くんだね』

『ああ、気持ちを切り替えるよ。そりゃ旦那のことを思い出すこともあるかもだけど。

その時は旦那の笑顔を思い出すようにするよ』

『強いね』

『お嬢ちゃんほどじゃないけどね』

『ふふふ。私、小桜美羽。あなたの名前は?』

『聞いてくれるのかい?』


 美羽ちゃんは、昨日占いをした時は、女性が死ぬつもりだと思って、いなくなる人の名前は覚えないと言って、名前を聞かなかったし名乗らなかった。

 

『うん、これからもいるってわかったから』

『それは嬉しいね。私の名前はサブリナっていうんだよ』

『よろしくね、サブリナ』


「おお、見事な復讐だったな。女の細腕で見事にやり遂げた。それを絶妙に助けて、最後に生きることを促した美羽も素晴らしい。レスフィーナ。俺はこの美羽が気に入ったぞ」


 げっ、復讐神ザス。こいつまできたの?

普通に治癒の神セリスと愛の神ラヴィア、戦神アルモス、獣神ルヴァーンと一緒に座って、特級の神の雫を飲んでるし。


「あげないわよ。美羽ちゃんは」

「加護くらいあげてもいいだろ」

「なんで、そんなに入れ込むのよ」

「この子は復讐の重要性をこの歳で理解しているからな。有望な子だよ」

「でもダメよ」

「そうか、会ってみたいと思っていたんだが」


 美羽ちゃんが復讐神の眷属なんて冗談じゃないわよ。



 場面は市場の治癒院に移る。

 

「美羽ちゃん、それにしてもとんでもないわね」

「セリス、そう思う? 私もこんなに成長するとは思わなかったわ」

「なぁに、二人とも。何がとんでもないのかしら?」

「ラヴィア、今スクリーンで美羽ちゃんが500人弱の傷病者を一気に治しちゃったでしょ」

「ええ、すごいわね。セリス」

「普通、人間の神気持ちが1度に治せるのは優秀でも10人が限度よ。

 それも、部位欠損はおろか、重症の怪我は治せないわ。」

「でも、神気結界の中でやれば効果は高まるんでしょ?」

「そうなんだけどね、神気結界の中で効果が上がっても、よくて5倍程度よ」

「つまり、美羽ちゃんは優秀な神気持ちの10倍くらいの治癒ができて、その上に重症者や部位欠損まで直せるってことなの?」

「そうね、あの様子なら、もっと多くの人を治癒できるようになるわね。たった1ヶ月でここまできたのだから。

そうでしょ、レスフィーナ」

「当然よ、セリス。美羽ちゃんは私が地球の隅々まで回ってやっと見つけた逸材なのよ」

「「なんだと! あんな子をさらってきたのか!」」


 戦神アルモスと獣神ルヴァーンが口を揃えて馬鹿でかい声で言う。うるさっ。

 

「さらってないわよ! 脳筋コンビ!! 美羽ちゃんが父親に家に閉じ込められて、餓死するところを連れてきて回復させたのよ。最初は交渉しようと思っていたけど、それでは間に合わないで死んでいたのよ」


 私は、美羽ちゃんの地球での記憶を神々に共有した。


「むう、なんと不憫な。わしの子にしてやろうか。立派な戦士に育ててやりたい」

「あげないわよ。アルモス!」


 話を戻すと、神気が強くなったおかげで、私はたまになら美羽ちゃんのところに現界することができるようになったのよね。

 

 それで、現界した時に、美羽ちゃんに神刀コザクラをプレゼントしたの。

これは普段は桜の花びらのアクセサリーで、よく美羽ちゃんは目の下に貼っているけど、一瞬で刀に変わるの。


 しかも伸縮自在で、神気か魔力を込めれば込めるほど、切れ味が増す。しかも折れることがないっていう代物なんだよね。


 美羽ちゃんからは、ヨシノをもらったの。美羽ちゃんが毎晩、膨大な神気を具現化させて少しずつ作った美羽ちゃんそっくりの手のひらサイズの神像なんだけど、既に動き回ってるのよね。神像だけど、神気生物って言っていいわ。


 名前は美羽ちゃんが桜のソメイヨシノからとってつけてくれたの。

あれ? そういえばヨシノの姿が見えないわ?


