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転生して初日2

 状況を整理しよう、私はあの夜、エルダーテイルに十数年ぶりにログインした。その時にマイキャラへと転生を遂げた。うん、事態はいたってシンプルだ。なんでやねん。


 ログインした直後にジェーンの持っていた荷物をチェックして、数十年前、最後にログインした時に何をしていたのかを分析していたが、その時の荷物と、今持っている私の荷物には完全な一致が見られる。

 最終ログイン時、私は多分このジェーンというキャラで皮革を狩るために、ゴートバレーで狩りを行っていたのだろう。テントとキャンプキットを持っていることから野外ログアウトが出来るだけの準備もちゃんとしていたようだ。


 ゴートバレーというのは俗称で、本来は地名が無い谷あいの地形なのだが、山羊がよくポップしていたため革職人たちの間で勝手に呼び始めた名前だ。ほかにもいくつか皮革狩りのスポットがあるのだが、競争率が低い行きつけのスポットだった。

 大手ギルドで革職人を育成するときに、皮革狩りスポットが独占されて問題になったりしたもんだが、ゴートバレーでそれをやるとPKが沸くので穴場だったんだよな。


 ここがゴートバレーであることは、ほぼ確定として、最寄りの町はススキノか。リターン機能は残念ながら機能しない。ポップアップウィンドウのリターンスイッチを押してもうんともすんとも言わない。

 だとすれば陸路で帰るわけだが。ゲーム内だと騎乗でリアル1時間ほどの移動距離なんだが、騎乗動物の召喚笛が何故か無い。なんでだ? 確かにかなり趣味な乗動物だったがパッチが当たって貸金庫に移されてしまったのだろうか? まぁそういうこともたまにある。


 十数年越しのログインがいろいろ問題を起こしている。結局徒歩で町まで帰らなきゃいけないのか。徒歩で何日かかることやら。


 指針が決まったので荷物をまとめる。よくよく考えてみたら、今避難している岩山はもしかしたらゴートバレーの中心にある岩山なのではないだろうか? ゲーム時代の視線の違いから気が付かなかったが、タブン間違いない。この岩山から南にまっすぐ進むと街道が走っており、その街道を東へ進むとススキノにつくのだ。具体的なプランが決まると、現状確認をする心の余裕が出てきた。


 ベルトポーチの中に入っている身だしなみセットの手鏡を覗き込んでみる。緑色の瞳が目力強めの黒髪ロングのストレートの幼げなエルフ少女が手鏡の中からこちらを覗き込んでいた。笹の葉状の長い耳が不安げに項垂れていて庇護欲をそそる。これが自分でなければどれだけ良かったことか。


 長い髪が少々邪魔なので切ってしまおうかと思ったがなんとなくもったいない気もするのでうなじの辺りでまとめて縛っておく、これまでの人生で縛れるほど長い髪は初めてだが、不格好ながら縛ることが出来た。

 水に関してはゴートバレーを南に抜ける道中に小川が有ったはずだ。食料は山羊肉を調理すればいい。

 このキャラは植物系の採取に関しては理論値上限までボーナスを持っていたはずだ、ヴィジョナリーで魔法系の薬草は探そうと思えばいくらでも見つけることが出来る、オオバコみたいに食べられる薬草なんかもあるはずだ。グリーンフィンガーで採取にも強力なボーナス値を持っている。ほかにもいろいろあったと思う。

 よし、なんか大丈夫な気がしてきた。今日中に南の小川までの行程をこなしておくか。バックパックを背負いなおして、私は岩屋を出発したのだった。


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