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青春の夜に乾杯  作者: スプ
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終業式は終わり

校長の話が長々と続く。

話すたびに「はい」、「えー、」を無駄に言う癖はいつまでも治らないというのはこの人から知った。


勉学、部活に励むこと、この学校の生徒として恥ずかしくない行動をすること、事故や病気に気をつけること…。当たり障りのないことを淡々と言い続ける。


こっちは校庭で真夏の太陽の下で暑くて死にそうになっているのを我慢しながら長々と聞かされているのに。中学生側の列は日陰になっていて少し羨ましく感じる。


「はい、えー、じゃあ最後になりますが、中学生の皆は今頑張っておけば高校生の時にスムーズに進めることが出来るから今のうちに基礎を固めること。そして高校生、特に2,3年生の皆さんですね。貴方達に残されている時間は多くないですから将来悔いの残らないよう精一杯勉学、部活動に励んでください。今の自分が将来の自分を作りますからね。」


今の自分が将来の自分を作る…。毎回頭の中では理解できるがモヤモヤが残る。


今の僕が何に対してもやる気を持てない、捻くれた考えを持つようになったのは過去の自分が悪いのだろうか、それとも過去の自分のせいにしている今の自分が悪いのだろうか。


もし過去の自分が悪かったのなら今の時点で変われてない僕は今後も悪いままなのだろう。


そして今の自分が悪くて過去の自分は正しかったのなら何かしら変えようがあるかもしれない。だが何をしたら良いのか分からない。何をやるべきなのか。

何を選んだら良いのか分からない自分にとっては何か行動することなんて出来やしない。


こんなことをよく考えるようになったのはいつ頃からだろうか。自分の力に期待しなくなったのはいつ頃からだろうか。小学生の頃は純粋に楽しめていたような気がする。だがそんなことを考えても答えなど返ってくることは一度だって無かった。




さて、終業式を終えた後教室で夏休みの宿題、その他色々な種類のプリントを配られる。


「お前らも分かってると思うがな、今年頑張っておけば来年の受験の合格にかなり近付けるからな。ここで踏ん張れた人と踏ん張れなかった人で差がつくぞ。お前らの将来のためにも頑張れよ!」


またこの話だ。受験の話など耳にタコができるほど聞いた。受験で合格出来なかったら死ぬのか?そんなこと無いだろう。将来の夢が叶わなくたって生きていけるはずだ。


それに第一僕には夢や目標など無い。テキトーな大学に入りテキトーな会社に入ってテキトーに生きていく。どれだけ給料が安かろうが生きていけるなら十分。

そんなことを考えながら先生の話を聞き流す。気が付いたらもう終わりの時間になっていた。


終業式が終わり校門へ向かう。そこにはもう既に校門前で待っている誠治の姿があった。


「お!やっと来たか!遅いじゃねーかよー!」


「いや普通にお前が早いだけな。それにお前僕と同じクラスだろ。何でお前そんなに早いんだよ。そんなに急がなくてもいいだろ。」


「伝えるのは早ければ早いほどいいだろ?ホウレンソウ?ってやつだ!」


精々急いだところで10分、5分差があるかどうかの違いなのに何を言っているんだ。

とりあえず話を聞きながら帰路へ向かう。彼とは家が近く家から歩いて大体4,5分で着く。


「てか今さっきそこのキャンプ場調べてみたけどかなり高くね?1日泊まるだけで8万するじゃん。何でここにしたんだよ。それにキャンセルすればまた別のとこで探せばいいのに。」


「そんなこと言われてもよ〜。予約取ってて明日の朝8時には向かわないと行けないしもう料金も払っちゃってんのよ。キャンセルしようにもキャンセル代が出るしよ〜。一週間前から父さんから友達と一緒に行けって言われたんだ。」


「おいちょっと待て。明日の朝8時???明日!の朝8時!って言ったかお前。他の奴は誘わなかったの?」


「おん。明日。明日の朝8時。一週間前から毎日毎日聞くの忘れててよ〜。今日めっちゃ学校行く前に親に言われてたからなんとか誘えたのよ。」


「嘘だろお前…」

今現在目の前にいるこいつがついさっき自分にと報・連・相を言ってきた相手だとは到底思えない。報・連・相の欠片もない野郎だ。


「予定は無いけどさ…。ほら服とか虫除けとか色々用意しなきゃいけないのあるだろ。服は虫対策で長袖も用意したいし…」


「大丈夫!虫除けとかは俺が準備しておくからよ!お前は自分の服とか歯磨きとか用意して来れば問題ない!あ、でも待てよ服は…オレモモシカシタラナンパトカスルカモシレナイシ…、そうだ。今から買いに行くか?俺も買いたい服あるし。○オンとか行けば色々あんだろ。」


「少し本音が聞こえた気がするな。まあ今からじゃないと間に合わないだろうし買いに行くかぁ。」


「ほんじゃレッツゴー!早く行こうぜ〜!イカしてる服が俺達を待ってるぜ!」


そう言い出して彼は僕の背中を押しながら走り始める。転ばないよう注意してたまに彼に文句を言いながら向かうのであった。

ゆっくりまったり自分が書きたい時に書いてます。ペースもっと上げたいなぁと思いつつも手がつかない毎日です。

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