「ヨシノー、どこー?」


 すると、ヨシノがすぐそばにある神樹の枝から叫びながらダイブしてきた。


「きゃー」


 そのまま、抱きついてきた。

かわいい〜。

 

「ヨシノ。神樹の上にいたの?」


 ヨシノが可愛く首を縦に振る。


「今、美羽ちゃんを見ていたのよ。ヨシノも一緒に見る?」


 すると、ヨシノが神樹の枝とスクリーンを交互に指す。


「ああ、神樹の上から見てたの?」


 ブンブンと首を縦に振る。

どうやら、神樹の上から見ていたみたい。


 抱っこして、ソファーに座ると神たちが物欲しそうに見ている。


「……あげないわよ」

「「「「「ケチ」」」」」


 ケチじゃないわよ。私の、下界より大切な宝物なのよ!

あげるわけないじゃない。


 (ずっと、一緒にいようね。ヨシノ)


 ヨシノがブンブン首を縦に振っている。


「え? ヨシノ私の心の声が聞こえてるの」

 

 今度は首を横にブンブン振ったあと、そっぽを向いて、口笛を吹いてる。

怪しいなー。


「でもいっか、かわいいし」


 ヨシノをギュッと抱きしめた。


「きゃー」


 唯一喋れる? きゃーと言いながら抱き返してきた。


 そういえば、下界でのライブも楽しかったな。

ミウちゃんと一緒に歌うと、一体感があって、幸せだった。


 また、一緒にライブやりたいな。


 美羽ちゃんはルナーレってギターみたいな楽器とカダレスっていうドラムみたいな楽器をもらってたから、美羽ちゃんの演奏する楽器で歌うのもいいな。


 

 スクリーンに目を戻すと、美羽ちゃんは帝都の冒険者ギルドにいた。


 『はい、御使い様に折り入ってお願いがあるのですが……』


 冒険者ギルド長のガルドが美羽ちゃんに頼み事みたい。


 オーガの部隊が帝都近郊に現れて、被害がかなり出たんだって。

この間、美羽ちゃんが治癒していた500人弱の人もこの時の怪我人見たいね。


『それで、その討伐隊に御使い様に参加していただけないかという相談なのですが』

『オーガって怖い顔してんだよねぇ』

『はい、恐ろしい顔をしております』


 美羽ちゃんが顔を顰める。怖い顔は嫌なのよね。

 

『しかし、オーガは私たちでなんとかします。ミウ様がきていただければ、多くの命が救われるのです』

『でも、怖いのはなぁ』


 ガルドが次第に熱くなってくる。


『このままでは帝都の住民が不幸な目に遭ってしまいます。

お見過ごしになるのですか?』


 美羽ちゃんは悩み始めた。


(帝都には歌を見に来てくれたり、治癒にきたりする人がいるんだよね。あと、最近はよく声をかけられるし……。

でもオーガ、怖そうだなぁ。怖い顔で迫られると、多分動けなくなるよね)


 あ、まずい。美羽ちゃん、想像のオーガと実のクズ親の賢治の顔と重ねちゃったみたい。


 美羽ちゃんがみるみる青い顔になっていく。

 

 美羽ちゃんの蒼白の顔から、汗が滲み出してきた。

 

 首を絞められている時の賢治の恐ろしい顔が、フラッシュバックしているみたい。


 ガタガタと体が震え、両手で自分を抱え込む。呼吸が速くなり過呼吸になっていった。


(怖い怖い怖い怖い怖い)


