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青春の夜に乾杯  作者: スプ
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いざキャンプ場へ

あの後服屋へ向かい、買い物を終えた。このまま帰っても良かったのだが、腹が空いたので近くのラーメン屋で話し合っている。彼の座っている椅子の下には先程買った服が入った袋を大事そうに持っている。


「よし!まぁこんなもんだろ!いや〜結構買ったなあもう袋がはち切れそうだぜ」


そう言いながら目の前にあるラーメンを啜る。


「お前が気合い入りすぎなんだよ。なんでもかんでも一回見たらすぐに気に入って買おうとするからだ。あとファッションセンス壊滅的なのもな。」


こいつのファッションセンスがTHE厨二病こじらせ中のイタイ服しか選ばないほど絶望的すぎたたから最後の方は僕が服を選んでいたのに何仕事やり終えたような雰囲気で話してるんだ。


「そんで、キャンプ場のことなんだけどよ。もう一つ面白い話があんだよ。」


「人が滅多に来ない一つの休憩所に美人な女がいるとかいう都市伝説的な話をさっき言っていたお前の話は正直聞きたくねーけどな。」


「いやいや、今回のはガチらしいんだがよ、なんかあのキャンプ場のオーナーの娘が10年前だったかな?まぁそんくらいの時によ、そのキャンプ場の場所で誰かに殺されたっていう噂があるらしいんだぜ?それで、今のオーナーが死んだ娘を楽しませるために近くにあったキャンプ場を含めた場所を買い取ってキャンプ場にすることで、毎日毎日幽霊になってキャンプ場に来た人を見守ってる、とか!そんなことあると思うか?」


「非現実的すぎるわその話…。やっぱりお前の話は信じられんな。」


「えー、なんだよ~。食いついてくると思ったのに。やっぱ幽霊とかロマンじゃん。」


「思うのは良いけど口に出すのはやめろ。死んだ娘さんに申し訳ないとか思わねぇのかよ。」


「どーせここで言ったってその人には聞こえてね〜よ。」


本当にこいつは何も考えていない。


「それで、幽霊が出るなら夜は肝試ししてみないか?お前、幽霊がいないって言うならモチのロン怖くねぇよな?夜にやりたいこともあるしよ。」


最初からこれが目的だったらしい。夜にやりたいことは何だ?だが答えてくれそうにはなさそうだ。

ニヤニヤと笑みを浮かべながら、そう言ってくるこいつの顔には、絶対に僕と一緒に行くという強い意志を感じる。あぁ、そういやこいつ怖いのが大の苦手だったな。ここで嫌だと言って断るのもいいがこいつに怖がっていると思われるのも癪だ。仕方ない。誘いを受けることにしよう。


「んじゃ、決まりだな〜。それじゃ俺は先に帰って準備するからよ。明日の朝7時半にはお前ん家ついてるからお前よ準備しとけよ〜。ご馳走様でした。」


そう言って彼は立ち去っていった。僕も帰ることにしよう。帰ってさっさと準備しよう。





ふと気が付くと目の前には見渡すばかりの草原が広がっていた。季節は夏だろうか、セミの鳴き声は遠くの方から聞こえ夏の蒸し暑さを感じ、たまに来る風がとても心地よい。



何故僕はこんなところに…?あぁそうだ、思い出した。僕は今お母さんを探しているんだ。


近くの森で遊んでいたはずが、気が付いたらこんな場所にいたのだ。帰り方も分からず、泣きそうになるが泣いたところで何もならない。僕はとにかく辺りを歩き回っていた。


「つかれた…、のどかわいた…、おなかもへった…。」


歩けど歩けど何も変わらない景色が僕の心をジワジワと痛めつけてくる。泣きそうになるのを必死に抑えながら、歩き回っていた。


だがもう限界だ。疲れも限界まで来て僕はその場に倒れ込んでしまった。ここで死ぬのか…せめて最期はお母さんに会って死にたかったな…。そんなことを考えながら僕はゆっくりと目を閉じていった。





気が付くと目の前には見知った天井が見えていた。どうやら準備が終わった後、すぐに寝てしまったらしい。今は朝の7時15分。もうそろそろであいつが来る時間だ。


(何だったんだあの夢?何も覚えてないや。小さい頃何かあったっけ?でもこんなことあったら絶対僕覚えてるよな…。まあいいや。夢なんて何でもアリだからな。勝手に想像したのが出てきたんだろ。)


服を着替えスーツケース、財布、カメラ、服、靴下、シャツパンツも完了。予備のための虫除けスプレーと日焼け止めを入れれば完全に準備完了だ。


さあもうあいつが来るまで5分もない。急いで朝食を済ませ、すぐに荷物をまとめて出ると車はもう既に着いていた。運転席には誠治の父らしき人物がいて、助手席には誠治が座っている。


「遅いよ!もう5分も待ってたぞ!いいからもう早く乗れ!行くぞ〜!」


うるさい。だが彼の父らしき人が前にいるんだ。流石に礼儀正しくしないといけない。一礼し、車に乗り込む。


「あれ、もしかして俺の父ちゃんいるから大人しくなってね?オモロ。こういう時だけ大人しくなるんだからなぁ」


「こらこら、誠治。そんなこと言うな。廉也君、初めまして。誠治の父です。キャンプ場まで送っていきます。手続きは済ましているので問題なく入れると思いますよ。」


こいつと違いこの人はとても大人しく物腰の柔らかい人だ。まるでこいつは受け継いでない。


「もうそんなの移動しながらでいいだろ〜!よっしゃレッツゴーだ!キャンプが俺達を待ってるぜ〜!」


俺等を乗せた車がキャンプ場へ向かう。まだ俺等はこれから起きることには何も知らない。

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