第103話 あらすじ2 神々の鑑賞 全5回
「あら、レスフィーナにセリス。何をしているの?」
愛の女神ラヴィアがきたわ。
私は彼女と仲がいいんだけど、美羽ちゃんのことを彼女に知られたくないのよね。
「ラヴィアこんにちは。今、レスフィーナの子の記憶を鑑賞していたのよ」
あ、ダメよ。セリス。彼女にそんなこと教えたら。
「まあ、レスフィーナの子なの? 男の子? 女の子? 可愛い子?」
ほら、興味持っちゃったじゃない。彼女はまずいのよ。
「女の子よ。とっても可愛いわよ」
ああ、セリス。そんなことまで。
「それは、気になるわね。そんな可愛い子のこと、なんで教えてくれなかったの? レスフィーナ」
こうなったら、釘を刺しておくしかないわ。
「それは、あなたが男女関係なく、可愛かったら手を出すからでしょ」
「まあ。それは誤解よぉ。私は魂も綺麗な子にしか手を出さないわ」
それじゃあ、美羽ちゃんはなおさらじゃないの。
「もう、私の美羽ちゃんに手を出したら許さないからね」
「まあ、怖い。でもレスフィーナがそこまで言うなんて、興味あるわぁ」
ラヴィア、舌なめずりするのやめなさい。
「レスフィーナ、早く続きを見ようよ」
「そうよぉ。早く見せてぇ」
「……わかったわよ。けど、手を出しちゃダメよ」
そう言っても、ラヴィアは薄く笑うだけだし。
本当にわかってるのかな。
帝都に着いた美羽ちゃんは、2人の男が女の子を攫っているのを目撃した。
それを見た瞬間、乗っていた馬車の窓から飛び出して、追いかけた。
即断即決の美羽ちゃん素敵。
『何してるの!』
『お嬢ちゃんには関係ないだろう!』
『その子を攫おうとしているなら、見過ごせないよ』
美羽ちゃん、大人の男が怖くてガタガタ震えてる。
男2人が顔を見合わせ、笑い出した。
何笑ってるのよ!
男が下品な顔をして美羽ちゃんに言った。
『お嬢ちゃん、ダメだよぉ。怖いのにこんなとこに来ちゃあ。
でも、帰るなんてもうできないよぉ』
『ぐへへ、お嬢ちゃん、よく見れば可愛い顔しているな。
桜色の髪も神秘的で高く売れそうだ。
儲けもんだぜ』
ちょっと、美羽ちゃんピンチじゃない!
グサッ!
『いってぇぇぇ』
痩せた男の手に鋭く太い針が刺さっている。
『美羽様を怖がらせたことは、万死に値するぞ。貴様ら』
おお、きたきんちゃん! 待ってました。頼りになる〜。
きんちゃんのおかげですっかり形勢逆転した美羽ちゃん。
無数の剣が男たちの周りに現れた。男たちは恐怖で声も出なくなってる。
『おじさんたち、なんであの子を連れて行こうとしたの?』
『そんなことしてねえ!』
『きんちゃん』
ミウちゃんの一言だけで、きんちゃんは美羽ちゃんの意図を理解する。
無数の剣が二人の男の全身に5ミリだけ刺さった。
『『うぎゃあああ』』
『暴れると、余計に刺さるよ。黙りなよ』
『やめてくれ。ガキがなんてことするんだ』
そう言われると、美羽は顔を怒りに歪める。
『じゃあ、大人の男は何してもいいっていうの? 私は何もしていないのに気を失うまで首を絞められたことあるよ。
それは大人の男だからいいの? そんなの許せない』
美羽の怒りに呼応して、剣がさらに深く刺さる。
その深さはすでに1センチになってる。