『美羽様、まず私を抱いて下さい』


 きんちゃんがそう言うと、美羽ちゃんはガバッときんちゃんを抱きしめる。


『すぐに治りますので安心してください。ゆっくり呼吸をしましょうね。まずはゆっくり息を吐いていってください。

吐いたら少しだけ吸いましょう。少しでいいですからね。そうです、その調子。そうしたら、またゆっくり吐きましょう』


 しばらく続けたら、過呼吸が治っていく。


 落ち着いたところで、美羽の両目からボロボロと涙が流れてきた。


『ふぇーーーん、きんちゃーん』

『大丈夫ですよ。私はいますからね。思い出しちゃいましたか。怖かったですね』

『怖かったよぉ』

『もう大丈夫ですからね』

『きんちゃーん』

『はい、大丈夫ですよぉ』


 泣き止んだ頃には美羽ちゃんは眠っていた。無理もないよね。


 ガルドがきんちゃんに声をかけた。


『きんちゃん殿。御使い様はどうされたのですか?』


 きんちゃんは少しだけ、父親のことを説明をした上で言った。


『仮に帝都が攻められたとして、いまだ5歳である美羽様になんの関係がある?

5歳である美羽様に帝都の人間の命を背負わせようと言うのか?

美羽様はもともと女神様に楽しく生きるように言われているのだ。

そして、そんな美羽様と美羽様が楽しく生きる事を守るのが私の使命。

美羽様のお心を煩わせるなら、容赦しないぞ。人間』


 きんちゃんはかなり強い殺気を込めてガルドを睨んだ。


 きんちゃんの殺気にガルドは諦めたようだ。

賢明ね。これ以上食い下がっていたら、きんちゃんが何をしていたかわからないから。


 多分串刺しね。


『人間、美羽様が起きてこの部屋を出るまで、どこかに行っておけ。

その顔を美羽様に見せるな。美羽様がまた考えてしまう』

『……分かりました。席を外します』


 それを見たきんちゃんは優しく美羽ちゃんに語りかける。

 

『安心してお休みください。美羽様』


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 獣人たちは大樹の森に移住するようだ。


 大樹の森までは長旅になるので、今やすっかり美羽ちゃんの愛犬になったブルハウンドを護衛につけることにしたみたい。


 アミとフィオナとミルカの3人は大きくなったら、美羽に仕えたいと言って、美羽ちゃんもそれを受け入れていた。

やったね、美羽ちゃん。リリとルルに続いて忠臣ゲットだね。


 ブルハウンドたちも美羽ちゃんと離れるのが名残惜しいのか、美羽ちゃんに体を擦り付けて、美羽ちゃんが頭を丁寧に撫でてあげると、旅立っていった。



 カフィ・ルッツ。

 

レーチェルの兄で、美羽ちゃんのことが好きな12歳。


 過去に、美羽ちゃんと一緒にお風呂に入ろうとして断られ。


 美羽ちゃんに手を触られて、卒倒。


 美羽ちゃんに婚姻を申し込み、即断られ。


 腹黒い少年に操られて、美羽ちゃんの手を取ってスイーツデートに誘うが、美羽ちゃんの手を取っているので、限界を迎え卒倒する。


 純情少年だけど、正直美羽ちゃんは迷惑しているみたい。それに気が付かないのがカフィの仕様。

 

