第四十五話 エンカウントてのは自分で避けられないよね。(御約束ともいう)
僕は鞄を抱え直す。
はあ~~とため息が出た。
あの戦いの後外に出られた僕は徒歩で家に急いだ。
閉鎖世界にいた時間はソコソコ。
現実の時間は大して経過してなかった。
ああ~~憂鬱だ。
気分は最悪だ。
『御主人様~~ため息を付いたら幸せを逃すよ』
「黙れ幻聴」
憂鬱の原因の一つが話しかけてくる。
あの後腕時計を捨てようとしたが絶対に返ってくるんだよね~~。
呪われてないか?
此れ。
『幻聴じゃないよ』
「御前は幻聴だ」
く~~ん。
く~~んと鳴き声が聞こえる。
柴犬が僕の足元をうろつき纏わりつく。
首輪が無いので野良か?
可愛い。
可愛いんだが……。
精神的にキツイ。
敵を倒したことによる罪悪感だ。
生きることに疲れた敵に不本意な
「どうした若者よため息をついて」
「……」
思わず無言に成る。
「え?」
はっはっはっ~~と息を荒くする柴犬。
あれ?
誰が喋った?
僕は思わず周囲を見渡す。
居ない。
誰も。
あれ~~?
『御主人様~~そいつですよ』
「はあ~~何がだ?」
『だからその柴犬が喋りました』
「寝言は寝て言えや」
うん。
非常識な事を言うな。
「そいつの言う事は本当だ」
ヒョイと柴犬が後ろの二本足で立つ。
まるで人間の様に。
「……」
『言った通りだろう~~』
思わず無言に成る僕にドヤ顔の幻聴。
顔が分からないけど口調でそう決めた。
「またか」
僕は頭痛を堪え力なく項垂れる。
モフモフ。
良い感触だ~~。
「なかなか良い手つきだ」
何か最近変な生き物に遭遇するな~~。
本当に頭が痛い。
「其れで君誰?」
「吾輩だ先程貴様らと戦った星喰いだ」
うん。
疲れてるな。
帰ろう。
「待て吾輩を無視するな」
「無視したくなるわっ! 何で生きてるんだよっ!」
「聞きたいか?」
「結構です」
「良し聞かせてやろう」
「話聞いてますっ!?」
「おぬし等の所為だ」
「人の所為にしないでくれますっ!?」
「三人の心が一つに成らなかったから完全に滅びなかった」
「聞いてねえしっ!? しかも納得する内容だしっ!」
疲れた~~。
いやね生きててくれたのは良いよ。
流石にアレはあんまりと思ったし。
「だが寿命の殆どを失ったので後十五年の命だ」
「何か余命宣告してるみたいだけど柴犬で其れは長生きだからなっ!」
「其の所為か弱体化しすぎて星喰いとしての餌が取れん」
「だから話を聞けよっ!」
「だから御前責任を取って吾輩を飼え」
「喜んでっ!」
「……」
柴犬は普通に買うと高いんだよ~~。
其れがタダ。
得したっ!
以前から飼いたかったんだけど高くてね~~。
しかもアパートだったから飼えなかったんだよ~~。
嬉しいな~~。
「あ~~頼んでいてアレだが御前喋る犬に抵抗ないか?」
「別に」
「いや良いんだけど」
何か呆れた感じだが気にしない。
うん。
『そいつ敵なんだから捨ててくださいよ~~」
聞こえんな~~幻聴何か。
柴犬~~。
しかも子犬。
嬉しいな~~。
「行くぞポチ」
「待てっ! 其れは吾輩の名前かっ!?」
「家の嫁にキチンとあいさつしような~~」
「まてっ! 改名を求っ!」
「ポチ色々芸を覚えような~~」
「待てえええええっ! 吾輩に色々芸を仕込む気かっ!」
何やら言ってるが聞こえない。
うん。
柴犬を抱え走りだそうとした時だ。
ズズン。
地面が揺れた。
「×※×××※」
誰かの声が聞こえる。
「うん?」
「どうした?」
「あ~~いや~~」
僕は思わず遠い目をした。
また遭遇したか~~。
黒い大きな巨人。
そうとしか表現できない何か。
ゴムのようなの質感をした巨大な人型。
そう人型だ。
前に遭遇した奴だ。
またか……。




