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転生して4日目

 目覚めるとそこは、ソドムの市三歩手前ぐらいの世界だった。


 いま私は生垣の中で息を潜めて辺りの様子をうかがっています。剪定されている生垣って表面に葉っぱが密集しているんだけど、その裏側は太い枝があるだけでけっこうスペースがあるんだよね、「森渡」と「庭師」にエルフ特性が乗ってるのか、私の事を尊重してくれてスペースを作ってくれている感じだ。ありがとうキンメツゲくん、眠っている私を隠してくれていたんだな、もうちょっと協力しておくれ。


 銀行前のちょっとした広場は、ゲーム時代でも待ち合わせや売り子やら単にだべってる人やらで結構賑わうものだ、今なんて人間のオークションが始まっちゃったもんな。そこそこネトゲーやってきたけど、人身売買なんて初めて見たわ、ネトゲーってすごいなぁ(現実逃避


 首に縄を掛けられた女の子がオークションと言うより市場のセリのように冒険者の男たちに次々と落札されていく。そして本日の目玉商品、どこぞのご令嬢が出品されると会場は大いに盛り上がり、どんどん値段が跳ね上がっていく。そのご令嬢を落札したのは何ともいかつい顔をした武闘家に見える男だった。


 ……治安崩壊しすぎだろ、どうなってるんだ。


 オークションが終わった後も3グループほどの冒険者が銀行前でたむろしている。ペット自慢を始めるグループ、何か作戦会議をしているグループ。冒険者女性を嬲者にしているグループ。後ちらほらと少人数の冒険者たちも眉をひそめているが見ているだけで何もしない。その冒険者たちも女性冒険者を守る様に男冒険者が周りを固めて足早に去っていった。


「女子供が一人で出歩けないなんて、治安おわってんなぁ」


 独り言ちてみるも事態が変わるわけでもなし……あ、私今女じゃん……あ~そっか~被害者になっちゃうか~。客観的にみて美少女エルフですし、獲物としてお手頃半端Lv47ですし、GM革職人とかの生産スキルもあるから搾取もできて一石二鳥ね。声がオッサンなのはまぁ猿轡でも噛ませとけば、夜にも使えちゃうってか……もう現実逃避しすぎて他人事みたいになってきたわ。あ、嬲られてた女冒険者さんが抵抗しなくなったら猿轡付けられてら。


 いやいやいやいや、ヤダー! イーヤーダー!!

 奴隷にれるとかゼッタイムリー!

 あんな事されちゃうの? うわ、引くわ、公衆の面前やぞ、お構いなしかよ、エッグ。


 よし逃げよう、絶対逃げ切って見せよう。ここで物語の主人公なら被害者を助けたり悪い奴をやっつけたり町の治安を回復したりするんだろうな、っは、私にそんなことできる訳ねぇだろ、Lv47やぞ。どこぞの主人公が勝手にやれ、私は知らん、全力で逃げ切って見せるわ。


 具体的には夜を待とう、夜中になれば町中に人が居なくなるのは昨日で確認済み。スニークミッションの難易度もベリーイージーになる。幸い銀行のアイテムボックスは開きっぱなしになっている、中には食料やら逃げ出した先でのサバイバル生活に使えそうな道具類も結構ある。問題はお花摘みに行けないことだが……ボトラーデビューでもなんでもしてやろうじゃないか。


 尊厳を投げ捨ててでも、処女を守り抜いて見せる!


 まぁ今は昼過ぎだから、実際よく寝たよな。もうひと眠りすれば夜も更けているだろ。

 銀行のアイテムボックスから取り出した味のしない「特性マサラのサテー」を食べて、水の代りに回復ポーションを飲んだら、することも無いので寝る事にした。


「キンメツゲくん日が暮れるまで宿を借りるよ、おやすみなさい」

……ZZZ

ソドムの市って映画があるんですよ、アルメキド・サドって人が書いた「ソドム百二十日あるいは淫蕩学校」ってのが元ネタになってるらしいです。


健全な精神には刺激が強すぎると思うので、見ない方がいいですよ。

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