『うぎゃああ。話す。話すから、許してくれ』
男たちは、案の定人身売買の組織員だった。
女の子が身なりがいいから貴族だと思って攫ったらしい。
その後に駆けつけたモーガンに衛兵を手配させたようね。
女の子とはすぐに意気投合して、追いかけっこして遊んでる……。
女の子のペンダントに神気を注入して神具にまでしてあげてる……。
あれは、神気結界が自動的に張られたり、自動回復をする優れもの……。
美羽ちゃんからプレゼントもらってる、あの子……。
「あらぁ、レスフィーナ。ヤキモチ焼いてるの?」
「焼いてないよ!」
ラヴィアは余計なこと言うんだから、まったく。
ラヴィアもセリスも微笑ましい顔で私を見てくる。
なんなのよ。ほんとに。
画面に視線を戻すと、モーガンに御使いだと紹介された少女が、慌てて自己紹介をしていた。
『申し訳ありませんでした。御使い様。私はマーヴィカン帝国の第3皇女、クララ・マーヴィカンと申します。
以後お見知り置きを』
そう言われると、美羽ちゃんはほっぺをパンパンに膨らませてそっぽを向いちゃった。
その姿にクララは、
(可愛い)
分かるわぁ。拗ねた美羽ちゃん、最高ね。
でも、なんで怒っているのかわからないクララが、美羽ちゃんにどうしたのか尋ねてる。
『み・つ・か・い・さ・ま』
『御使い様ですか?』
『そう! なんで、そんな呼び方するの? さっきまで楽しく遊んだのに』
『しかし、御使い様にそのような』
『また言った。クララ、私に御使い様っていうの禁止』
『そ、それは……分かりました』
『私の名前は小桜美羽だよ。よろしくねクララ』
『よろしくお願いいたします。ミウ様』
『敬語も様もいらない』
『そ、それは』
『いらない。遊べないでしょ』
『う、うん。わかったわ。ミ、ミウさん』
『むー』
『ミ、ミウちゃん。だめ、これが限界』
『うん、わかったクララ』
美羽ちゃんが嬉しそうに笑う。
良かったね、美羽ちゃん。これから、本当に深い仲になるんだから、貴重な出会いだったね。
それから、クララと美羽ちゃんが楽しく話していると、クララの護衛が現れたわ。
クララがわざと撒いたとはいえ、ちょっと無能ね。
護衛の1人は美羽ちゃんがクララと楽しく話しているのを見て、顔を歪めている。
また、不敬だとか思ってるんだろうな。
「それでは、お城から書状がいくと思うから、待っててね。それじゃあね、ミウちゃん」
「うん、またね。クララ」
「貴様! さっきから黙って聞いていれば、殿下に向かってなんて口の聞き方だ!」
護衛がいきなり本気の抜き打ちを美羽ちゃんに浴びせた。
キィーーーン
きんちゃんが剣と美羽の間に入って、体で剣を受け止めた。
このガキ、何晒してんの!
「ちょっと、レスフィーナ。落ち着いて。そんなに神気を漏らさないで。落ち着かないから」
「だってセリス、あいつふざけてる」
「だから、記憶でしょ」
そうだけどさぁ。なんなの、あいつ。
『あーびっくりした。どう言うこと?』
すでに、きんちゃんが護衛たちの周りに剣を浮かせて制圧している。
さすがきんちゃん、仕事が早い。
でも斬りつけた男は美羽ちゃんを脅した。
「貴様! こんなことをして、タダで済むと思っているのか!
