第105話 あらすじ4 神々の鑑賞 全5回
美羽ちゃんはゴルディアック商会の三男のジェフ・ゴルディアックに虐待されていた、犬獣人の違法奴隷の母娘シアとアミを助けたの。
シアとアミ達、獣人は元々女神である私の信奉者が多くて、その御使いの美羽ちゃんにすぐに心酔するようになった。
「おお、犬獣人を助けたのか。レスフィーナ、お前の子は気が利くぜ」
「ルヴァーン。どこから現れたのよ」
獣神ルヴァーン。地球で言ったら獅子のような見た目で、とても好戦的な神ね。
脳筋よ。脳筋。
「お前が自分の子の記憶を見て楽しんでるって、もう噂になってるぜ」
「いったい誰が言ったのよ。……あれ、アルモスがいない」
治癒の神セリスと愛の神ラヴィアと並んで、戦神アルモスがソファーに座って見ていたのに、いつの間にかいなくなってる。
「アルモスなら、「美羽を見るならもっといい酒がいるな」って言って、酒神サムルスのところに特級の神の雫のお酒をもらいに行ったわよ」
「本当? ラヴィア。まさか、あいつが美羽ちゃんの話をいいふらしてるんじゃないでしょうね」
「おお、よくわかったな。レスフィーナ。アルモスが上機嫌で「戦いはないが、可愛い子だ。俺の娘にしたい」なんて、広めまくってたぜ」
「アルモスーーーーー!」
アルモスーーーーー! 好奇心旺盛な神達にそんな話をしたら……。
「レスフィーナ、心の声がそのまま外に漏れ出してるわよ」
「わ、分かってるわよ。セリス。でも、アルモスが!」
にわかに大勢の声が聞こえてきた。
嫌な予感しかしないわ。
「おーい、レスフィーナ。ここで可愛い子のライブが見れるって聞いたぞ」
「いやいや、可愛い子のファッションショーだろ」
「んー、爆裂天使って聞いたぞー」
「いや、奴隷解放幼女って聞いたけどな」
「占い少女って聞いてるぞ」
ほら、来た。暇で好奇心旺盛な神達が集まってきた。
何よ。好き勝手言って。
まあ、ライブもファッションショーもしてるし、魔法で爆裂させて死にかけてたし、奴隷解放もしてたし、占いもしてたけど。
「もう、集まってこないでよ!」
「「「「「いいじゃないか。楽しいことはみんなで共有。それが神界のルールだ」」」」」
ああもう。声を揃えて、鬱陶しい。
私は創造神なのに、なんでみんな敬わないのかしら。
「私は創造神なのに、なんでみんな敬わないのかしら」
「それは、レスフィーナが良くも悪くも神を惹きつけるからよ」
「え? また声に出てた? ラヴィア」
「うん」
いけないわ。心の声は心だけにしないと。
でも、神に人気なんだって、私。それはそうよね、私カリスマだから。うふふふふ。
「ねえ、ラヴィア。私、レスフィーナが何を考えているか分かっちゃった」
「そうねぇ、セリス。私も分かったわ。単純ね、レスフィーナ」
なんか、言われてるけど、私は美羽ちゃんを見ないと。
あ、美羽ちゃん、シアとアミと一緒にゴルディアック商会の屋敷に侵入してる。
商会が組織的に獣人の村の住民達を男性は殺し、女性達ばかりをさらってきて売り飛ばしているみたい。
今はシアとアミの仲間が捕まってるから、救助に来たのね。
美羽ちゃんたちが番犬のブルハウンドって大型犬20頭に囲まれてる。
でも、美羽ちゃんなら……。
『『『『『『ヴォッ!ヴォッ!ヴォウゥ!』』』』』』
『神気結界』
犬達がコロッと仰向けになって、美羽ちゃんに服従した。
まあ、神気結界に入った動物は、大体服従するし、美羽ちゃんは動物好きだしね。
あ、犬達に念話でダンスのイメージを伝えて○ュー○ュートレインを踊り始めた。
犬達が一列に並んで順番に円を描いて回ってる。
犬があのダンスをするのはシュールで面白い。
「美羽ちゃんって、5歳なのよね。やけに地球のことに詳しくない?レスフィーナ」
「セリス、私がこの世界の知識に加えて、地球の知識も授けているからよ」
「過保護ねー」
「過保護で結構。美羽ちゃんを5歳でこの世界に放り出したのだから、できるだけのことはしてあげないとね」
「なるほどね」
お、ついにゴルディアックの商会長ゼノン・ゴルディアックが登場したわ。
美羽ちゃんのことを御使いだと知っていて焦っている。
(ねえ、クララ、レーチェル? こなくても大丈夫だよぉ)
敵地のど真ん中だと言うのにクララとレーチェルと念話で話し始めた美羽ちゃん。
話してるのはいいんだけど、どこにいるか話したら、クララとレーチェルが来ると言い出したの。
美羽ちゃんが、慌てて2人を止めてる。
(そうはいかないわ。もう非常呼集はしているの)
(わたくしもおとうさまにいいましたわ)
(はやっ)
ゼノンは美羽ちゃんの焦った顔を見て、自分にビビってると思ったみたい。
『いかに御使い様とはいえ、その立場を利用して、このようなことをするとは、どういうことですかな?』
(クララ、レーチェル? 本当に来ないでいいんだよぉ。心配しないでね、ね)
(うるさい! 今念話どころじゃないの!)
