着想とBGMの雑記回-ひと休みの回-
エッセイなのでまあ、お題は自由だ。お正月スペシャルとして、今回は少しだけ本筋から離れてみよう。
僕はとても音楽が好きだ。ただ職業でやっている人には申し訳ないので、オーディオマニアであったり、下手のよこ好きでの楽器好きという言い方をして婉曲に言葉を選ぶこともある。だって趣味人の語り文だから、真面目な音楽人の皆さんに悪いでしょ。
好きな音楽という話題になると若者は『推し』という言葉を使う。でも僕の場合、推しとかいわれると、うーん、何か違うような、とも思う。僕の中に熱狂的なファン心理はない。逆に内助の精神で音楽を好んでいるというタイプだ。
僕の作品をお読み頂いた方の中には、ああ、こういうの聴いているのね、うん、読んでいてなんとなくそう思った、と分かる人もいるだろう。
ポール・マッカートニー。一番お気に入りの音楽だ。とりわけ『ダッグ・オブ・ウォー』というアルバムが大好きである。その次が『フラワーズ・イン・ザ・ダート』である。この二枚が僕の中で完成度の高いアルバムと感じている。録音技術が向上して、音幅がクリアに残されて、ノイズも少ない。七十年代特有のコモリもない。そしてマッカートニーも三十代から四十代ともっともいい感性の時期のものなのだ。
どのみち僕はビートルズ世代ではないので、ミーハーな感情移入はない世代だ。幼児期に町中からレット・イット・ビーがヒットして流れていたのをかろうじて記憶しているが、それは聞こえていたと言うだけで、聴くという鑑賞とは違う。当時の僕は英語も分からなかったし、他所の国の音楽程度にしか思ってないので、オンタイムのファンではない。
ちなみにレノンは、って言うと、しっくりくるアルバムは『イマジン』という1972年頃のアルバムである。これも後追いで聴いたモノだけどね。彼は僕が中学の頃に星になってしまったからなあ。
そんな時代にちょっと憧れと違和感を感じながら書いたのが、『青春は七〇年代の奇談-「イエスタデイ」と「イマジン」の狭間で-』という作品である。僕自身の年齢よりも十歳から十五歳ほど上の世代を主人公にしたフィクションドラマである。僕はタイムスケールで言えば、幼少期にビートルズの後期の時代と長島茂雄選手の現役晩年のご時世を経験している世代だ。後楽園球場の「永久に不滅です」の中継もテレビで見た口だ。そんなわけでビートルズの楽曲は知っているが世代的には後追いである。
次に女性の登場人物をイメージから作るときは、薬師丸ひろ子さん、南野陽子さん、新垣結衣さんなどをイメージして作ることも多い。勿論彼女たちが二十代の頃を想像してが多い。モノによっては現在でイメージするモノもあるけど。皆さん若い頃から結構な美人さんだから小説の設定上イメージしやすい。他に持田香織さんや森高千里さん、倉木麻衣さんなんかもイメージする。そういう女性を主人公にして物語を組み立てるときは、それぞれのCDを聞きながら文章をつくる。ただし日本語はダイレクトに頭に入ってきてしまうので、後ろで流れているという程度のBGM、弱音量で聴いている。
インストのジャズやフュージョン、また英語、フランス語の歌詞なら書いている文章に変な影響を与えないのだが、日本語はやっぱり母国語だ。言語認識として脳内に残ってしまうことが多いので、イメージ作りのため彼女たちの声が脳内で軽く響く程度で良い。
感動する物語を作るときは、事前にリピートしてしつこく何度も同じ曲かけてイメージを膨らませることもある。余韻や後味を大切にする物語を作るときだ。具体例は『思い出の『潮風食堂』』や『神明社のある街角の風景-恋と御縁の浪漫物語-』などのほのぼの系ややわらか系である。その時は結構フォークソングやニューミュージックが多い。吉田拓郎さん、かぐや姫、風、チューリップ(1985年以前の楽曲)、オフコース(特に二人の頃)、松山千春さん、甲斐バンド、いきものがかり、スピッツ、ミスチルなんかが多い。気持ちや心がほぐれて柔らかくなるからかなあ、と思う。
面白いのは凄い好きでも創作時には使わないモノもある。アルフィーや佐野元春さん、杉眞理さん、大滝詠一さん、シュガーベイブなどはかなり好きなアーティストなのだが、物書きの最中に流すことは上述の方々より極端に少ない。好きで聴き入っちゃうのかな? 自己分析ではかなり興味深い傾向だ。
推敲や校正などの作業効率が上がるのがショパン。「幻想即興曲」、「別れの歌」、「ノクターン」と、まあ挙げればきりが無い。リスト、シューベルト、ドビュッシーやラベルなんかもピアノ曲で聴いたり、オケ録音のホルストの『惑星』はSF書きの定番にしている。かつてはワーグナーやベートーベンもかけていたことがあるのだが、どうも上手くいかない。イメージ作りの相性ってあるのかな? あ、いまでもたまに聴くことはあるけど、 創作BGMには向かないって話ね。インストだと高中さんやシャカタク、カシオペア(初期の頃ね)、YMOなんかも昔はよく聴いていた。
僕にとって音楽って、文章と同じくらい大切な物でね、人生に華を添えてくれる物になった。おじさんになりだんだん視力に自信がなくなって(笑)、音楽が道しるべになり久しい。一番の想像力の源になっているし、なにより気分を変えたいときの一番の手助けになる。
文章と音楽とお伊勢さん?、これに美女がいれば人生幸せである。最後のは、あくまで高望みな妄想ではあるのだが……。(笑)
ではまたたまに更新するのでその時はごゆるりとどうでもよい雑談をする気分でお読み下さい。本年もよろしく。




