第七十九話
僕らは一斉に振り返る。
声の主は場所は遥か上に居た。
其処に居たのは一人の青年。
電柱の頂点に佇むそいつは此方を見下ろしていた。
アレ?
凄いデジャウ。
「誰だっ!」
嫁の言葉は僕はそちらを見る。
嫁も知らない奴なのか?
明かに尋常で無い感じだが?
此奴は一般人では無いな。
何というか場慣れしてる。
戦場というか修羅場を潜り抜けた猛者の様な感じがする。
多分僕が其れを感じるのは修羅場を潜り抜けた所為だろう。
「貴様誰だ?」
「嫁も知らないの?」
「はい最近組織の仕事をしてなかったので」
嫁であるワニ型怪人の顔は歪んでいた。
その表情は困惑。
困惑して首を傾げていた。
此れは完全に知らないな。
「キキ」
「どうしたの?」
「俺知ってる」
「「なっ!」」
戦闘員の言葉に僕達は驚愕の声を出す。
「「戦闘員が鳴き声以外で喋ったっ!?」」
「夫婦揃って驚くことが其れですか?」
僕達の態度に機嫌が悪くなる戦闘員。
「我々戦闘員も改造人間とは言え元人間だから喋りますよ」
「そうそう鳴き声は戦闘員の嗜みというだけだし」
「リア充は此れだから」
喋り始めたら凄い愚痴りだした。
というかやたら喋る。
可成り不満を抱えていたいたみたいだ。
正直其処迄不満を持ってると思いませんでした。
「あ~~御免ね」
「すみません」
仕方ないので戦闘員たちに謝る。
悪いことをしたら悪の組織の人間でも謝るの当然。
だから素直に謝りました。
「あ~~いえいえ此方こそ言いすぎました」
「御二人は俺らの上司ですからね」
「今回の事は黙ってていただけると嬉しんですが」
戦闘員の達の言葉に僕等は快く頷いた。
「あ~~それでですねあいつはママチャリライダー二号ですね」
「ママチャリライダー二号?」
其の言葉に僕は困惑する。
数ある怪人なのかでママチャリライダーは実は特別な位置に有る。
首領若しくは最高幹部候補に与えられる改造人間だからだ。
つまり御父さんは元々そのいずれかだったという訳だ。
其れが脱走して前組織を壊滅。
そして色々有り首領になった。
という事はアレも其の候補だったと?
「ええ最も初代に対抗する為に制作されたんですが……」
「どうしたの?」
言葉を濁す戦闘員。
「初代が組織の金を強奪したために資金の折り合いがつかず劣化版になったんですよ」
「うわ~~」
御父さんの被害者があそこに。
居たたまれない。
というか見た目は青年だけど中身はオジサンか。
「其のあと逃げ出してのは良いんですけど金に困って組織相手に生活費を奪っているんです」
「つまり犯罪者?」
「そうですね」
ドン引きする僕と嫁。
というか戦闘員恐るべし。
情報通だな。
「色々知ってるな流石はベテランですね先輩」
「いえいえ怪人に成るほどの功績は持ってませんが古株なので」
「いやいや古株という事は此の業界を生き抜いた強者ですよね」
「まあ~~でも結果が全てだしね~~」
「なら今度怪人に成れるように首領に話を通しましょうか? 先輩方」
戦闘員の皆さんに気を使い進言する僕。
「「「遠慮しとく」」」
何故か戦闘員の皆から断れた。
何故に?
「自分の実力で怪人に成りたいからな~~」
「そうだな男と生まれたら自分の力で怪人に成りたいし」
「其れは誇りが許さない」
頭が下がる思いです。
良い先輩方だ。
「其れより明日香ちゃんを幸せにしてやれよ」
「そうそう」
「後から入ってきた新人だったけど人間関係が苦手でね~~」
うわ~~い。
此れは近所の子を心配するオジサントークだ。
父性本能全開ですね。
嫁が俯いてます。
可成り可愛がってもらったんだろう。
多分仮面の中は真っ赤だな。
震えてるし。
「其れはもう」
「「「頼むぞ」」」
親指を立てる戦闘員達。
「それでアノ犯罪者にしてごく潰しどうします?」
「「「捕まえて警察の突き出そう自称正義の味方」」」
「そうですね」
「そうね旦那様」
満場一致しました。
「聞こえてるぞおおおおおおおおっ! ぐす」
絶叫するママチャリライダー二号。
その声に涙が混じってた。
「悪の限りを尽く【ケッター】御前達の野望は俺様が阻む」
「ぬかせっ! 犯罪者っ!」
「悪の組織の癖に犯罪者言うなっ! とうっ!」
ヨジヨジ。
ツルツル~~。
スタン。
此奴もか。
電柱から飛び降りないんですが。
御前も電柱を伝って降りてるのか。
しかも降りてくる奴を律儀に待ってる僕達。
「待たせたなっ!」
「おうともっ! 犯罪者」
「悪の組織が言うなっ!」
此奴……。
何で変なポーズをしてるんですか?
御父さんの真似か?
足を広げて右こぶしを天に掲げ左手で心臓に当ててる。
凄い似合わない。
「今日こそケリをつけてやるっ!」
「やれるものならやってみろっ!」
「やれっ! 戦闘員よっ!」
僕のの言葉に戦闘員が御父さんに襲い掛かる。
「あのう~~旦那様仕事を奪わないで下さい」
「あっ」
ついノリで。
職業病かな?
バキッ!
ゴスッ!
ドンッ!
「ぐはっ!」
「ぎゃああああっ!」
「ひいいっ!」
戦闘員が奴のの格闘技で吹き飛ばされる。
流石が改造人間。
劣化版とは言え強い。
「どうだみたかっ! 正義の力を」
「……」
僕は無言で携帯を弄る。
「御前何やってる?」
「警察に通報」
「止めろおおおおおおおおっ!」
「暴力沙汰起こしたし」
「貴様ら悪の組織だろっ!」
「でも其れ以前に君組織の御金を奪ったろ?」
「とう」
石を投げて僕の携帯が粉砕した。
此奴……。
「どうだ悪の組織の関係者」
「弁償」
「ゑ?」
「弁償しろ」
「ゑ?」
「六万したんだぞしかも嫁と御揃いにしたのに」
「えええええええええっ!」
「絶叫する前に弁償しろ器物破損で訴える」
「えええええええっ! 何此奴っ!? 話が通じないっ!」
「其れはこっちのセリフだ」
僕の言葉に狼狽える青年。
僕の冷たい目に動揺してるみたいです。
「貴様っ! 悪の組織の分際でっ!」
「自称正義の味方さん」
「自称ではなく本物だっ!」
「本物なら強盗して良いと?」
「ゑ?」
動揺する青年容赦ない僕。
青年はダラダラ嫌な汗を流してるみたいだ。
「仕方ない」
青年はは両手を空に突き出す。
其のまま胸の前で交差する。
ピカッ!
閃光が青年から発生する。
閃光の後から現れたのは特撮ヒーロー物のような姿。
いや実際に特撮ヒーローの様な姿だ。
ママチャリライダー二号だからだ。
「ママチャリライダー戦略的撤退っ!」
其のまま恐ろしい速度で逃げ出すママチャリライダー二号。
正義の味方の癖に……。
「「「凄ええ~~言葉攻めでママチャリライダー二号を撃退した」」」
「違いますからね先輩方」
僕の評価がおかしい。
「流石旦那様戦わず勝つなんて」
「嫁さんや其れ違う」
本当に評価がおかしい。