(そうですわ! おねえさまはすこしだまっていてくださいまし)
(ヒッ!)
『ヒッ!』
あ、ミウちゃんの心の悲鳴が漏れ出た。
美羽ちゃんの目には涙が溜まって、ボロボロと涙が溢れ始めた。
(怒られちゃった。二人に怒られちゃったよぉ)
あーあ、ゼノンは自分の脅しが効いてるかと思って、完全に調子づいちゃったよ。
『これは、落とし前をつけさせてもらわなければなりませんなぁ』
(どうしよう、クララとレーチェルに嫌われちゃったのかなぁ)
ゼノンがナイフを抜くと周りの護衛たちも一斉に剣を抜いた。
美羽ちゃんは普段なら、男達が剣を抜いて威圧してくることを、怖がってたはずだけど、今はクララとレーチェルのことで頭がいっぱいで、全く気づいてないな。
ゼノンがゆっくりと美羽の首の横にナイフをつける。
こいつ、私の美羽ちゃんに何してるわけ?
『やい! 御使い! こんなことしてわかってるんだろうな!
目ん玉の一つでも抉ってやろうか! それとも、腕の一本でも落とすか!』
『……さい』
『ああ! 何言ってんだクソガキ!』
『うるさいって言ってるの! こっちはクララとレーチェルに嫌われて大変なの! ぶっ飛ばすわよ!』
『ああ! 何言ってやがんだ! おう! もういい、処分しろ。死体が上がらなけりゃなんとかなる』
ゼノンはミウちゃんがいかに御使いでも、殺して仕舞えばなんとでもなると思ったみたい。
でも……。
『う、うごかねぇ、どうなってやがる!』
美羽ちゃんが泣き顔のままキッと睨みつける。
そんな美羽ちゃんも可愛い。
『女神の手だよ! それにしても許せない! クララとレーチェルに嫌われたっていうのに、なんでこんなことをするの!
平気で人を殺そうとするじゃない! いつもこんなことをしているの? 救いようがないよ!
奴隷解放するだけで帰ろうと思っていたけどもう許さない! 人殺しのお前たちもこの屋敷も全部滅べばいい』
その瞬間、護衛達の剣は砂に変わった。
これは、神気の力の一つで砂化なのよね。
私は人間を処分するときは、砂にして終わりなの。
滅ぼそうと思った相手に慈悲なんてしないわ、そんな無駄なもの。
美羽ちゃんも、怒ったらそうよね。
『な、なんだこれは』
『うわぁぁぁ』
(ま、まずい。まずいまずい、これはまずいものに手を出してしまった)
ゼノンは、今更気づいたみたいだけど、後の祭りね。
美羽ちゃんの『女神の手』がいきなり100本まで増えてる。今までは4本で限界だったのに。
クララとレーチェルに嫌われた悲しみとゼノンに対する怒りで覚醒したのね。
『み、御使い様。斬りかかったのは、ほんの出来心だったんです。思わずやっちまっただけなんです。どうか許してください』
『許さない。お前たちも剣と同じように砂になれ』
サラサラサラ……。
「ヒ、ヒィィィィ」
ゼノンの左腕が砂に変わった。
男達が謝罪をするけど、美羽ちゃんに慈悲なんかない。
全員砂にすることに決めたみたい。
ドカドカドカドカ。
そこで、大勢の足音が聞こえてきた。
クララとレーチェルを先頭にした大勢の騎士達だった。
クララはきんちゃんに近づくと不思議な顔をして尋ねた。
『ミウちゃんは? きんちゃんがここにいるということは、この辺にいると思うのだけど……』
クララとレーチェルがシアの方を見ると、後ろから見覚えのある白い布がひらひらと見えた。
『あら、おねえさまのワンピースにみえますわ』
『ミウちゃん? そこにいるの?』
美羽ちゃんは、シアの後ろから顔を出すけど、目に涙が溜まっていて、まるで怒られるのを恐れているような表情をしている。
『ミウちゃん!』
『おねえさま!』
『……』
「うふふ、こんな表情の美羽ちゃんもかわいいわぁ」
「そうでしょ、ラヴィア。こんな顔の美羽ちゃんもかわいいのよ」
クララとレーチェルも同じで可愛さに我慢できなくなって、思わず近づこうとしたけど、
『いやー、来ないで!』
その言葉にクララとレーチェルはショックを隠せない顔になる。
『ミ、ミウちゃん。なんで?』
『お、おねえさま、どうしてですの?』
美羽ちゃんはボロボロと涙を流しながら叫んだ。
『だって、二人とも私のこと嫌いになっちゃったんでしょー!』
