第六十九話
其れからも僕と御母さんに魔法老人会のメンバーは周囲を見回す。
う~~ん。
場所を変えるか?
強化された視覚で探索しながら僕はそう考える。
居ないね~~。
おかしいな~~。
本当にストレス獣が居るのかな?
僕らはストレス獣の発生に伴い此処迄来た……筈だった。
魔法少女サリアの担当区域まで。
此れは無駄足だったかな?
やはり倒してるのかも?
一人で倒せたんじゃね?
「ねえ御母さん魔法処女サリアってテレビで放送された二代目の事?」
僕は探索する傍ら知識のすり合わせをする。
「そうね~~」
「マジかい」
「本当よ」
魔法少女サリア。
確か設定では魔法少女タカコの後継者と選ばれた二代目。
魔法少女タカコが他の地区のストレス獣を追った先に現れた二代目だ。
地元を愛する少女が突然ストレス獣に襲われた時颯爽と現れるタカコ。
だが連戦で魔力を消費していたタカコは不覚を取り負傷。
巻き込まれた少女サリアはタカコを守るためにタマと契約を交わし二代目に成る。
という設定だ。
以後は地元を守る二代目として戦い続けると言った感じだと思う。
「……という感じの設定だと思ったけど合ってる?」
「合ってるわね」
「合ってるんだ……」
最近思うんだけどあの作品基本の設定は全て事実に基づきすぎない?
いや良いんだけど。
良いんだけど納得できない。
遠い目をする僕を御母さんが優しく微笑みながら見守る。
目は全てを悟ったような色彩の無い目だけど。
「事実は小説より奇なりというけど……」
「何が?」
「いえ……虚構の物語に忠実な現実って何だろうなと思いました」
「其処は諦めよう」
「ゑ? 御母さん?」
「諦めたら全て楽になるよ」
「え~~」
御母さんの色彩の無い目にドン引きする僕。
過去に何が有ったんだろうか?
非常に気に成る。
「あの目は見た事が有る」
「オタネさん心当たりが有るんですか?」
「昔タカコが今の夫と付き合う前の彼氏と別れる時に成った目だ」
大介さんとオタネさんの言葉に僕は衝撃を受ける。
ええっ!?
御父さんと結婚する前に彼氏居たのっ!?
いや……でも……。
其れは居たかもしれないな。
御母さん実の息子で有る僕が見ても綺麗だと思うし。
「聞いたことが有るタカコが当時付き合ってた男の事だな」
「俺もだ」
え~~と。
有名な話みたいだ。