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第四十三話 幻聴は選ばれし者か精神病患者にしか聞こえないよね。(普通は)

 ある物語で有るパターンだが。

 とある悪人が主人公にやられピンチの時。

 黒幕だったり邪神其れに準ずる者が囁く事が言葉が有る。

 悪魔の様な誘惑の言葉を。

 

 その時の代表的な台詞が此れだ。


『汝力が欲しくないか? 欲しくば力をやろうっ!」


 大体こんな感じだ。

 悪人は大体この囁きに負けて安易に力を貰う。

 だが其れが破滅の序章とも知らずに貰うのだ。

 そうして大体は破滅するんだ。


『え~~いや~~其れは貴方の妄想ですよ』

「ならこの会話も僕の妄想だな」

『違うよっ! わたくしの方から話しかけてますよ貴方の心に』

「妄想でなければ唯の幻聴だな」

『うわああああああっ! 信じられてないいいいいいっ!』

「煩いわ僕の幻聴」


 なにやら大げさに驚いてる幻聴である。

 仕事が忙しくて疲れてるんだろうな~~。


『……あの~~すみません違います』

「はあ?」

『わたくしは星喰いから此の星を守る使命を授かった者なんです』

「ハイハイ理解した」

『では……』

「後で精神科病院に行かないと」

『信じてないいいいいいいっ!』

「当然だろう」


 うん。

 幻聴は無視して良いか。

 さてと。

 眼前の問題にどう対処すべきか。


「独り言か……眼前の絶望にとうとう現実逃避か可哀そうに」

「家を買ってもらって浮かれてた罰です」

「若い嫁を貰った天罰だな」


 というか愚兄。

 何で僕を可愛そうな目で見る?

 殴るよ。


 ゴンッ!

 ゴンッ!


「「何で殴るううううううっ!」」

「あ……御免無意識に殴ってた」

 

 いやうっかり。

 無意識って怖いね。

 うん。


「「無意識で暴力に?」」

「いえ素振りがしたく成りました」


 僕の言葉に何故か怯えていた。

 はて?

 そんな時だった。

 僕達を覆う影に気が付いたのは。


「「ひっ!?」」


 愚兄達が怯える。

 敵である蛸型異星人が見下ろしていた。

 この瞬間攻撃されたら僕達は死ぬ。

 其のことに怯えたのだ。

 当然だ。

 普通は敵の無防備な姿を見れば奇襲するのは当たり前だ。

 そう当たり前。

 だけど此の蛸型異星人は当たり前ではない。


「おおい~~我等を無視して同士討ちしてどうする」

「「はい?」」


 其の当たり前の反応をせず困惑した声で此方に問う。


「あ~~すみません作戦タイムです時間貰って良いですか?」

「良いぞ~~一時間で良いか?」

「はい充分です」

「うむ」


 うん。

 頭を下げて頼んだら簡単に時間を貰えた。

 紳士的すぎる。


「「え~~」」


 愚兄達が唖然としてるが気にしないでおこう。

 でも此れ敵としてどうなの?

 等と言いたい。

 しかし今回は有難いから良しとする。

 良いんだけど……。

 助かるし。


「さて……此れからどうする?」

「どうするというか……方法は一つだな」

「方法有るの?」


 僕は愚兄に顔を向ける。


「外の救援を期待できないからな」

「外と連絡取れないの?」

「この中と外では時間の流れが違う」

「具体的に言って?」

「此処での一日は外での一分だ」

「気分は浦島太郎だね」

「最悪老衰で外に出られるだけでもましな方だ」


 だろうね~~。

 此処では探せば水や食料は有るかもしれない。

 だけど問題はだ。

 その前に眼前の敵を倒せるかだ。

 ……うん。

 無理。

 紳士的な敵……言い方はアレだが……。

 此の敵は一度戦い始めたら一段落するまで止まらない。

 つまりどちらか死ぬまで戦うだろう。

 今回作戦タイムを貰えたのは一度此方が勝ったから。

 其れで御褒美に時間を貰えたと思う。

 だけど戦い始めたらもう~~時間はもらえない。

 その間食料を探して水を探すなんて無理だ。

 となると愚兄達二人で交代して敵の力を削ぎながら探すしかない。

 食料と水を。

 ついでに安全な寝床も。


「という訳で敵の力を削ぎながら交代で食料と水を探すしかないね」

「そうだな~~」

「寝床もか~~」


 僕の考えをざっくり話したら二人とも死んだ目をしていた。

 いや良いんだけど。

 あんたらの戦いだろう?

 何で死んだ目をしてるのさ?

 僕なんか巻き込まれただけなのに。


「せめてメタルコアの適合者があと一人居たらな~~」

「無い物ねだりよ」

「メタルコアってなんなのさ?」

「「え?」」


 僕の質問に何故か驚く愚兄達。

 何で?


「メタルコア……あの星喰いの対になる物だけど……あんた聞こえるの?」

「メタルコアという単語が聞こえる何て……嘘だろう……まさか……御前も適合者?」

「はあ? だから適合者って何なの?」


 唖然とした愚兄達に僕は質問する。


『そ・れ・は・わたくしの事です~~』

「失せろ幻聴」


 ウザい声が聞こえたのでバッサリ切る。


『酷いっ! 折角御主人さまを助けて上げようと思ったのにっ!』

「それ以上言うな消すぞ幻聴」

『幻聴じゃないもんっ! メタルコアだもんっ! ぷんぷん』

「うぜえ~~」

『酷いっ!』


 煩い幻聴に頭を悩ませる僕。

 うん?

 メタルコア?

 メタルコア?

 え?


「あ~~愚弟?」

「なに?」

「何一人でブツブツ言ってるんだ? 恐怖で頭がおかしく成ったか?」

「やめてよね~~唯でさえ戦力不足なのに」


 ブンッ!


「「……」」


 素振りをしたら黙りました。

 

「そんで? 御前メタルコアなの?」

『はいっ!』


 頭痛がしてきた。

 なんたる御都合主義。

 良いけど。


「あ~~愚兄……僕はどうやら適合者みたいです」

「「ゑ?」」


 唖然とする愚兄達。

 気持ちは分かる。


『正確に言えば真なる適合者だよ』


 マジ?

 え?

 マジで?


「真なる適合者だそうです」

「「誰が言ってるの?」」

「メタルコア自身が」

「「ええ~~」」


 遠い目をしてるよ。

 うん。

 気持ちは分かる。

 分かるけど……。

 普通劇的な場面だよね。

 適合者という事実が明るみに成るのは。

 普通は。




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