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再会

 いつの間にか、太陽は頭の上に昇ってた。

 竹林の合間から光が差し込んでくる。

 雲龍殿は緊張した面持ちのまま、オロチを連れて天龍寺へと向かった。僕たちもその後をついていく。オロチは不気味なくらい静かで何を考えているのかわからなかった。

 天龍寺の敷地につくと天龍様の使いと思われる猫が迎えに来ていた。


「状況は把握している。今から全員連れてくるように、とのことです」

「・・・全員ですか。承知しました」


 雲龍殿は少し考えた後、僕たち全員に向かって告げた。


「これから天龍様に会いに行きます。オロチ殿、あなたも来るように、とのことです」 


 雲龍殿の表情は心なしか、さらに強張っていた。恐らくオロチが檻から出たことは既に天龍様は知っているはず。その上で「全員」で来るようにと言っていた。もしかしたら、僕たちはこれから怒られるのではないか、そう思うと更に緊張感が増してきた。


 天龍様がいる建物はぞわっとした不気味な空気に覆われていた。一歩、足を踏み入れると全身の毛が逆立つ。それが天龍様がなせるわざなのか、それとも別の者の仕業かは分からない。

 僕以外の四匹も何かを感じているのか周囲をキョロキョロとしている。

 得体の知れない何かの正体が分からないまま、天龍様がいる部屋の前についた。


「雲龍です。ただいま到着しました」

「うむ、入れ」


 天龍様の言葉を受けて、雲龍殿は戸を横に開いた。

 すると部屋の奥からぶよぶよした天龍様が転がるように近寄ってきた。


「エルフキャットとマムシの件、聞いている。よくぞ少数で撃退した」

「しかし、私がついていながらオロチを檻の中から・・・」


 天龍様の言葉に雲龍殿はうなだれたままだった。


「それも承知している。だが、こうなった以上、これから何を為すべきかが重要だ」


 雲龍殿は頭を下げたまま、それ以上は何も言わなかった。

 天龍様、なかなかやるではないか、と僕は唸った。お腹がぶよぶよしている印象しかなかったが、オロチが出てしまったことに何も怒りや焦りを感じていない。この調子だと僕の行動も不問にされるであろう、と都合のよい想像をしてしまった。


「オロチを出してしまった件の罰は改めて考える。それよりも、最近、客が多くてな。お主たちと多いに関係がある方々だ」


 罰は改めて考える、というのが僕的には非常に気になるがそれよりも客人の存在がもっと気になる。雲龍殿をはじめ、花音、教授、オロチもまた同じような表情を浮かべていた。


「では、早速だが呼ぶぞ」


 僕たちの返事を待たずに天龍様はごろごろと喉を鳴らしたと思ったら、にゃあにゃあと二回鳴いた。

 その言葉と同時に奥の部屋から一匹の猫が姿を現した。

 額から垂れる長い毛、特徴的な毛並み。


「五郎丸・・・」 


 思わず僕は呟いた。

 しかし、五郎丸は僕たちのことを気にすることなく、じっとオロチのことを見ていた。


「あなたが客ということですか?」


 雲龍殿が状況を確認するために尋ねた。


「ええ、私の目的はオロチ殿・・・」


 雲龍殿は「しかし」と話を遮った。


「あなたは京極様の命を狙った、と聞いています。強いていうなら我々から追われる身。なぜ、この場に?」


 雲龍殿の質問に五郎丸は、

「話すと長くなる。それに、経緯を知っている当事者から話した方がいいと思い、連れてきました」

「やっぱり、僕がいないと何も始まらないっすよね」


 五郎丸の言葉と同時に、もう一匹の猫が奥から現れた。怪我をしているのか、時々、ふらつきながら歩いているが、毛並みは綺麗に整えられている。

 その外見はベンガル猫。いかにもいけすかない口調。心当たりはある。でも、こいつは徳川家で・・・。


「外資系サン、あなた・・・無事だったの?」


 僕よりも先に花音が口を開いた。


「よお、久しぶりだな。観音町の猫の諸君。相変わらず、呑気でおめでたい顔してるな。特にお前だ、山田電機!」


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