第五十八話 再会。(いい加減にして)
其れは唐突だった。
部屋の奥まで響く音は僕の耳に迄聞こえた。
其れは無機質な音で告げる。
其れは来訪者を告げる音だ。
来訪者。
其れは多くの意味を内包している。
其れは幸運なのか不運なのかは神のみが知る。
ピンポーン。
唯の玄関の呼び鈴で我ながら良く此処迄考えられるな~~。
此処で小説なら急展開何だが。
「誰か来たかな?」
「タカコじゃない? マー君」
「多分んなタマ」
何てね。
脳内で僕は適当な事を思い浮かべながらタマとじゃれる。
僕は玄関の鍵を開ける為に立ち上がる。
「夕飯片付けますね」
皿を片付け始める嫁。
「手伝うね~~」
ひょいひょいと前足で御盆に皿と箸を乗せ始めるタマ。
あの手でどうやって乗っけてるんだろう?
「吾輩も手伝う」
「師匠に手伝って貰う訳には……」
「何構わん此れから世話になるからな」
「すみません」
うん。
傍目で視て摩訶不思議というか……。
化け犬と化け猫が手伝っているように見える。
「旦那様御客様をお願いします」
「分った」
嫁に片づけを頼んだ僕は玄関迄歩く。
そして玄関の明かりを付ける。
うん?
曇りガラス越しに見える服の色。
何時も羽織ってる洋服ではない。
明るめの服。
しかもスカート……かな?
御母さんはスカートは穿かない筈。
年齢的に似合わないと言ってたから。
唯一の例外は変身してる時。
あの時は強制的にスカートに成る。
また変身してるのか?
はあ~~。
最近ストレス獣が多いと言ってたからかな~~。
ガチャリ。
そう思いながら玄関の鍵を外す。
ガタン。
建てたばかりの家の玄関は軽く直ぐに開いた。
実家の玄関は開けにくいんだよね~~。
こんな時新築は有難い。
「……」
思わず無言に成る僕。
其処に居たのは可愛らしい服を着た人物だった。
頭にはリボンのついた帽子。
赤を基調とした沢山のフリルの付いたゴスロリ。
其れを着た人物は素晴らしい美的感覚を備えていた。
その服を着た人物は美の化身とも言えるだろう。
但し厳つい中年でなければだが。
「初めまして……いや違うな……久しぶりだな魔法変態真央」
「……」
ガアアアアッ! ガタン。
ガチャリ。
思わず無言で玄関を閉めて鍵を掛けました。
「おいっ! 開けろっ!」
ガンガンッ!
誰かが玄関を叩いてるな~~。
誰だろう?
うん。
僕は何も見なかった。