美羽ちゃんの言葉に、クララとレーチェルは青い顔になり否定する。
『そ、そんなことないわよ。ミウちゃんのことはいつでも大好きよ』
『そ、そうですわ。わたしはおねえさまのことをいつでもおしたいしていますわ』
そう言うと、美羽がパンパンに頬をふくらませた顔になる。
(可愛い)
(かわいいですわ)
「「「かわいい」」」
クララとレーチェルと神たちは同じ感想を持った。
『だって、クララ、念話で(うるさい! 今念話どころじゃないの!)って言った』
『レーチェルも(そうですわ! おねえさまはすこしだまっていてくださいまし)って言った』
クララとレーチェルは焦って弁明をした。慌てていたから、そんな態度をしてしまったのだと。
『なんで、そんなに慌ててたの? 来なくても私一人でも大丈夫だよ』
『バカねぇ。あなたがどんなに強くても、どんなに能力が高くて、なんでも自分でできてしまっても、私たちはあなたを守るために手は抜かないのよ』
『そうですわ。わたしはまだなにもできませんけど、おねえさまのためならなんでもやろうとしますわ』
美羽ちゃんが涙をこぼしながら言う。
『どうして』
『『たいせつなともだちだから』』
二人が答えると、嬉しそうに美羽ちゃんが二人に抱きついた。
『嫌われたかと思ったー』
『そんなことあるわけないでしょ』
『二人とも大好き』
『ええ、私も大好きよ。でも、ちょっと、ミウちゃん泣き虫すぎよ』
『わたしもだいすきですわ。でも、おねえさま、いつもないてますわね』
『むー、二人の意地悪……。めんどくさい子でごめんね』
『ミウちゃんならいくらでもめんどくさくていいよ』
『おねえさまはすこしめんどくさいくらいがちょうどいいですわ』
「友情が眩しいぜ!」
「そうだな、ルヴァーン。男同士の友情もいいが女の子の友情もいいものだな」
いつの間にか帰ってきていたアルモスとルヴァーンが暑苦しく語り出したので、無視しとこう。
美羽ちゃんはそのあと、クララとレーチェルの説得で、ゴルディアック商会の者たちに、砂にする代わりに『桜塵の誓い』という、悪さをしたら全身が桜の花びらになるという、神呪をかけた。
でも、かけた時点でこの呪いは悪さをする気は無くなるのよね。しかも美羽ちゃんの信奉者になってるし。
でも、ジェフだけは扱いが違うみたい。
こいつはまだ12歳なのに、シアのことを犯し続けていたのよね。8歳のアミまで手にかけようと考えていたみたい。
それで、シアに好きに処分していいと委ねたら、シアが睾丸を砂にしてくれという希望を言った。
それを聞いて、美羽ちゃんがそれを告げると、最初は反抗していたジェフもシアとアミの怒りを聞いて、自分が酷いことをしていたという自覚が芽生えて、その処分を受け入れたの。
その時には別人のように真人間になっていたわ。
美羽ちゃんのそばにいると、神気の力で真人間になりやすいのよね。
あとは獣人30人を救出したみたい。
この子達のリーダーはレイア。この子は夫をゴルディアックの傭兵に殺されたの。
その上、子供は病気だったから、連れてこられる道中で亡くなったみたい。
それで、自分の子と美羽ちゃんを重ねているみたいで、美羽ちゃんに執着するようになるわ。
あと目立った子は、アミの姉妹みたいな友達が二人。フィオナと呼ばれた子は狼獣人でダークブラウンの毛並みを持っている14歳くらいの少女で、ミルカと呼ばれた子は狐獣人で黄色と白のツートンの7歳くらいの女の子だった。
みんな救出して、獣人達に復讐をするかって美羽ちゃんが聞いたけど、その気はないみたい。
美羽ちゃんの神気の桜の花びらに触れたら、殺意は消えちゃったようね。
『あなたたちに対しての我々の怒りは決して消えることはないだろう。
しかし、あなたたちが今のあなたたちでいる限り、我々は復讐をしないことを誓おう』
そう、ゴルディアック商会に言うレイアは誇り高かった。
美羽ちゃんが満面のドヤ顔になった。またいうのかな?
『これにて一件落ちゃ……』
ドサッ。
名奉行の真似をしている途中で倒れちゃった。
その場の全員が慌てたんだけど、疲れて寝ちゃっただけだったの。
なんだか、美羽ちゃんらしいね。