国をあげて貴様を追い詰めるぞ」
美羽ちゃんは護衛の怒り狂った顔を見て恐怖で固まってしまった。
んー、美羽ちゃんを脅しやがってー。
「デニー! 控えなさい」
「しかし!」
「黙りなさい! ミウちゃんは私を助けてくれたのです。無礼な真似は許しません」
「はっ」
この件で、このデニーって男は降格されて、クララの護衛を外されるのよね。
でも、美羽ちゃんに逆恨みをするようになるのよね。
その後、美羽ちゃんは治癒の訓練のために市場で治癒院を始めたの。
「うふふふ」
「どうしたの、レスフィーナ」
「美羽ちゃんが治癒院をするのは、神気を強くして私に会いたいからなんだよ〜」
「まあ、それは良かったわね。本当に仲がいいのね」
「もちろん!」
「私も美羽ちゃんに会いたいわ。可愛いんだもの」
「ラヴィアはダメ〜」
「ケチね」
ラヴィアなんかに会わせたら、美羽ちゃんの貞操の危機よ。
あ、美羽ちゃんが市場の治癒院で絡まれてる。
ゴルディアック商会のジェフっていう子供が絡んできたみたい。
美羽ちゃんのことを脅そうとしたら、2人の少女が庇いにきた。
天使ちゃんに手を出さないでって。
美羽ちゃん、天使様って呼ばれてるのよね。
実質そうだけど、美羽ちゃんにぴったりの言葉だな。
結局、ジェフとその手下は美羽ちゃんの女神の手で撃退していた。
でも、2人に守ってもらったから、美羽ちゃん嬉しそう。ニコニコしてる。
『私の名前は小桜美羽だよ。美羽って呼んでね』
『私はリリ14歳です。この子はルル12歳です。家は果物屋をやっています。よろしくお願いします』
『そっかぁ。果物屋さんだから、ルルはさっきりんごをくれたんだね。おいしかったよ』
『ミウ様にそう言ってもらえるなんて、嬉しいです』
『そうだ、今からあの人たちを治癒するから、二人も癒されてね』
2人は遠慮したけど、無理に治癒をしてあげている。
美羽ちゃん、気に入ったらいろんなことをしてあげたくなっちゃうもんね。
リリとルルも治癒を受けて気持ちよさそうにしてる。
美羽ちゃんが帰った後も立ち去った先を、リリとルルはボーッと見ている。
美羽ちゃん視点じゃなくても、ちゃんと再現してくれる神テクノロジーは神ね。
「お姉ちゃん」
「何? ルル」
「私ね、ミウ様の役に立つことをしたい」
「ルルはなんでそう思ったの?」
「ミウ様は、本当に神様の使いだと思うの。それに、すごくかわいいの。もう、いつも一緒にいたいと思って」
「うん、私もよ。ミウ様に会えたことは運命だと思うのよ。会った瞬間ビビッときた気がしたの。
私はまだ何ができるかわからないけど、ミウ様のために尽くしたいのよ」
「お姉ちゃん、ミウ様のために頑張ろうね」
「うん、ミウ様のためにね」
「お父さんとお母さんに話さないとね」
「そうね、説得しないとね」
この2人はすっかり美羽ちゃんに陶酔してる。
分かるよ。美羽ちゃんって可愛いし強く惹きつけるものがあるよね。
そういえば、美羽ちゃん、この日に歌を歌ったんだけど、それが人気になって、市場じゃ狭いから広場でも歌を歌うようになったのよね。
美羽ちゃんの歌は声が綺麗で、感情表現が豊かで、本当に感動できるの。
美羽ちゃんも歌を歌うのが好きみたいだし、聴衆もすごく喜ぶから、とてもいいことだと思う。
まあ、私は聴衆なんてどうでもいいけどね。
その後、美羽ちゃんはレーチェルといつも話せるように、水晶を『テレフォン』っていう遠隔通話ができる神具にしてあげたら、レーチェルが喜びのあまり泣きながら美羽ちゃんのお腹に突撃して、美羽ちゃんが『グエ』って、可愛くない声を出して、悶絶してた。
可愛くない声を上げる美羽ちゃんも可愛い。
「ふふふ、この2人は相性がいいのね」
「そうなのよ。セリス。この2人はいいコンビよ。あとで加わることになるけど、クララも入れて、3人でいい関係を築くことになるわよ」
「へえ、それは早く見たいわね」
「なんだ? 戦いの場面はないのか?」
「「「きゃー」」」
「なんだ、びっくりする必要もないだろう」
「な、何よ、アルモス。急に現れないでよ」
「急に現れるなって? フハハハ、それは無理だな。なぜなら私は神出鬼没の戦神アルモスだからだーーー!」
うるさ! 声でか! セリスもラヴィアも耳を塞いでいるわ。
「それで……何しにきたのよ。ここは女神の園よ。あなたみたいな暑苦しい男神はお呼びじゃないのよ」
「そう言うな、レスフィーナ。私もお前の子の活躍を見に来たんだ。みんなで応援した方が喜ばしいだろ」
「いや、全然いらないんだけど……まあ、そうね。美羽ちゃんには神の応援は多い方がいいかもね」
「そうだろう。そうだろう。どれどれ、お、この子が美羽か?」
「そうよ、私と同じ髪の可愛い子が美羽ちゃんよ。呼び捨てにしないでよね。脳筋が」
「ふむふむ、今は……キスされてるぞ」
なんですってーーーー!