 ヨーゼフ・マーヴィカン第一皇子


 皇帝に謁見の時に美羽ちゃんに婚姻を申し込んだ。

 完全に初対面の自分に申し込んだことに、腹を立てた美羽ちゃんがボロクソに断ってた。


 それで、だいぶ恥をかいたと思っていて、美羽ちゃんに恨みを持ってるみたいなのよね。


 美羽ちゃんと皇室の人間が近くなることをよく思っていないみたい。



 エルネスト・マーヴィカン第二皇子


 クララの兄だけど、呪いが解けた時に美羽ちゃんを見て天使だと思う。


 以後、何度となく結婚を申し込むけど、美羽ちゃんは気持ち悪いと思っていて、断り続けてる。


 そして、手ひどく美羽ちゃんに断られた時に、もしかして、自分は何も持っていないのではないかと気がつく。


 それで、目が覚め、今までの女性関係も精算して、上辺だけの友人関係を再構築し、家臣の話をよく聞くようになる。


 今では、目を覚させてくれた美羽ちゃんに深い感謝を持っている。


 イザベル・マーヴィカン第一皇妃


 きんちゃんから美羽ちゃんの境遇を知り、きんちゃんの要請に応えて、また自分でもやりたいと思って、美羽ちゃんの母親に立候補する。

 それも、美羽ちゃんの気持ちを汲み取って、形式上ではなく心のつながりの母娘になろうと提案した。

 

 美羽ちゃんも喜んで、緊張しながらもお母さんと呼ぶ。

 

 美羽ちゃんの照れ笑いが可愛かった。


 よかったね、美羽ちゃん

 


 そして、美羽ちゃんは毎日のように皇城のティールームにきて、イザベルと会っていた。


『ねぇ、お母さん』

『なぁに、ミウちゃん』

『そのケーキ食べたい』

『いいわよ。はい、アーン』

『えへへ、アーン』


 美羽ちゃんはイザベルにあーんをしてもらいたかったんだよね。


 パク。

 

 美羽ちゃんがにっこり笑う。


『えへへ、お母さんのケーキ美味しいよ』

『まあ、可愛い。ミウちゃん』


 イザベルが席を立って美羽ちゃんをぎゅーっと抱きしめた。


 本当に可愛い。私が抱きしめたい!


「可愛いわぁ。私が抱きしめたいわ。ねえ、セリス」

「ええ、私も抱きしめたいわ。でもよかったわね。美羽ちゃん」


『きゃ〜、お母さん、嬉しい!』

『私も嬉しい〜』

『お母さん、あったかいなぁ』

『ミウちゃんもあったかいわよ』


 美羽ちゃんがイザベラの胸に顔を埋める。

イザベラは美羽ちゃんの頭に顔をつけた。

羨ましいわ。


最近では第2皇妃のエレオノーラと皇女のアメリアとシャルロットも美羽のことを「ミウちゃん」と呼ぶようになり、美羽ちゃんも3人を愛称で呼ぶようになるくらい仲良くなっているわ。


 第3皇子のセオドアも「ミウちゃん」と呼びたがったが、キッパリ断っていた。

まあ、男には警戒するよね。


 ティールームでは、イザベルと美羽ちゃんのイチャイチャお茶会が続いている。


『ねえ、ミウちゃん』

『なぁに、お母さん』

『ミウちゃんがよかったらなんだけど、私の事お母さんじゃなくてママって呼んでもいいのよ』


 そう言うと、美羽ちゃんは見るからにしょんぼりしてしまった。


『お母さん、ごめんね。ママっていうのはママだけなの。ママを忘れたくないから。

でも、お母さんもこんなによくしてくれているのに、私酷いよね。

でも、でもね、私……ごめんなさい』


 ポタッ、ポタッと涙の雫が美羽ちゃんの膝に置いた手に落ちた。


 イザベルは慌てて美羽ちゃんを抱きしめた。


『ごめんなさい、ミウちゃん。ミウちゃんのことを考えないで。

ママのこと大事なのよね。忘れたくないって当たり前よ。

そんなことも考えてあげられなかった私が悪いわ。

謝らないで。謝るのは私のほうよ。ごめんね、ミウちゃん』


 まだ、美羽ちゃんは、母親を亡くしてから2ヶ月もたっていないんだもんね。

普段、明るくしていたって、心には深い傷があるよね。


 イザベルはもっと仲良くなりたいと思っただけだけど、美羽ちゃんの心の傷を踏み抜いちゃったみたいね。


『お母さん、ごめんなさい。ごめんなさい、でも、でも』


 美羽ちゃんが泣きながら謝罪してる。

美羽ちゃんの心の中では、実の母の美玲と自ら母親になるって言ってくれたイザベル、両方への愛がせめぎ合っているのね。


『決められないの。ママとお母さんどっちも大切なの。ごめんなさい』


 イザベルが強い罪悪感に顔を歪めている。

 

