第五十七話
そう言えばと疑問に思う事が有る。
其れは眼前の人物に対する疑問だ。
「そういえば大樹さん達何で変身できるの?」
「此の姿の事か?」
大樹さんは服の裾を握り揺らす。
わき腹が見えて気持ち悪い。
加齢臭が酷い。
僕も人の事言えんけど。
「あの時全員真忘却魔法を喰らった筈ですが?」
「「「じと~~」」」
何故か嫁とポチやタマがジト目で見る。
「言っとくけど僕が全員叩きのめしてないからね」
「吾輩付き合いが少ないが嘘と分かるぞ」
「嘘じゃないわ」
「どうだが……」
ポチからの疑いの目が酷い。
「何をしたと言うんだ僕が」
「無関係な第三者を真忘却魔法で頭部を粉砕したよな~~吾輩見たぞ」
「死んでないし良いだろう」
「其れでも人間かっ! 御前の血の色は何色だっ!」
「取りえず改造人間なので何割か人工物」
「ふへ?」
「何でもない血の色は赤だな~~見る?」
「いや良い」
指を噛み切り血を流して見せようとしたら断られました。
まあ良いけど。
ポチ何で蹲る?
持病か?
「旦那様私は信じてます」
「流石が僕の嫁信じてくれるんだね」
手を握り見つめ合う僕達。
「「「……」」」
ポチにタマや大樹さん。
何で胸を掻きむしりそうになる?
胸やけか?
胸やけなのか?
「旦那様貴方が正々堂々と打倒したことを信じてます」
「うん?」
何か嫁さんの言葉に違和感がする。
「正々堂々後ろから全員の頭部を粉砕したと確信していますっ!」
「嫁えええええええええええっ! 信じて無いのおおおおおおっ!」
「信じてますよ」
「だったら……」
「全員皆殺しにしてることは」
「違うっ! 僕はやってないっ!」
「はい分かってます真忘却魔法で粉砕してるんですね」
「そうだけどっ! そうじゃないっ!」
おかしい。
物凄くキラキラした目で見られてる。
真忘却魔法は記憶事頭部を粉砕し蘇生する物。
だから皆殺しはしてるけど……。
でも蘇生してるから皆殺しにしてないんだが……。
「冷酷非情な旦那様素敵です」
「うん……嫁に話が通用しなことは理解した」
何か明後日の方を向いて手を合わせてます。
恍惚の笑みを浮かべて。
読めね~~。
此の嫁は読めね~~。
頭痛い。
「マー君」
「何だタマ」
「マー君の事は信じてるよ」
「まあ~~御前は現場に居たからな見てるだろう」
「だから信用料金は明日の朝食で手を打つよ」
「タマアアアアアッ! 何てことを言うっ! はっ!?」
僕は慌てて周囲を見た。
ポチが無言でした。
大樹さんは我関せず。
嫁は何故か生き生きとしてる。
泣いて良いかな?