「なんですってーーーー!」
「レスフィーナ、心の声がそのまま出ているわよ」
セリスが何か言っているけど、構ってられないわ。
美羽ちゃんは?
『うぎゃあああああああああああああああああああ』
美羽ちゃんが驚いて絶叫してる。
ああ、その上に今まさに唇を奪われる寸前だ。
美羽ちゃんは逃げようとするけど、抑えられて逃げられない。
「何、この男ーーー!」
頭が沸騰する。
今すぐ過去に行って、この男を砂に変えてやる。
「待ちなさい。レスフィーナ」
「待ってられないわよ」
「よく画面を見なさい」
『い、いやーーーーーー』
画面を見ると、美羽ちゃんが魔力暴走を起こして部屋ごと男を吹っ飛ばした。
少し、戻して再生すると、こう言うことらしい。
エルネスト第2皇子(クララの実兄)が呪いで寝込んでいたが、それをクララの要請で、美羽が解呪をしたようだ。
そして、目を覚ました、エルネストの前に天使のような(実際天使だけど)美羽ちゃんがいて一目惚れをしてしまったらしい。
「こ、これは知らなかったわ。エルネストが問題児だって言うのは知っていたけど、こ、こんなことをしたなんて。
私の美羽ちゃんに……」
その後、美羽ちゃんは爆発に巻き込まれた使用人たちを治していた。
エルネストも救出されたけど、服が爆風で吹っ飛ばされてほぼ全裸になっている。
クララが状況を説明していた。
『天使様、先程は大変失礼しました。どうか、お許しいただけないだろうか?』
美羽ちゃんがそちらを見ると、エルネストが立っていて、
美羽ちゃんがエルネストの顔を見て、視線を落としていくと……。
そこには下半身も隠さずに堂々と立つエルネストの姿があった。
『うぎゃあああああああああああああああああああ』
「なんなの、なんなの! あの男。やっぱり消しに行くわ」
やっぱり、あの男を砂にしないと気が収まらない。
美羽ちゃんを汚しやがって。
「まあ、待て。レスフィーナよ」
「何よ、アルモス」
「まあ、あの美羽には可哀想なことだったが、人間界にいたら、たまにはこういうこともあるだろう。
その度に砂にしに行くわけには行くまい?」
「まあ、それはそうだけど」
くっ、正論ね。
「仕方ないわね。抑えることにするわ」
「うふふ、それにしてもレスフィーナの愛が少し重いんじゃないの?」
「いいでしょ。ラヴィア」
「このままじゃ、美羽ちゃんが好きな人でもできたら大変そうね」
「そ、そんなことないわよ。え? でも、美羽ちゃんに好きな人?」
「えっちなことしているところに乗り込みそうね」
「え、えっちなこと? ……美羽ちゃんがそんなことするわけないでしょーーー!」
「「「やっぱり大変そうだ」」」
何よ。みんなして。美羽ちゃんがそんなことするわけないんだから。……しないよね。
その後は皇帝と謁見をして、女神の御使いとして、皇帝の上の存在だと認められていた。
まあ、美羽ちゃんの上の立場の人間なんていないよね。




