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オロチ VS メインクーン

 七条大橋を抜け、五条大橋にかけて、カオマニーを先頭に京極様、オロチ、花音、教授、僕は走り続けた。太陽が徐々に登っていて、鴨川の水面や河原の道は光が反射して眩しい。

 マムシたちの集団は少し前にいたまま、一定の間隔を保っている。僕たちはマムシたちの出方を見ながら、慎重に走っていた。


「なんか、おかしくないかな?」


 五条大橋を通り過ぎようとした時のことだった。前方を走るマムシたちの集団を見ながら花音が呟いた。


「どうしたのですか?」


 僕はちらりと花音を見た。花音はずっとマムシたちの様子を観察していた。


「・・・メインクーンの姿がさっきから見えないの。確か、雲龍殿とエルフキャットが揉み合いにあったときはいたような気がするんだけど・・・」


 僕もまた集団の様子を観察する。確かに花音の言うとおりだ。十数匹のマムシの集団の中にメインクーンはいない。身体が大きいから中にいるならば、絶対に分かるはずだ。

 すると一瞬、目の前が暗くなった。


「花音!」


 オロチが叫んだ。

 と、思ったらすぐ前にいた花音を、オロチが身体をぶつけて思い切り突き飛ばした。


「え?」


 その瞬間、空から巨大な何かが落ちてきた・・・メインクーンだ。

 五条大橋の上から飛び降りてきたのだ。

 メインクーンは落下する勢いを利用して、思い切りオロチの背中を、一直線に引き裂いた。鮮血が吹き出す。

 オロチは血を流しながら、ゆっくりと倒れた。メインクーンはすぐに喉元を切り裂こうとする。

 しかし、さっきまで先頭を走ってたカオマニーの四兄弟が、メインクーンの前足、後ろ足に噛みつき、阻止する。一瞬の出来事で、何が起こっているのか分からなかった。僕と教授はあっと言う間のことで、ぽかんとしていた。オロチに突き飛ばされた花音もまた、状況を把握するのに必死だった。


 すると、混乱の最中、前にいた集団のマムシの黒猫たちがいつの間に戻ってきて、メインクーンと一緒に僕たちのことを囲んでた。

 先ほどの雲龍殿のお株を奪うような統率のとれた動きだった。

 僕たちは完全に足が止まった。もしかしたら、エルフキャットはこういう状況になることを見越して、事前に策を仕込んでいたのか。

 ずっと、走り続けていた僕たちは五条大橋の下で足止めを食らうことになった。京極様は冷静にメインクーンや十数匹のマムシたちの様子を観察していた。するとオロチが血を流しながらも何とか立ち上がった。


「ここで止まっている時間はないだろ」

「その通りだな」


 オロチの言葉に京極様は頷いた。


「俺がここで奴らを抑える。お前たちは、その隙をつけ」

「・・・その傷、恐らくは立っているのもやっとであろう」


 京極様はじっとオロチのことを見ていた。


「こんなのかすり傷だ」


 オロチが、くっと笑った。

 僕はオロチが笑った顔をはじめて見た。


「・・・京極、後は頼んだぞ」


 オロチは血を流しながら、一直線にメインクーンに向かっていった。しかし、さすがに傷の影響があるのか、いつもの速さではない。

 ふと、オロチがよろけた。


「死にぞこないが」


 メインクーンが笑う。その瞬間、突然、息を吹き返したかのように、オロチは猛然と駆けた。血が風に乗って糸のように流れていた。

 完全に虚をつかれたメインクーンの背中を今度はオロチの爪が引き裂いた。メインクーンが大きくよろけた。その隙にカオマニーを先頭に京極様、花音、教授、僕は、何とかマムシの包囲から抜けることが出来た。

 ちらりと後ろを見ると、オロチはふらつきながらも何とかして立っていた。しかし、今度はオロチをマムシの黒猫たちが囲んだ。

 思わず、目を瞑りそうになる。


「・・・どうか、ご無事で」


 同じく後方を見ていた花音が呟いた。

五条大橋を抜ける、走り続けていると、遠くに四条大橋が見えてきた。

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