第五話 魔法少女戦隊(違う)
異変に気が付いたのは実家に近づいていた時の事だ。
上空数百メートルを強化された脚力で跳躍している時の事だ。
最初は無数の雪だるまだと思っていた。
実家の周囲に有る其れを見た時の感想は。
だが違う。
強化した目で見ると理解した。
「此れは……」
其れは恐ろしい光景だった。
急いで帰宅した僕の目に入ってきた光景は凄惨な物だった。
見渡す限りの無数のストレス獣。
数が多く視界全てに存在していた。
「ストレスウウウウウっ!」
「ストレス」
「ストレスウウウッ!」
多い。
「此れは一体……」
「マー君此れは不定期に起きる大量発生やな」
「大量発生?」
「詳しい事は分からん……だが何年かに一回起きる異常現象や」
「ストレス獣は全て秘密結社ストレスが発生させているんじゃ?」
「アレは人口的に発生させた物や自然発生したのが此れや」
設定に無い情報だ。
ゾワリとした。
この数を相手に御母さんは今まで奮闘していたのか。
しかも今はタマが居ない。
不味い。
背筋が凍る。
そんな時だった。
「マジカル・連打っ!」
「へ?」
ドンドンっ!
ドンドンッ!
ドンドンッ!
御母さんの掛け声と共に打撃音が響く。
打撃音と共にストレス獣が吹き飛ぶ。
「なあ~~タマ?」
「何だいマー君」
「五時間経過した上にタマは居ないに何で変身してるの?」
「言ってなかっけ?」
「聞いてない」
「何十年も多くのハニーを娶ってるから子供が沢山居るんや~~」
思念獣って一体……。
「あそこに居るのは一万二匹目の子供や」
「多いわっ!」
頭痛がしてきた。
「とはいえ多勢に無勢あのままではすぐに倒れる僕も加勢するよ」
そういいながら近所の家の屋根の上に着地する。
「気を付けてやマー君」
「心配するな死ぬ気はない」
「違う」
「へ?」
「世界に選ばれてない者は魔法少女の力を引き出せない」
「タマ……」
「精々本来の物の三割ぐらいや」
「タマ僕は男なんだが……」
「気を付けてや魔法中年」
「言い直したっ!」
目をそらしながらタマに言われた。
まあ~~良いけど。
しかし眼下の光景に息をのむ。
「御母さん一人に戦わせないっ!」
「「「「「よく言ったっ!」」」」」
「え?」
声の方に首を向けたら其処には複数の人物が居た。
「私らも手を貸そうではないかっ!」
「ええ」
「そうね」
「ああ」
「うん」
其処に居たのは近所の人達だ。
但し全員魔法少女の姿だ。
服だけ。
「魔法熟女オタネ」
「魔法老女タエ」
「魔法中年大輔」
「魔法老人大樹」
「魔法青年大介」
ドーンと背後で何故か花火が炸裂した気がする。
気のせいだろう。
「「「「「我ら魔法老人会」」」」」
……シュウウウウルだああ。
全員タマの子供と契約したみたいです。
キツイ。
自分もそうだが心にクル。
本気でキツイ。
この後一時間で五人と御母さんの力を借りストレス獣を倒したのだった。