 美羽ちゃんに自分と母親を選ばせるようなことを言ってしまったことに後悔しているみたい。


『ごめんね。決めなくていいのよ。ママが大好きなんだもんね。悪いことなんか何もないわ。

その気持ちを大切にしてもらいたいの』

『でも、お母さんいるのに、ママを思い出しちゃうんだよ』

『ママを大切にしているミウちゃんが好きよ』

『……ふえ〜ん、お母さん〜』


 美羽ちゃんはイザベルの胸に顔を埋めて泣いた。

イザベルもいつの間にか涙を流していた。


 しばらく抱き合って泣いてから、恥ずかしそうに美羽ちゃんは顔を上げる。


『お母さん、泣いちゃってごめんね』

『いいのよ。いつでも泣きたくなったら、私のところに来てね。

でも、今回は私のせいね』


 イザベラがにっこり笑った。

美羽ちゃんもそれを見てにっこり笑う。


『お母さん』

『なに?』

『お母さんのこと、私が守ってあげるからね』

『まあ、嬉しいわ。じゃあよろしくね』

『うん! 2人の約束だよ。美羽にまっかせて』


 この後、皇帝ウォーレンもやってきて、美羽ちゃんに頼み込んだ。


『ミウ様! 私もミウちゃんと呼ばせてもらえないだろうか?』


 美羽ちゃんは顔をこわばらせたけど、イザベルの助言で美羽ちゃんはウォーレンを信用することにしたみたい。


 『じゃあ、ミウちゃんって言っていいよ。お父さん……』


 その声はすっごく小さかったけど、ウォーレンの耳にはしっかりと届いたようで大声で大騒ぎした。


 それから、


 『ミウちゃーん。もう一度、言ってくれるかなぁ』


 美羽ちゃんが顔を上げる。

ウォーレンは期待した目になる。


『皇帝、うざい』

(皇帝うざい、皇帝うざい、皇帝うざい、こう……)


 あまりものショックで真っ白になった皇帝が立っていた。

 

 ちょっと、調子に乗りすぎたわね。皇帝。



「さあ、美羽ちゃんの記憶はここまでよって、何この神数!?」


 いつの間にか、神が50神も集まっていた。


「レスフィーナ、面白かったぞ」

「美羽ちゃんに今度会わせてくれよ」

「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「会っわせろ。会っわせろ」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」

「うるさいわね。あなたたち」

 「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「会っわせろ。会っわせろ」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」

「会わせるわけないでしょ」

「創造の神レスフィーナよ」

「なに? 運命神フィオス」

「美羽はこれから、大きな運命の潮流に翻弄されることになるだろう」

「それは私も感じていることよ。あなたが言うってことはよっぽどなのね」

「そうだ。我にも予測がつかないことが近いうちに起こる」

「それは、そうなのよね」

「創造神レスフィーナよ。汝の手からも離れるやも知れぬ」

「それは、私が恐れていることだわ」

「そうなる時に指針は一つでも多いほうがいいだろう」

「神たちに会わせておけっていうこと?」

「その通りだ。美羽の命運は神たちに会わせることで大きく変わる」


 私は、運命神フィオスを睨みつけるけど、フィオスは揺るがない。

どうやら、本当に従ったほうが良さそうね。


「……分かったわ。近いうちに連れてくるわ」

「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「うおおおおおおおおおおお」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」

「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「でかした、フィオス」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」


 本当にこいつらでいいのかしら。


 でもね、何かあるのは私も感じとっていることだから、選択肢はないわね。


 私は、美羽ちゃんが楽しく過ごしてくれるだけでいいのに、そうはいかないのかな。

 


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